夫婦間セックスレスカウンセリング

セックスレスの問題は、ご夫婦の一方が望んでいても、もう一方が望んでいない、という状況が少なくありません。望まない側は、時に安易に拒否してしまうことがありますが、受け入れてもらえない側にとっては、寂しさや不満が募るだけでなく、自信を失い、自己嫌悪に陥ってしまうこともあります。お二人が再び、健全で愛情のあるご夫婦に戻れるよう、お手伝いできればと思います。
夫婦間セックスレスの定義

「セックスレス」とは、どの程度の性交渉がない状態を指すと思いますか?
日本性科学会によれば「特殊な事情が認められないにもかかわらず、カップルの合意した性交やセクシャル・コンタクトがいずれも1ヶ月以上なく、その後も長期に渡ることが予想される場合(日本性科学会より)」と定義されています。
しかし、この定義はあくまで目安であり「性交渉の頻度が減った」「性的な接触がなくなった」「パートナーとの性的な関係に悩んでいる」など、個人の性的な満足度や恋愛関係の状態によって「セックスレス」と感じる基準は異なります。
「カップルのうち、どちらかがセックスをしたいと望んでいるのに長期間それができない状態」を総じて「セックスレス」と呼ぶのが一般的な解釈です。
グラフに示す通り厚生労働省の調査によると、20代・30代の夫婦の約4割がセックスレス状態にあることがわかっています。近年では、若い世代ほどセックスレスの割合が高くなっているのが実情です。
セックスレスについて辛く悲しい思いをしている人がとても多く、その相談に来られる方が近年増え続けています。
夫婦間セックスレスがもたらすかもしれないリスク
セックスレスという状態になる前から、実はご夫婦の間に何らかの問題が潜んでいることがあります。夫婦関係が少し冷めてきているなど、問題を自覚されているご夫婦もいらっしゃれば、「夫婦仲は良いと思うけれど、セックスレスであることだけが悩み」とおっしゃるご夫婦もいらっしゃいます。
しかし、前項でも触れたように、実際に夫婦カウンセリングを進めていくと、実は夫婦間に問題が隠れていて、お互いに見て見ぬふりをしたり、我慢したりすることで表面化しておらず、結果として「夫婦仲は良い」と思い込んでしまっているケースも少なくありません。セックスレスに至るプロセスに問題があることに、ご自身では気づきにくいのかもしれません。
セックスレスは、受け入れてもらえない側が自信を失ったり、自己嫌悪に陥ったりしてしまうリスクも考えられます。妻が勇気を出して夫を誘ってみても、「仕事で疲れたから…」と断られてしまう。「仲良くしたい」「愛し合いたい」という純粋な想いが満たされず、虚しさや寂しさを感じ、「私に魅力がないのかな」「もう愛されていないのではないか」といった思いが巡ってしまうこともあるでしょう。
実は、夫の方も、妻の何気ない一言や、時には心ない言葉に傷ついているケースもあるのです。夫から妻を誘ってみても、「そんな気分じゃないから」と冷たくあしらわれたり、結婚当初からセックスのたびに「女心が全然分かってない」と言われ続け、それがプレッシャーとなり、セックスへの意欲が失せてしまったり、「セックスなんてしたくない!」と反発的な気持ちになってしまう方もいらっしゃるようです。
残念ながら、最悪の場合、相手をしてくれないパートナーに嫌気がさし、浮気や不倫に走ってしまったり、セックスレスの問題が解消されないまま、離婚という選択をされる方もいらっしゃいます。
セックスレスは、多くの場合、夫婦間の問題が原因となり、結果としてその状態に至ってしまいます。夫婦カウンセリングなどを通して、夫婦の問題そのものを解決、解消していくことが必要になってくるでしょう。
女性側のセックスレスの背景
セックスレスに悩んで名古屋聖心こころセラピーのカウンセリングに訪れる方は、おおよそ男女半々です。女性がセックスレスについてどう感じているか、男性がどう感じているか(次項で触れます)には、それぞれ特徴が見られます。この項では、女性側のセックスレスについて触れていきます。
女性の場合、セックスそのものよりも、「愛されたい」「夫の愛情を確かめたい」といった、精神的な結びつきを強く求める傾向があるようです。そのため、夫から誘われなかったり、勇気を出して誘っても拒否されたりすることが続くと、「私はもう愛されていないのではないか」「女性として見られていないのではないか」と深く傷つき、落ち込んでしまうケースが少なくありません。
最近では、女性の社会進出も目覚ましく、専業主婦よりも共働きのご夫婦が多くなってきました。そのような状況下でも、夫婦間のコミュニケーションが良好に保たれていれば良いのですが、家事の分担が公平とは言えず、妻ばかりに負担がかかっているような場合、「私も働いているのに…」という不公平感から、夫に愛想を尽かし、冷たく当たってしまうこともあるかもしれません。結果として、夫への嫌悪感から夫婦関係が次第にギクシャクし、セックスをする気持ちになれなくなってしまった、といったケースも少なくありません。
そして、妊娠、出産、特に子育てをしている時期には、「子どもがそばにいるから」とお子さんへの影響を考えてしまい、夫からセックスを求められても、同じ部屋はもちろん、隣の部屋であっても、お子さんへの配慮や罪悪感から抵抗を感じてしまい、とてもセックスをする気持ちになれない、という状況もあるようです。
日頃から夫婦の会話を大切にし、コミュニケーションを心がけることで、お互いを思いやる気持ちが育まれます。そうすれば、夫は妻の気持ちにもっと寄り添えるようになるかもしれません。また、子育てなどのデリケートな時期には、夫の方にも、時と場所を選ぶなどの配慮が大切になってくるでしょう。

男性側のセックスレスの背景
前項の女性側のセックスレスに続き、男性側のセックスレスにも、いくつかの特徴やパターンが見られますので、ご紹介します。
いわゆる「草食系男子」と言われるように、考え方が女性的で、受け身な男性が増えているように感じます。これは、幼少期に父親との関わりが少なく、母親との関わりが中心だったことの影響も考えられます。そのため、セックスを自らリードしていくような男性的な積極性が育まれにくく、結果としてセックスに対して受け身になったり、回数が少なくなったりする傾向が見られることがあります。
また、仕事熱心なタイプの方も、セックスレスになりやすい要因を抱えていることがあります。家庭を支えるためには仕事が第一、と考える男性の場合、常に仕事のことで頭がいっぱいで、セックスに気持ちを向ける余裕がなくなりがちです。時には、夫婦の会話さえも上の空になってしまうことがあるかもしれません。
他にも、独身時代から性に関する映像や雑誌を多く見てきたことで、「女性はこうあるべきだ」という、現実とは少し離れた女性像を抱いていたり、風俗店での経験から「女性はこんなことをしてくれるものだ」といった思い込みがあったりする場合、そのイメージと現実の妻とのギャップに落単純してしまい、妻とのセックスへの意欲を失ってしまう男性もいるようです。

食欲、睡眠欲、性欲は、人間の自然な欲求なのですが、セックスレスの状態にある男性の中には、性欲解消のために風俗店を利用している方が少なくないと言われています。
そして、妻との関係性もセックスレスに大きく影響します。日頃から夫婦仲に問題があり、妻から強い口調で注意されたり、人格を否定されるようなことを言われ続けたりすれば、セックスをしようという気持ちが起きなくなるのも、無理はないかもしれません。
過去からの思考パターンや習慣、現在の夫婦関係などがセックスレスの要因となっている場合、なかなか人に相談しにくいと感じるかもしれませんが、ぜひ一度、当セラピーの夫婦カウンセリングをご検討いただき、今抱えている問題を根本から見つめ直し、解決に向けて一緒に歩んでいきませんか?
生活のすれ違いが引き起こすもの
セックスレスの原因の一つとして、「生活のすれ違い」があります。
- 息つく間もなく、慣れない子育てに時間に追われ、一人で奮闘している妻
- 毎日残業続きで夜遅くまで働き、休日も仕事の連絡が入ればすぐに対応している夫
- 共働きで、一方が平日休みなど、休みが合わず、家にはただ寝に帰ってきているようなご夫婦
このように、物理的な生活リズムの違いによるすれ違いだけでなく、一緒にいても心が通い合わない「心のすれ違い」にまで発展してしまっているご夫婦もいらっしゃいます。
特に、出産・育児という大きなライフスタイルの変化は、慣れないことばかりで、とても忙しくなります。妻は育児で手一杯になり、それだけで疲れ果ててしまい、一日が終わってしまう…ということも珍しくありません。そのような時に夫からセックスを求められても、疲れ切っていて、とてもセックスをする気持ちにはなれない、ということもあるでしょう。
そんな時、夫が妻への労いの言葉をかけたり、家事や育児を積極的に分担したりするなど、妻の心の支えとなり、「二人で子育てをしているんだ」という実感を持つことで安心感が生まれ、リラックスした気持ちになり、自然とセックスへと繋がっていくこともあるのではないでしょうか。
しかし、物理的に生活スタイルが合わないから仕方がない、というわけでもありません。生活スタイルが合わないご夫婦が、皆セックスレスに陥るのでしょうか。答えは、もちろん「いいえ」です。時間が限られている中でも、コミュニケーションを欠かさず、お互いを思いやる声がけや心遣いを忘れず、夫婦間での温かいやり取りを大切にしている健全なご夫婦もたくさんいらっしゃいます。
共働きがスタンダードとなってきている現代だからこそ、お互いに認め合い、関わり合うことを大切にする気持ちが基盤となり、信頼関係が育まれ、セックスレスに悩むことのない、より良い夫婦関係を築いていけるのではないでしょうか。
なぜ、「セックスする気持ち」になれないのか
「パートナーと、セックスする気になれない…」
「以前はあんなに情熱的に求め合っていたのに、今はそんな気持ちにならない…」
ご自身で「この問題をどうにかしたい」と感じ、ご夫婦で、あるいはまずはお一人で、当セラピーを訪れる方もいらっしゃいますね。あんなに愛し合っていたのに、どのように気持ちが変化して、今のセックスレスという状況に至ってしまったのでしょうか。
まず、新婚時代を経て、やがて妊娠、出産、育児という時期へと移行していく流れは、ご夫婦にとって大きな変化点です。夫婦関係もその変化に合わせて柔軟に対応していけると良いのですが、過去の情熱的な関係や理想と現在を比べてしまい、「昔はあんなに愛し合っていたのに…」と寂しく感じたり、悲観的に捉えてしまい、気持ちが落ち込んでしまうケースも少なくありません。
夫側の心理として、もはや妻を一人の女性として見ることができず、セックスをする気が起きない、というケースもあります。子育て中の妻の存在が「子どもたちのお母さん」という役割に固定化され、性的な対象として見られなくなっているのです。夫側に悪気は全くないのかもしれませんが、「子どもたちのお母さんに手を出すのは気が引ける」といった男性心理が働いてしまい、セックスの対象ではなくなってしまうのです。
また、もともと性への関心が薄い、というケースもあります。「今はそんな気分じゃないから」「今日はもう寝よう」と、曖昧に断られることはありませんでしたか? 性的な事柄に対して元々関心が薄く、お子さんが生まれると、その傾向がさらに強まることもあります。
一方はスキンシップを求めているのに、もう一方は今のままで良いと感じている… このようなすれ違いは、健全な夫婦関係とは言えないかもしれません。そこには我慢や虚しさがあり、お互いにとって心地よい関係とは言えないでしょう。性に関して「いけないこと」「恥ずかしいこと」と否定的に捉えている方もいらっしゃるようです。そうした場合、考え方の偏りを少し修正していくことが必要な場合もあるでしょう。
セックスをする気になれないことには、必ず何らかの原因やきっかけがあるはずです。それから目をそらさずに、向き合うことが大切です。でも、「理由はよく分からない」と感じることもあるかもしれません。そのような時は、当セラピーの夫婦カウンセリングをご検討ください。問題の原因を明らかにし、解決に向けて一緒に取り組んでいきましょう。
「過去のトラウマ」が影響していることも
セックスレスの原因と考えられるものには、現在のパートナーとの関係だけでなく、過去のつらい経験(トラウマ)が起因していることも少なくありません。
女性の場合、「昔から男性が怖くて…」といった男性への不信感や苦手意識があり、たとえ夫であっても「男性」であることに変わりはなく、性行為に対して強い抵抗感や嫌悪感を拭えない、という方も、実は少なくありません。これは、過去に望まない性行為(レイプなども含みます)や、同意のない強引な行為、あるいは性的虐待といったつらい経験をし、その時の記憶が心の深い部分に刻み込まれてしまい、今も解消されないまま残り、時にはフラッシュバックのように突然よみがえってくることで、たとえ愛する夫であっても、男性との性行為に対して強い抵抗を感じてしまうのでしょう。
実は、幼い頃の親子関係が影響している場合もあります。例えば、父親が非常に厳格で、母親や家族に対しても厳しく、家庭内が常にピリピリとした緊張感に包まれていた…といった環境で育った場合、お子さんの中で「お父さんは怖い」という認識が「男性は怖い存在だ」という考えに繋がり、男性全体への不信感となってしまうケースもあるのです。
一方で、男性の場合、父親との関わりが希薄で、「男性とはこうあるべき」というイメージが明確に形成されず、母親との関わりが中心だったため、考え方が女性的で、物腰が柔らかい、いわゆる「草食系」と呼ばれるような男性が増えているように感じます。性への関心が薄い、あるいはほとんど無い、といった男性もいらっしゃるようです。中には、性に対して「汚いもの」「恥ずべきこと」「気持ち悪いもの」「いけないこと」といった、否定的な、あるいは偏った考え方をお持ちの方もいらっしゃるようです。
もし、親子関係やご自身の生い立ちが影響していると感じられる場合は、まず個人カウンセリングを受けていただき、過去から抱えている問題の解決に取り組むことをお勧めします。過去の問題や心の縛りから少し解放された上で、改めて現在の夫婦問題について、夫婦カウンセリングを通して解決を目指していくのが良いでしょう。
夫婦間セックスレスが「浮気・不倫」の引き金に?
セックスレスが原因で、浮気や不倫に走ってしまう方が、男女問わず見られます。
妻が全然相手をしてくれないから…
夫が全く構ってくれないから、仕方がないじゃない…
何度も拒否され続けて、虚しさや孤独感を埋めたかった…
このように、セックスレスを理由に浮気・不倫に走るのは、女性側にも見られますが、どちらかというと男性に多い傾向があるようです。妻の妊娠・出産・育児期は、夫婦間の価値観の違いやすれ違いが起きやすく、互いの理解とサポートがより重要になります。ましてや女性側にとっては、この時期の浮気や不倫は、生涯許せないほどの裏切り行為として、深い怒りと落胆が、心の傷として長く残り続けることでしょう。
また、もともと性的に積極的なタイプの方であっても、結婚して妻に対して性的な興味や魅力を感じる期間は、せいぜい3年程度という話も聞かれます。それ以降は、家庭の外に性的な関係を求める傾向が出てくる方もいます。浮気や不倫、あるいは風俗店へ定期的に通うようになる男性もいるようです。「今回だけなら大丈夫だろう」「きっとバレないだろう」という安易な気持ちや、「構ってくれない方が悪いんだ!」といった、まるで子どもが拗ねているかのような、少し未熟な考え方を持っていることが多いのかもしれません。
本当は、妻と気兼ねなく話し、笑い合い、リラックスできる関係を望んでいるのではないでしょうか。それなのに、満たされない気持ちを妻と正直に話し合うこともせず、安易に浮気や不倫に走ってしまうことは、決して許されることではありません。問題から目をそらし、自分に都合の良いように解釈して行動することは、これまで築き上げてきた夫婦関係や信頼関係を、一瞬にして崩壊させてしまう行為だからです。
日頃から、ご夫婦でのコミュニケーションを大切にできていますか? 結婚し、一つ屋根の下で共に暮らすパートナーだからこそ、関係がマンネリ化しないように、お互いに心がけていくことが大切ですね。そのためには、お互いを認め合う気持ちを持つことや、時には腹を割って話し合うこと、そして必要であれば、当セラピーのような夫婦カウンセリングを活用することも、有効な方法だと思います。
拒否される側のつらい気持ち
「愛し合いたい」「夫婦としての絆を深めたい」… そんな思いで、妻や夫を誘ってみるものの、「仕事で疲れたから」「今日はそんな気分じゃないから」と、はっきりと、あるいは曖昧に断られることが続けば、やるせない、悶々とした気持ちが募り、やがてパートナーに対して不安や不信感を抱くようになってしまいます。
もう私のこと(俺のこと)、愛していないの?
私(俺)には、女性(男性)としての魅力がないのかな?
結婚した意味って、あったのかな?
あなたにとって、私の存在って何なんだろう? 家政婦のような存在なの?
俺の存在って、お金を稼いでくるだけの存在なのか?
もしかして、浮気や不倫をしているんじゃないか…?
このまま、ずっと愛し合うことなく、人生が終わってしまうのかな…
このように、拒まれたことで深く傷つき、自己嫌悪に陥ったり、自信を失ってしまったりする方もいらっしゃいます。
拒否されるのは、自分に何か問題があるからなんだ…
こんなにセックスを求めてしまう私は、普通じゃないのかもしれない…
男性として(あるいは女性として)の自信をすっかり失くしてしまった…
まるで自分だけが盛り上がっていたかのような虚しさ、夫婦としての温もりを感じられない悲しさ、気持ちが通い合わないもどかしさなどが、心の中に溢れてきて、「なんで?どうして?」という思いが頭の中をぐるぐると巡り、日常生活の中でもセックスレスのことばかり考えてしまい、精神的に不安定になり、日常生活に支障をきたしてしまう場合もあります。
拒否する側にも、何か理由や思うところがあるはずです。それを曖昧にしたままでは、拒否される側は、先ほど述べたような悶々とした気持ちを抱えたまま過ごすことになってしまいます。たとえ夫婦であっても、それぞれが一人の人間であることには変わりありません。言葉を通して気持ちを伝え合い、理解し合うこと、つまり、話し合いを通した関わりが不可欠です。
もし、ご夫婦二人だけではなかなか話し合いにならなかったり、話し合うこと自体が難しかったりするようでしたら、当セラピーの夫婦カウンセリングをご検討ください。お互いの本当の思いを知り、それぞれの気持ちを大切にしながら、尊重し合える新しい夫婦の関係性を、一緒に築いていきましょう。
恋人だった頃と、夫婦になってからの違い
恋人同士だった頃は、お互いに強く惹かれ合い、気持ちが高ぶり、情熱に満ちた時間を過ごすことが多いでしょう。まるでおとぎ話のような世界観の中で、刺激やムード、特別感を求め、それを大切にしていたのではないでしょうか。「愛は盲目」と言うように、良い面ばかりに目が行きがちで、冷静に見るべき点が見えにくくなっていることも、実は少なくありません。
そして結婚すると、いよいよ共同生活がスタートします。一つ屋根の下で暮らし、寝起きを共にし、食事を一緒にとるという生活スタイルは、まず大きな変化と言えるでしょう。そして、日々の暮らしの中での性生活の位置づけも、恋人時代とは大きく変わってきます。情熱や刺激、特別なムードを求める関係から、日々の安心感やリラックスした雰囲気の中で、穏やかな愛情を育んでいくスタイルへと変化していくのが自然です。例えば、毎日顔を合わせて生活する中で、毎回、特別なムードを作り出すというのは、現実的には難しいかもしれませんね。
お互いに惹かれ合い、恋人時代を経て結婚し、現在に至る中で、「結婚」という大きな転換期を迎えられたご夫婦。大きな転換期ですから、恋人時代と夫婦としての暮らしには大きな違いがあるのですが、中には、その違いを混同してしまったり、未だに恋人時代の感覚を求めてしまったりする方もいらっしゃいます。そうした感覚のズレが、やがて夫婦間のすれ違いや問題となって現れてくることがあります。そのすれ違いを、明確な夫婦問題として捉えることなく、今日まで来てしまったのではないでしょうか。セックスレスの原因は、こうしたところにも潜んでいるのです。
セックスレスの背景には、様々な夫婦の問題が隠れている場合が多くあります。当セラピーの夫婦カウンセリングにも、セックスレスがお悩みで訪れた、一見すると仲が良さそうに見えるご夫婦でも、実は、家庭内では妻が強く夫が萎縮してしまっている関係性だったり、仕事で多忙な夫に妻が寂しさを感じていたり、逆に妻が子どもにかかりきりで夫が不満を抱えていたり…といった、様々な夫婦の問題がカウンセリングを通して明らかになってくることがあります。夫婦カウンセリングにより、夫婦のあり方を根本から見つめ直し、より良い関係を目指して、積極的に問題解決を図りましょう。
夫婦関係の再構築をお勧めします
ここまで読んでいただいて、お分かりいただけたかもしれませんが、セックスレスという現象だけが、問題の根本原因であることは稀です。セックスレスに至る背景には、多くの場合、何らかの夫婦間の問題が存在しています。
男女間のセックスに対する考え方の違い、生活リズムや心のすれ違い、仕事や育児に追われる中でのパートナーとの関わりの希薄化、過去のトラウマの影響、恋人時代と結婚後のギャップなど… 様々な要因が複雑に絡み合い、気がついたらセックスレスという状況になってしまっていた、と言えるのかもしれません。
セックスレスの状態を改善していくためには、まずその背景にある夫婦の問題を明らかにし、新しい関係性を築いていくことに取り組むのが、最も大切なステップです。ただ、ご夫婦によっては、ご自身たちの間に問題があるとは全く自覚されていない、穏やかに見えるケースもあります。あるいは、結婚前は優しかったパートナーが、結婚後に人が変わったように厳しくなり、何かあると責められたり、すべてを相手のせいにされたりして、すっかり萎縮してしまっている、という方もいらっしゃるかもしれません。逆に、『夫婦なのだからセックスは当然だ』とばかりに強引な要求をされ、精神的に追い詰められてセックスを拒否し、対立してしまっている、というケースもあるでしょう。
良好な夫婦関係を築くためには、お互いを一人の人間として認め合い、尊重し、大切に思う気持ちが、何よりも不可欠です。「結婚したのだから、言葉にしなくても分かり合えるはず」というのは、残念ながら幻想に近いかもしれません。言葉にして伝えなければ、本当の気持ちはなかなか伝わらないものです。お互いを「一人の人間」として尊重することを前提に、時にはじっくりと話し合い、気持ちを確認し合う時間を持つことも大切です。
まとまった時間が取れなくても、顔を合わせた時の笑顔での挨拶や、何気ない会話、ちょっとしたスキンシップなど、日々の小さなコミュニケーションを心がけるだけでも、夫婦の間に安心感が生まれ、リラックスした関係を保ち、これからも長く愛情を育んでいくことに繋がるでしょう。
夫婦間の問題で悩んでいらっしゃる方は、実は決して少なくありません。しかし、夫婦や家庭のことは、なかなか人に相談しにくいものです。また、ご両親や兄弟姉妹に相談しても、どうしても身内びいきになってしまいがちで、公平なアドバイスを得るのは難しいことが多いでしょう。そのような時は、ぜひ当セラピーの夫婦カウンセリングをご検討ください。私たちは、しっかりとした根拠に基づいたアプローチで、心の問題や夫婦間の課題に向き合い、関係改善や再構築を目指すお手伝いをします。聖心こころセラピーで、今抱えている問題や不安、苦痛から少しでも早く解放され、ご夫婦が共に楽しく、充実した人生を歩んでいけるよう、一緒に取り組んでいきませんか?
夫婦間セックスレスの心理テスト
参考文献・参考資料
- 厚生労働省(2010) 第5回男女の生活と意識に関する調査
- 岡田尊司(2018)『夫婦という病』 河出文庫
- Pacher Alice(2020) 現代日本社会におけるカップルの親密関係及び性関係とその国際比較:セックスレス現象の分析から