大人の愛着障害カウンセリング

「大人の愛着障害」とは、幼少期に、養育者(主に親)との間で、安定した愛着(アタッチメント)を築くことができなかったことが影響し、大人になってからも、自分に自信が持てなかったり、人との適切な距離感が掴みにくかったり、親密な関係でトラブルを繰り返したり、原因不明の体調不良を抱えたり…といった、様々な生きづらさを感じている状態を指すことがあります。
もし、あなたがこのような感覚に心当たりがあるなら、「大人の愛着障害」の可能性も視野に入れてみる必要があるかもしれません。
大人の愛着障害:「まえがき」として
「愛着障害って、子どもの問題じゃないの?」
そう思われる方も多いかもしれませんね。確かに、その土台となるのは、幼少期の体験です。しかし、その幼少期の体験が、大人になってからの生きづらさ(「大人の愛着障害」)として、現れてくる場合があるのです。

生まれたばかりの赤ちゃんは、お腹が空いたり、おむつが汚れて不快になったりすると、泣いてそれを知らせます。そして、親(養育者)はそれに気づき、ミルクをあげたり、おむつを替えてあげたりしますよね。
物理的なお世話だけでなく、子どもは、お母さん(養育者)の姿が見えなくなったり、何か初めての出来事に遭遇して不安になったりした時にも、お母さんを必死で探したり、不安な気持ちを泣いてアピールしたりします。そして、それに気づいた親は、お子さんをギュッと抱きしめて、「大丈夫だよ」と安心させてあげるでしょう。
このような、子どもが発するシグナルに対して、親(養育者)が敏感に気づき、適切に応答していく、という繰り返しの関わりを通して、「愛着(アタッチメント)」は築かれていきます。
これは、その子の健やかな心の成長を支え、その後の人生のあらゆる人間関係の基礎を作っていく上で、非常に重要であると言っても過言ではありません。
「愛着」とは、子どもにとって、自分を育ててくれる人との間の、強い心の繋がりであり、安心感に裏打ちされた、深い信頼関係のことです。
私たちの生命を維持するためには、食べ物による栄養摂取が必要不可欠ですが、健やかな心を育み、人格を形成していくためには、「愛着」が、同じように必要不可欠なのです。
そして、「愛着障害」とは、この最も基本的な愛着が、何らかの理由でうまく形成されずに育った結果、大人になってから、心や対人関係、生き方全般において、様々な不具合(生きづらさ)が生じている状態、と言うことができるでしょう。
以前は、「愛着障害」というと、主に子どもの頃、特に乳幼児期に起こる問題として捉えられていました。
しかし、最近では、成人してからも、愛着の問題に起因する様々な困難が見られるようになり、「大人の愛着障害」として、クローズアップされるようになってきました。
また、かつては「愛着障害」というと、虐待や、親との早期の分離(死別、施設入所など)といった、特別な、深刻な状況で生じるもの、と考えられてきました。
しかし、近年では、一見すると「普通」に見えるごく一般的な家庭においても、親子の間の関わり方の問題などから、愛着形成に課題が生じ、結果的に「大人の愛着障害」へと繋がっていくケースも、実は多く存在することが分かってきています。
愛着障害が起こる、明確な因果関係については、まだ研究途上であり、正式に分かっているわけではありません。
しかし、私たち人間は、生まれた瞬間から、生きていくため、そして愛されるために、周りの人との関係を築こうとする本能を持っています。
その、人生の最初期における、最も重要な関係性(親との関係)が、もしうまくいかなかった場合…。
その後の人生においても、以下で取り上げるような様々な苦痛や困難を抱え、深い「生きづらさ」を感じながら生活している可能性が、非常に大きいと言えるのです。
名古屋聖心こころセラピーでは、このような「大人の愛着障害」へのカウンセリングも、積極的に行っております。
このページを読み進めていただくことを通して、「愛着障害」について、少しでも理解を深めていただければ幸いです。
自身の愛着スタイルとは
愛着とは、「特定の人(主に養育者)と結ぶ情緒的なこころの絆」を言います。
愛着は、特定の人と「恐れ(不安や危機感)」がどのように扱われるかによって発達し、愛着スタイルとして大きく4つに分類されます。それぞれのスタイルは、幼少期の愛着形成やその後の人間関係の傾向に影響を与えると言われています。これらのスタイルは、あくまで分類であり、個人がどのスタイルに当てはまるかは、複雑な要素が絡み合って決まります。また、人は複数のスタイルの要素を持つこともあるため、愛着に関する理解の一助としてお読みください。
- 安定型
-
幼少期に養育者から安定した愛情やケアを受け、その後の人間関係でも安心感を持って接することができる。
- 回避型
-
幼少期に養育者のケアが不十分であったり、子どもの欲求を養育者から拒否されたりすることで、感情的なつながりを避ける傾向が強くなる。子どもの行動を強く統制しようとする関わりが相対的に多くみられる。
- アンビバレント型
-
幼少期に養育者の愛情が不安定、もしくは養育者の対応に不安を感じることで、不安定で用心深く、相手への依存心が強くなる傾向がある。子どもの欲求に応じたというよりも、養育者の気分や都合に合わせることが多い。
- 無秩序型
-
幼少期に虐待やネグレクトなど、子どもにとって理解不能な行動を突然とられる経験をすることで、自己肯定感の低さや、人間関係への強い不安を抱く傾向がある。
「子どもの愛着障害」と「大人の愛着障害」:その繋がりと特徴
日常生活の中で、以下のような状態や気持ちになることはありませんか?
あるいは、現在に至るまで、ずっとそのことで悩んでいませんか?
- 人間関係で、なぜかいつもトラブルになってしまう
- 他人との適切な距離感が、よく分からない(近すぎたり、遠すぎたりする)
- 周りの人の目や評価が、とても気になる
- 一人でいることが、とても寂しく、恥ずかしいことのように感じる
- 周りの人の期待に応えようとして、つい無理をしてしまうことが多い
- 子どもの頃、親戚や近所の人から「本当にいい子ね」と言われることが多かった
- いつも心のどこかに、ぽっかりと穴が開いたような、虚しい感覚(空虚感)を抱えている
- 家族や友達と一緒にいても、どこか一人ぼっちのような、孤独感を感じる
- 人との身体的な接触(スキンシップ)を、過剰に求める傾向があり、ベタベタとくっついてしまうことが多い
これらは、「大人の愛着障害」に見られる特徴の一例です。
「愛着障害」は、元々は、親と子どもの間の関わりの中で問題として捉えられることが多くありました。
例えば、無表情で笑わない、幼稚園や保育園では友達と一緒に遊ぼうとしない、所構わず大声を出したり激しく泣いたりして手が付けられない、などの様子が子どもの頃には見られます。
もし、親御さんが、お子さんのそうしたサインに気づかず、あるいは気づいていても適切な対応ができずに、そのままにしてしまったことが原因で、大人になってからも愛着の問題が持ち越され、「大人の愛着障害」へと繋がってしまう。
そして、自分自身の感覚、人間関係、夫婦、家族、社会のコミュニティといった広範囲にまで不具合が広がり、生きづらさと共存している状態を送っている方が多くいらっしゃいます。

今あなたが抱えている「生きづらさ」を紐解くと、実は自分自身の性格だけが問題ではなく、ましてや何かの病気を罹っているわけではなく、育った環境や関わりによる影響で思考や行動が複雑に変化してしまった結果なのかもしれません。大人の愛着障害は、子どもの頃から我慢に我慢を重ねて良い子であろうと一生懸命頑張ったり、嫌われないように一人ボッチにならないように四六時中気を遣ったり、愛されたくて、でもどうしたら良いか分からなくて、激しく泣いたり他人を困らせたり非行に走ってしまったりしたことが今のあなたに繋がっています。まさに生きていく上での本人の精一杯の対応策ではあるものの、人格の基礎は不安定なままであることは変わらず、問題が解決されないまま生活していると言えるでしょう。
大人の愛着障害:その背景にある生い立ちと環境
生きている意味が分からない
自分は何を思い、何を感じているのだろう
今まで楽しいと思った事がない
名古屋聖心こころセラピーで大人の愛着障害との見立てでカウンセリングをしていると、このような思いを根底に持ち、もがき苦しんでいる方が多くいらっしゃいます。特に大人の愛着障害は、幼少期から積もりに積もった満たされない思いが生き辛さの根幹として宿っているように思います。
大人の愛着障害の特徴は突然現れるわけではなく、多くは乳幼児期の親との間で深い絆や疑いのない信頼関係が築かれなかったことが原因と考えられています。子どもからすれば、誰が守ってくれて、困ったら誰を頼ればいいのかといった信頼を置ける人がなく、この人は生きていく上で欠かせない人だという確信とこの人といれば大丈夫との安心感も持てなかった生い立ちが大きく影響していると言えるでしょう。
また「人生のモデル」となるような憧れの人や目標とする人との出会いや関わりもなく育ったことで、自分をどのように表現し、他人とどのように関わると良いのかがほとんど分からず、身体だけ大きくなってしまった状態も最近では珍しくはありません。
大人になるにつれ、親に限らず友達や学校の先生、先輩や後輩、職場の仲間、恋人や夫婦、地域のコミュニティなど様々な人と関わっていきます。その中で自分を見出し幼少期に満たされなかった思いが満たされるような体験や出会いがあれば良いですが、それも叶わぬまま、また進学、就職、結婚、出産、死別など様々なライフイベントを経験するにつれ、複雑化した思考や行動がさらに絡み合い現在に至るものと思われます。
問題解決にはまず原因を探る必要があります。今ある生き辛さの原因を名古屋聖心こころセラピーのカウンセリングでハッキリさせてみませんか。
大人の愛着障害が引き起こす「二次的な問題」
大人の愛着障害の特徴を持ち、生き辛さを抱えながらも何も行動を起こさなければ、根底にある孤独感や空虚感、見捨てられ不安はさらに大きく膨らみ深く根付き、いずれ二次的症状に繋がる可能性が大いにあります。
- うつ病
-
人との関わりが苦痛になり社会との繋がりも遮断して引きこもりになったり、気分が著しく落ち込み気力が失われ精神的にも肉体的にも不調となる
- 不安症
-
自分に自信が持てず、ある事柄や行動を何度も何度も確認し、繰り返し行わないと不安で気が済まない(強迫性障害など)
- 依存症
-
アルコール依存やギャンブル依存、恋愛依存や性依存、インターネット依存など特定の物や行為をしていないと強烈な不安に襲われ執着しのめり込む依存症となる。
- 境界性パーソナリティ症
-
親しい人には手厚く関わるものの、少しでも気に入らないことがあれば感情を爆発させ相手を執拗に責め立て、物事を白か黒か、好きか嫌いかの極端な考え方を持つ。
また愛着障害を原因とし、幼少期に親から愛されず満たされないままに育ったいわゆる「アダルトチルドレン」と呼ばれるような、機能不全家庭で育った影響を受けている人も少なくありません。
親子関係にフォーカスしてみると、親が愛着障害だった場合、愛着障害の特徴が子どもへ、そしてまたその子どもへと脈々と受け継がれることも多くあります。遺伝子的というよりは、愛着障害は生い立ちや環境に大きく影響を受けるため、親は子どもとの接し方や子どもとの距離感、子どもの愛し方などがほとんど分かりません。そしてその親を見て育った子どもは親の子育ての方法しか知らないため、状態が連鎖してしまうと考えられます。
虐待を受けて育った子どもは「絶対にあんな親にはならない」と思っていても、暴力や放置がある環境で育った経験がベースとなり同じ状況を再現してしまうとも言われています。愛着障害も同じように悲しい連鎖を起こしやすく、子どもが成長し、大人の愛着障害として苦しむことが特徴です。
あなただけの問題ではないことは明らかですが、そのままにしていても良いことはありません。自分のために、これからの将来のために名古屋聖心こころセラピーでカウンセリングをご検討ください。愛着障害から克服する術を考えていく必要があるでしょう。
大人の愛着障害と、パーソナリティ(人格)の関係
「パーソナリティ(人格)」とはその人の根幹部分、「人となり」とも言えるでしょう。不変的なものではなく、環境や養育、人間関係により弛まなく変化していきます。パーソナリティの基礎となる部分が作られる時期は、産まれた直後から幼少期にあり、主に母親(養育者)とのスキンシップなど愛着関係を築くことでパーソナリティ(人格)を確立し、安心・安定感のある生活を過ごし目標や憧れに向かって成長していきます。
しかし、虐待やネグレクト、親(養育者)との関わりが薄かったり、強い絆や信頼関係が得られなければ愛着が築けずパーソナリティ形成にも大きく影響します。不安定なパーソナリティや未熟なパーソナリティは大人になるに従い以下のような症状に悩まされます。
- 人から何か言われるとすぐ落ち込み傷つきやすい
- 自分に自信がなく優柔不断で進学先や就職先などを決めるのに時間がかかったり、よく調べもせずに決断して後悔することが多い
- 人との距離感が掴めず、どのように親しくなるのか、どのような立ち位置で振る舞うと良いか、パートナーや子どもをどのように愛せばいいのか分からない
- 好きか嫌いかハッキリさせがちで、人間関係に亀裂が入ることがしばしばある
人との関係性の障害ともいえる愛着障害は、大人になるにつれ広がる人間関係のネットワークやコミュニティに様々な影響を及ぼします。また人との関わりの中で「自分」というものをしっかりと持つことで相互に関わり成長や発展を遂げたり、安心や信用、愛情を感じるのに対して、パーソナリティの部分が不安定であると何を信じ、何を頼りに、どう関わっていけばいいのかが見出せません。それほどに愛着の形成とは重要で、パーソナリティの基礎を築き、生涯に渡って影響を及ぼすものであることが分かります。
大人の愛着障害の克服には、不安定で未熟かつ未完成なパーソナリティの部分に変化を与えていくことが生きづらさを克服し生きやすさを得る一つの方法と言えるでしょう。
愛着障害へのよくある誤解
大人の愛着障害について名前や症状などが知られるようになった一方で、間違った情報が広まっていることも事実です。その間違った情報にどのようなものがあるのでしょうか。
間違い情報1:「原因は、ズバリ母親のしつけだ!」
愛着の形成は幼少期の親との関わりが重要であると言われていますが、それは「母親」だけの問題でも「しつけ」だけの問題でもありません。親は母親だけではありません。父親や養育者となり得る人であれば当てはまります。小さい頃に親と離れ離れになってしまったとしても、新たな環境で親身に寄り添ってくれて信頼できる人と出会えれば、そこに愛着は形成されます。
また、同じ親から生まれた兄弟に同じように子育てをしたとしても、一方だけ愛着障害になる場合もあります。関わりは重要なものではあるものの一概にしつけや子育て方法だけが原因とは言い切れず、様々な要因により愛着障害へ繋がる可能性はあります。
間違い情報2:「遺伝や性格が原因なので治らない」
遺伝や性格が根本的な原因とも限らず、愛着形成には、生育環境や親子の関係性の影響、個人の気質(先天的特性)など複合的に影響していると考えられています。ただ、愛着障害は「大人の愛着障害の二次的被害」でも触れたように親から子どもへ、子どもからその子どもへ受け継がれていくこともあります。悲しい連鎖が繰り返されないように、大人の愛着障害の克服が必要と言えるでしょう。
間違い情報3:「子どもの頃から苦しんできたので治らない」
愛着障害は克服できる障害です。大人の愛着障害として長く苦しんでこられた方など人により時間はかかるかもしれませんが、幼少期に満たされなかった愛着形成のための深い愛情やスキンシップ、信頼関係を深めるコミュニケーションなどを補うことで克服できます。その辺は後述の「大人の愛着障害改善への道」で詳しく触れていきます。
正しい情報、正しい見立てのもと改善に力を注ぐことが重要です。大人の愛着障害など気になる方は名古屋聖心こころセラピーに一度カウンセリングを受けに来て下さい。
愛着障害と発達障害との違い:見分けることの難しさ
愛着障害は子どもも大人もその特徴から発達障害と間違われることがしばしばあります。正しくいえば愛着障害と発達障害の特徴が表面的には似ている部分が多く、精神科医や心療内科医でも区別がつきにくく判断がとても難しい場合があります。
さらに大人になってから病院に行き、愛着障害と診断される方は稀です。しかし愛着障害を起因とするような生き辛さを感じている、いわば愛着障害のグレーゾーンと言われる方が多くいらっしゃるのが現状です。
愛着障害と発達障害の大きな違いは、愛着障害は後天的、つまり生まれてからの関係性の障害であるのに対して、発達障害は先天的、つまり生まれもった脳機能の障害であることです。原因は大きく異なるものの、そこから現れる特徴には似ているものが多くあり、発達障害の中でも特に自閉症スペクトラム障害(ASD)や注意欠如多動性障害(ADHD)の特徴が愛着障害と似ています。
例えば、発達障害では人に興味を示さず今目の前にある興味あることに没頭したり、場をわきまえず急に話し出したりする特徴により、人間関係がうまく築けないことがあります。大きくいえば「認知・行動」の問題と言えるでしょう。
一方愛着障害では「人間関係を深めたい」といった感情や「仲良くなりたい」といった意欲が育っていないため人との関係性の作り方や距離感が掴めなかったり、〇〇をすることで得られるメリットや絆の深まりなどの経験がないといったことが基となり、人間関係がうまく築けないことがあります。大きく捉えれば「感情」の問題とも言えるでしょう。
現在ある生き辛さに何か原因があるのは明白です。生き辛さと共にこの世に生まれてきた人はいません。繰り返しお伝えしている様に大人の愛着障害は改善が充分に可能です。満たされなかった思いや経験できなかった触れ合いを補い、考え方の歪みの修正などを行うことにより愛着障害の克服へと進んでいきましょう。
愛着の源は「安全基地」:安心できる心の拠り所
愛着形成で重要となるポイントが「安全基地(Secure Base)」です。安全基地というのは安心できる人、信頼できる関係など「心の拠り所」とも言えるものです。子どもで例えれば、母親などの自分を守ってくれて愛情を注いでくれる人に当たるでしょう。このような私が居ていい場所、話したくなる相手など人生において心の拠り所となる「安全基地」を持てるか持てないかで愛着障害の改善に大きく影響してきます。
大人の愛着障害の場合、今現在に於いて自分の親に愛着形成を求めることはあまり現実的ではありません。今まで親が我が子と形成していくはずだった愛着のスタイルを作らず、生き辛さを感じている我が子のことをそのままにしてきたことを考えれば尚更です。そうではなく、大人としてのメリットを活かしていくことが先決でしょう。
大人になればなるほどコミュニティが広がり、自ら広げることもできます。「安全基地」を見つけること、探し求めることができるのです。信頼できる先輩や上司との関わりにより憧れや目標を持ち、さらに自己肯定感や自尊感情が高まることで職場や趣味、人間関係に安全基地を見出したり、恋人やパートナーとの間に幼少期に満たされなかった愛情や深い関係性、コミュニケーションを持つことで安心や安らぎが生まれ、恋人やパートナーが安全基地としての役割を発揮してくれます。
もし恋人や夫婦で相手に愛着障害の特徴が見られるようであれば、愛着障害をよく理解された上でその方をサポートしていただけると良いかと思います。そばにいて、話を聞いて、スキンシップも大切に、ゆっくり時間をかけて、リラックスできる環境や関係を作っていくことで、安定しない感情やどこか寂しげな様子、心配になるほど頑張りすぎてしまう相手の心の拠り所となり愛着障害の改善が見られることがあります。
名古屋聖心こころセラピーでは個人のカウンセリングはもちろん、夫婦カウンセリングも行っております。今まで感じていた違和感を一度第三者を交えご相談してみてはいかがでしょうか。大人の愛着障害などの原因を見出し、解決・改善へとサポートさせていただきます。
大人の愛着障害:改善への道
人付き合いが苦手で違和感を抱きながら生きてきた日々、孤独感や空虚感で消え去りそうになっていた日々、周りの期待に応えようと一生懸命頑張ってきたけれど結果自信が持てなかった日々、そのような日々から抜け出して、大人の愛着障害を改善していきましょう。
まずは大人の愛着障害を認め受け止めることが必要です。例え虐待やネグレクトがなく、両親とともに家族として生活していたとしても、子どもに無関心であったり、コミュニケーションが不足していたりすれば愛着の形成に影響は出てくるでしょう。子どもは親の様子を敏感に感じ取っています。「親は親なりに愛してくれたと思う」というのは親への気遣いではないでしょうか。家族のありのままを受け入れることも時に必要な場合があります。
そして、大人の愛着障害の改善に必要なものが「安全基地」です。恋人やパートナー、友達など信頼し一緒にいて安心できる身近な人とのコミュニケーションやスキンシップを通して、幼少期に得られなかった愛情を満たしていくことで改善に繋がります。安全基地から何事にも意欲的に向かっていく原動力を得ることができるでしょう。「帰る家がある」といったイメージでしょうか。あなたはあなたのままで素晴らしいと受け入れてくれる存在は、生きる上で心の支えとなります。
また、自分の存在価値を評価し受け入れてくれる環境や関わりにより、自己肯定感や自尊心が育まれ改善に繋がる場合もあります。大人の愛着障害を抱える方は、自分に自信がなかったり、自己評価が低いことが多いため、存在価値を認めてくれる職場などに身を置くことは愛着障害の改善に有効です。存在価値を認めてもらうことで「認めてもらえた」「これでいいんだ」と自信がつき、能力発揮を後押ししてくれることも期待できます。
あなたは、愛される存在であり、人を愛することもできます
普段感じていた不安や昔から抱いていた違和感が実は愛着障害かもしれない、特に大人になるに従い色々なストレスが重なり何が原因なのか分からず、自分の考え方の問題だろうと苦しさの解決を後回しにしているケースも多くあります。
「大人の愛着障害改善への道」では安全基地を見つけたり、対等に評価され自己を発揮できる環境に身を置くことを挙げました。それに加えまずは自分を見つめ現状を相談してみることをお勧めします。信頼のおける身近な人に勇気を出して話してみるのもいいでしょう。またはカウンセリングを利用してみるのも一つの有効な方法です。第三者に話すことで感情に流されず過去に囚われず話を聞いてもらえるとともに、専門的な視点で解決策や改善策を一緒に考えていくこともできます。
考えの歪みがあれば修正もしくは新たに再構築し、自分にフィットした考え方を身につけ、人との付き合い方が分からなければどのような心持ちで付き合うと良いのかどのような距離感が良いのかを愛着障害の問題を機に共に考えたりレクチャーもしていきます。
人生はあなたが思っているよりも本当は随分生きやすく楽しいはずです。あなたは自分が思っているよりもきっと身近な人達から愛されています。そして、例え愛着障害だからといって人を愛すことができないわけではありません。愛し方を知らないだけで、改善するとパートナーも子どもも自分自身も納得した形で愛することができます。
名古屋聖心こころセラピーでは、愛着障害などの問題をカウンセリングや安全な関係性を土台にした心理療法(愛着理論に基づくアプローチ、精神化機能の回復を目指すメンタライゼーションなど)により相談者の方の心の回復を目指します。そして二度と同じことで悩むことがないようにサポートいたします。今ある問題や不安・苦痛から早期に解放され、生きやすく心軽やかな愛溢れる生活が送れるように一緒に目指していきましょう。
参考文献・参考資料
- 小泉茅乃・齊藤勇(2015) 愛着傾向が青年期の人間関係に及ぼす影響について 立正大学心理学研究年報第6号
- 山下洋(2012) 思春期問題の背景にある愛着障害について 総合病院精神医学 24巻 3号
- 数井みゆき編著(2012)『アタッチメントの実と応用医療・福祉・教育・司法現場からの報告』 誠信書房