ギャンブル依存症カウンセリング

ギャンブル依存症の特徴として、嘘や隠し事が増え、同時に必ず借金の問題が絡んできます。その結果、周囲からの信用や信頼は失われ、最悪の場合、人生そのものが破滅に向かってしまうこともあります。ですから、この問題行動の根本的な原因(起因)を理解し、自分自身と向き合い、二度と同じ過ちを繰り返さないための仕組みを作ることが、何よりも急務となります。

目次

ギャンブル依存症とは

ギャンブル好きとギャンブル依存症の違い ギャンブル好き ギャンブルがしたくても我慢できる 仕事や家庭への支障がない 経済的な影響がない範囲で行える 負けても深追いせずに辞められる ギャンブル依存症 ギャンブル欲を止められない ギャンブル中心の生活 経済的な影響が出てもやめられない 勝つまでやめられない

ギャンブル依存症は、ギャンブルへの強い衝動を抑えられず、生活に支障をきたすほどのめり込んでしまう精神疾患です。「ギャンブルをしたい」「賭けをしたい」という衝動を制御することが困難になり、借金を繰り返すなど日常生活や人間関係に深刻な影響を及ぼします。

ギャンブル依存症の人は、決して「いい加減な人」ではありません

ギャンブル依存症に陥ってしまう人は、「だらしない」「いい加減な人」というイメージを持たれがちかもしれません。しかし、聖心こころセラピーにご相談に来られるギャンブル依存症の方々は、むしろ、普段は真面目に仕事に取り組んでいる方が多く、「ギャンブルさえしなければ、本当に良い人なのに…」と思わせるような、温かい人柄をお持ちである場合が多い、という印象を受けます。

また、ギャンブル依存症の方は、どちらかというと大人しく物静かな方が多く、人間関係を築くのが少し苦手であったり、自分の気持ちをうまく表現することが苦手であったりするタイプの人が多い、という特徴も見られます。

ギャンブル依存症の人は、安易な快楽に流されやすい?

「ギャンブルは好きでやっているけど、別に依存はしていないから、自分はまだ大丈夫だ」
そんな風に思い込んでいませんか?

依存症の定義

ギャンブル依存症とは、「ギャンブルをしたい」「賭け事をしたい」という強い衝動を、ご自身の意志で抑えることができなくなり、借金を繰り返してでも、生活に支障をきたすほどギャンブルにのめり込んでしまう症状のことです。

代表的なギャンブル依存の種類

一般的なギャンブル依存の種類としては、

  • パチンコ・パチスロ依存
  • 競馬依存
  • 競艇依存
  • 競輪依存
  • 不法賭博依存(オンラインカジノ、闇スロット、賭けポーカー・バカラ・ルーレット等)

などが代表的なものとして挙げられます。

依存へのプロセス

もう一度、あの快感を味わいたいという強い欲求

最初は、友人などに誘われて、軽い気持ちで始めたギャンブルだったかもしれません。しかし、一度でも高額な配当金を得てしまったり、大勝ちする経験をしてしまったりすると、その時の強烈な快感や達成感が脳に深く刷り込まれ、忘れられなくなってしまいます。そして、「もう一度、あの快感を味わいたい」という強い欲求から、ますますギャンブルの深みにはまってしまうのです。

ご本人には、依存症であるという自覚がない人も多く、周りの人が気づいた頃には、すでに深刻な事態に至ってしまっている、ということも少なくありません。

ギャンブル依存症の特徴:こんなことはありませんか?

これまでに、以下のような経験はありませんでしたか? ご自身の状況を振り返ってみましょう。

  • ギャンブルで負けたお金を、「別の日に取り返しに行こう」と考える。
  • 暇さえあれば、スマホをいじってギャンブルに関する情報を集めている。
  • ギャンブルが原因で、大切な人間関係や仕事を失ったことがある。
  • ギャンブルをするために、人(家族、友人、消費者金融など)からお金を借りたことがある。
  • 何か問題から逃げたくなったり、嫌な気分になったりした時に、気を紛らわすためにギャンブルをしてしまう。
  • 「どうしたら勝てるだろうか」「次はいくら賭けようか」など、頭の中は常にギャンブルのことでいっぱいになっている。
  • ギャンブルを我慢しようとしたり、回数や金額を減らそうと努力したりしても、結局、誘惑に負けてまたやってしまう。
  • 自由に使えるお金ができると、まずギャンブルのことが頭に浮かんでしまう。
  • ギャンブルを我慢している時には、イライラしたり、落ち着きがなくなったりする。
  • ギャンブルをしていることを隠すために、家族や友人などに嘘をついてしまう。

いかがでしたか? もし、これらの項目に3つ以上当てはまるようでしたら、あなたはギャンブル依存症と認定しても良い状態かもしれません。

ギャンブル依存症は、ご本人だけでなく、あなたの大切なご家族をはじめ、周りの人々をも深く傷つけ、落胆させてしまうことになります。もし、上記の項目に心当たりがあり、「自分はギャンブル依存症かもしれない…」と感じるのであれば、できるだけ早く対処し、克服に向けて動き出す必要があるでしょう。

ギャンブル依存症の正体は「現実逃避」かもしれません

なぜ、多くの人が、これほどまでにギャンブルに依存してしまうのでしょうか。その理由の一つとして、ギャンブルが、つらい現実から目をそらすことができる、「現実逃避のための、唯一の手段」になってしまっている、ということが挙げられます。

ギャンブルが提供する「居場所」

例えば、パチンコ依存症の場合を考えてみましょう。大音量のBGM、キラキラと光る画面、そして「次こそは勝てるかもしれない!」という強い期待感によって、心はワクワクと高揚し、まるでそこが楽園(パラダイス)のように感じられるかもしれません。

そのため、会社などで嫌なことがあったり、日常生活でイライラすることがあったりしても、パチンコをしている間だけは、その不快な気持ちをすっかり忘れることができてしまうのです。特に、人付き合いが苦手な人にとっては、周りの人のペースに合わせる必要もなく、誰かから文句を言われることもない、このパチンコ店という空間が、まるで「自分の唯一の居場所」のように感じられてしまうのです。

偽りの達成感と満足感

さらに、パチンコなどのギャンブルには、勝った時の「優越感」や「達成感」、「満足感」といった、強い報酬(快感)が伴います。こうした強烈なポジティブな感情を一度味わってしまうと、なかなか止めることができなくなってしまうのです。勝った時の喜びがどれほど大きいものなのかは、ギャンブルをされない方でも、例えばトランプゲームなどで勝負に勝った時の経験などを思い浮かべれば、想像することは難しくないでしょう。

ギャンブル依存症に陥るプロセス

ギャンブル依存症に陥ってしまう方の多くは、心の奥底で「誰かに認めてもらいたい」という強い感情を抱いています。

根底にある「寂しさ」と「不安」

それは、裏を返せば、「周りから認められていない」という寂しさの表れであり、根本的に強い不安や孤独を感じている人が、実はほとんどなのです。最悪の場合には、現実の生活から目を背け、人間関係からも逃げ出すための行動(逃避行動)となってしまっています。

依存症の原因は、多くの場合、子どもの頃に育った環境と密接な関係を持っています。例えば、ご両親に人生の喜びや楽しみ方を教えてもらう機会が少なかったり、親からの愛情を十分に感じられずに育ったり、家族との間で健全なコミュニケーションが不足していたりすると、「自分は本当に大切な存在なのだ」という絶対的な自己肯定感を持つことが難しくなります。そして、その満たされない気持ちを抱えたまま大人になってしまった結果、ギャンブルなどの依存行動に走りやすくなってしまう、と言えるのです。

ギャンブルによる「偽りの自信」

そんな満たされない気持ちを抱えた方が、たまたまギャンブルをして、一時的に大きな収入(臨時収入)を得てしまうと、「すごい!こんなに儲かった!」「やっぱり私は勝負事に強いんだ!ギャンブル運があるに違いない!」といった、根拠のない妙な自信を持ってしまうことがあります。そして、気分が大きくなり、思わず友人や後輩にご飯を奢ってあげたりする…。この行動は、まさにギャンブルによってもたらされた、一時的で脆い「自信」と「優越感」の表れだと言えるでしょう。

しかし、当然ながら、これは一瞬の「安易な達成感」に過ぎません。ひとたびギャンブルで負ければ、また冷たい現実へと引き戻され、ネガティブな感情が再び湧き上がってきます。そして、その心の穴を埋めるために、またパチンコ店、スロット店、あるいは他のギャンブル場へと、足を運んでしまうことになるのです。

ギャンブル依存症は、金銭的な問題を常に抱えています

「ギャンブル依存症の最大の悲劇は、人生そのものまでギャンブル化してしまうことにある」と言えるかもしれません。

金銭感覚の麻痺と借金

ギャンブル依存症が進行し、症状がひどくなると、金銭感覚が相当に麻痺してしまい、一度に驚くほどの、異常な金額をつぎ込んでしまうようになります。「少しくらいなら大丈夫だろう」と思っていても、次第に生活費や貯金にまで手を付けるようになり、結果的に借金を繰り返すということになってしまいます。

恐ろしいことに、アルコール依存症のように、飲みすぎによって体調を崩したりすれば、ご本人も事態の深刻さを実感しやすいのですが、ギャンブル依存症の場合は、自己破産などの経済的な破綻を経験したり、あるいは家庭が崩壊してしまったりするような、決定的な状況にならない限り、なかなか事態の深刻さを認識することが難しいのです。

例えば、ギャンブルでお金が無くなってしまっても、「また借りて、勝ってすぐに返せばいいんだ」と、安易に考えてしまうようになるのも、そのためです。こうなってしまっては、借金地獄や自己破産といった、最悪の結果を招いてしまうことになりかねません。

ストレス解消の手段としてのギャンブルが、依存症へ

人間関係の悩みや、仕事上のストレスなどを発散するために、ギャンブルをしている、という人も多くいらっしゃいます。

抜け出せない依存のループ

しかし、なかなか自分の意志だけではやめることができず、借金を繰り返し、そのたびに家族が金銭問題の後始末に奔走する… というケースも少なくありません。ご自身の力だけでギャンブルをやめることは、非常に難しいものです。ギャンブル依存症を克服するためには、ご家族、特に奥様(あるいは旦那様)の協力が不可欠になってきます。

「夫は仕事も真面目にしているし、子どものことも可愛がっているのに、どうしてギャンブルだけはやめられないのだろう…」「あのギャンブルさえなければ、うちにはもっとお金が貯まっていたはずなのに!」「ハワイに何回行けたことか!」… そんな風に、憤りを感じたことはありませんか?

ギャンブルをする人の多くには、「他にこれといった楽しみがない」という人も多いようです。また、人生において何に楽しみを見出して良いのか分からず、ただ時間を潰すかのように、ギャンブルにのめり込んでいってしまう、というケースもあります。

その背景には、職場や家庭で感じているストレスを解消したり、ギャンブルをすることで嫌な気持ちを紛らわしたりしている、という側面もあります。「ギャンブルをしている間だけは、嫌なことを忘れられる…」それが、依存の元凶となっているのかもしれません。

仕事も真面目に継続している、そんな方のギャンブル依存症

ギャンブルは、一攫千金を狙えるスリルが醍醐味であり、あくまで「嗜む」程度であれば、問題ないのかもしれません。しかし、中には、特に明確な理由もなく、ただ漠然と、習慣のようにギャンブルを行ってしまう、という場合もあります。

ギャンブルにはまる背景

ギャンブルにハマる方の中には、他にこれといった趣味を持たない人も多く、また、お金を稼ぐこと自体に強い関心がある方も多いようです。

もしかしたら、現在の仕事の収入に満足しておらず、その不足分をギャンブルで補おうとしている、ということはないでしょうか。しかし、ギャンブルは、お金を賭けても、トータルで見れば負けることの方が多いものです。負け続けると、普通はやめるものですが、それでもやめられないのは、何か別のストレスや悩みなどがあって、それを紛らわすために、ギャンブルという行動をとっている、という場合もあります。

何か悩んでいることがあるのであれば、誰かに相談してみるのも良いですし、ただ話を聞いてもらうだけでも、気持ちが楽になることがあります。ご自身の気持ちを、言葉にして表現してみるのも良いでしょう。

育った環境の影響

また、ご自身が育ってきた環境、例えば、父親が非常に厳格で、家族団らんといった温かい雰囲気が家庭にあまりなかった、というような場合、ご自身も大人になって、無意識のうちに同じような行動パターンをとってしまっている可能性もあります。

家族でどこかに出かけたり、たわいもない話をしたり、といったコミュニケーションが子どもの頃に少なかったために、いざ自分が結婚して家族できた時に、「どうすれば、みんなを喜ばせ、楽しく過ごせるのか」という経験値が少なく、戸惑ってしまう、という可能性もあります。

ギャンブル依存は、家族の信頼をことごとく裏切ります

パチンコ依存症などのギャンブル依存症の症状や、それに伴う金銭問題が悪化すると、ほぼ例外なく、ご家族もその被害を受けることになるでしょう。

繰り返される嘘と裏切り

金銭問題が家族に発覚するたびに、ご家族は依存症のご本人に反省を促すかもしれません。そのたびに、「もう絶対にやめる」「二度と借金はしない」と固く約束させるのですが、依存症である限り、この約束は、いとも簡単に、そしてあっさりと破られてしまいます

これが繰り返されると、ご家族は「また裏切られるのではないか…」「どうせ、また約束を守ってくれないのだろう…」という、強い不安と疑心暗鬼の気持ちを常に抱えることになり、心身ともに大きなストレスを抱え込むことになるのです。

さらに、ギャンブル依存症になると、日常的に、そして簡単に嘘をつくようになってしまいます。パチンコに行ったことや、借金をしてしまったことを、家族に知られないように、平気な顔で嘘をつき、隠そうとします。

自己嫌悪と悪循環

しかし、もしご自身が依存症であるという自覚がある方は、「家族と約束したのに、またやめられなかった…」「また嘘をついてしまった…」と、深い自己嫌悪に陥るかもしれません。そうして自分に自信を失い、孤独感を募らせ、そのつらさから逃れるために、ますますギャンブルにのめり込んでいく… という、悪循環を作り出してしまうのです。

このようになってしまっては、ご家族はもちろんのこと、社会の中で築いてきた友人関係や職場での人間関係においても、信頼を完全に失ってしまいます。この種のパチンコ依存症、競馬依存症などのギャンブル依存症によって、家族や友人、社会の中での居場所を失い、やむを得ずホームレスになってしまう… そんな厳しい現実に身を置く方が、決して少なくないのも事実です。

ギャンブル依存症により、困り果てる家族

しかし、ギャンブル依存症によって、最も困るのは、やはりご家族です。家族は、いつも「今月も生活費が足りるだろうか…」と、お金の心配ばかりして、毎日気持ちをすり減らしているのではないでしょうか。

失われる家族の時間と安心

もし、ギャンブル依存がなければ、もっと家族でどこかへ旅行に出かけたり、美味しいものを一緒に食べに行ったり、プレゼントを選んだり… そんな、温かい一家団らんの時間が持てる可能性もあります。お子さんに必要な学用品や洋服なども、お金の心配をせずに買ってあげられるでしょうし、明日の食事の心配をしたり、着る服に困ったりすることもないはずです。

「夫婦で共働きしているのに、どうしてうちには、こんなにお金がないのだろう…?」
そんな風に、疑問に感じたことはありませんか?

もし、旦那さんがギャンブルが大好きで、お給料の多くをギャンブルにつぎ込んでいるのであれば、それはもはや単なる趣味の範囲を超え、「ギャンブル依存症」として、放置しておくわけにはいきません。すぐにでも、改善に向けて取り組む必要があります。

家族や身近な人の役割の重要性

そして、旦那さんのギャンブル依存症を治していくためには、家族や身近な人の気持ちや関わり方も、非常に大切になってきます。

例えば、ご夫婦一緒にカウンセリングを受けていただき、まず「ギャンブル依存症とは、どのような病気なのか」を良く理解すること。そして、家庭を再生していくために、旦那さんの回復に向けて、家族や身近な人がどのようにサポートしていけば良いのかを、一緒に考えていくことが必要になってきます。

ただ、感情的にイライラして、「またギャンブルに行ったの?!いい加減にして!」と責めるだけであったり、あるいは、「私がもっと働けば、何とかなるのだから…」と諦めてしまっていては、ギャンブル依存は決して良くなりません。それどころか、問題はますます深刻化し、取り返しのつかない事態になってしまう可能性さえあります。

なぜ、ギャンブルにはまってしまうのか?

例えば、旦那さんのギャンブル依存症が原因で、家計が火の車… そんな時、奥さんはどのように対応されているでしょうか。「私がもっと働けばいいんだ」と、ご自身が頑張ることで、何とかしようとされている方もいらっしゃるかもしれません。

共通の目標を持つこと

あるいは、本人を刺激しないように、波風を立てないように、と、ある意味、ギャンブルを好きにさせてしまっている、という方もいらっしゃるかもしれません。しかし、一度、ご家族で話し合いの場を持ち、「ギャンブルで使っている、このお金があれば、家族でこんなこともできるんだよ」「将来的には、こういうこともしてみたいね」といった、お互いの夢や、家族としての共通の目標のようなものを設定してみるのは、どうでしょうか。

例えば、「マイホームを建てる」「新しい車を買う」「年に一度は家族旅行に行く」といったことでも良いかもしれません。夫婦二人で、あるいは子どもたちも含めて、家族みんなで共通の目標を持ち、それに向かって一緒に貯蓄を始めてみる。それが、本人にとって、ギャンブルをやめるための良い動機付けになることもあります。

信頼関係の再構築

そのためには、まず、お互いが何を考えているのか、何を望んでいるのか、といったことを、率直に話し合う必要があります。お金の問題は、夫婦間の信頼関係にも、深く関わってきます。お金に関する問題をクリアにすることで、かえって二人の絆がより強いものになっていく、ということもあるでしょう。

「そんな話し合い、夫婦だけでは絶対にできない!」と、もしあなたがそうおっしゃるのであれば、ぜひ一度、本人を連れて、当セラピーのカウンセリングへお越しください。ご夫婦が再び和合するための道筋を、一緒に見つけさせていただきます。

孤立させず、コミュニケーションを取ろう

一攫千金で返済して楽にさせたい

ギャンブル依存に陥っている本人は、毎日一生懸命働きながらも、心のどこかで「家族に苦労をかけてしまっている… 申し訳ない…」と感じていることもあります。そして、その罪悪感から、「一攫千金を狙って、借金を返済し、家族を楽にさせてあげたい!」という思いで、かえってギャンブルを繰り返してしまっている、ということもあるのです。

孤独感と気分転換

また、会社などでのストレスや、毎日の仕事の疲れを癒すために、気分転換の手段としてギャンブルをしている、という場合もあるでしょう。

例えば、旦那さんがギャンブルに行ってしまうことで、ご家族(奥さんやお子さん)が、家に取り残されているような、寂しい思いをしていることはないでしょうか。「本当は、もっと家で子どもと遊んでほしいのに…」「たまには、家族でどこかに出かけたいのに…」といった、満たされない願望があるのではないでしょうか。

対話の重要性

そういった場合には、まず、本人と一度、ゆっくりとコミュニケーションを取り、お互いの気持ちを話し合ってみることも、大切です。

もし、ご夫婦一対一で冷静に話し合うことが難しい、と感じる場合には、カウンセラーなどの第三者を交えて、今後の具体的な対策を立てていく、というのも良い方法です。

家族と一緒に過ごす時間も、「実はとても有意義で、楽しい時間なんだな」ということを、改めて感じられるようになれば、自然と家にいる時間が増え、ギャンブルから足が遠のくかもしれません。

本人の気持ちに耳を傾けてみましょう

まず、家族や身近な人から、「私は、本当はこうしたいと思っているんだ」というご自身の素直な気持ちを、本人に話してみましょう。そして、本人にも、ご自身の気持ちを話してもらえるように、穏やかに話し合いをする機会を設けてみると良いでしょう。

根本原因の理解と対策

本人が、一体何を悩み、どんな気持ちからギャンブルにのめり込んでしまっているのか、その理由を知ることができれば、それを改善するための具体的な対策を立てられるようになります。

奥さんの管理がしっかりしていることで、旦那さんのギャンブル依存がコントロールされる、という場合も多くあります。ですから、もし旦那さんのギャンブル依存で悩んでいる、という場合には、ぜひ一度、ご夫婦揃って、ギャンブル依存に詳しいカウンセラーによるカウンセリングを受けることを、強くお勧めします。

これまでもそうであったように、ご本人一人の力だけでギャンブルをやめることは、なかなか難しいものです。ですから、ギャンブル依存になってしまった理由を、家族や身近な人も「他人事」ではなく「自分たちの問題」として考え、ギャンブル依存がコントロールできるように、温かく、しかし毅然とした態度で、支えてあげてください。

金銭管理を、本人が行うのではなく、家族や身近な人が代わりに行う、というのも有効な方法の一つです。しかし、その際に、ペナルティとして極端にお小遣いを減らしたり、厳しく締め付けすぎたりしては、かえって反発し、抜け道を探して、またギャンブルを繰り返すだけになってしまう可能性もあります。そうした具体的な金銭管理の方法などについても、カウンセリングで詳しくお話しできればと思います。

本人を責めるだけでなく、一緒に考える姿勢を

もし、ご夫婦の関係が「共依存」のような状態に陥っていて、「私が働けば、何とかなるのだから、このままでも仕方ない…」と、家族や身近な人が問題を半ば諦めてしまっているような場合、本人も「このままでも何とかなりそうだ」と安易に考え、問題をそのままにしてしまう、ということもあります。

ギャンブル依存症は「病気」

しかし、生活費にまで手をつけてしまうほどのギャンブルは、もはや単なる趣味ではなく、「依存症」という病気の一つです。その状態に陥ってしまった根本的な原因を探り、夫婦で一緒に考えていくことが、解決のためには不可欠です。

もし、会社のストレスなどが原因である場合には、家族や身近な人が直接できることは少ない、と思われがちですが、そんなことはありません。本人のストレスが少しでも軽減するように、「毎日、お仕事お疲れ様です」「いつも、家族のためにありがとう」といった、労いの言葉をかけてあげるだけでも、本人の気持ちは大きく変わるかもしれません。

「どうして、生活費まで使い込んでまで、ギャンブルをしてしまうのだろう…」と、ただ悩むよりも、本人と真剣に向き合う時間を持ち、抱えている悩みや苦しみにも、心を傾けてあげられるようになると良いですね。

家族や身近な人も、ギャンブル依存症という病気に対する正しい知識を持ち、「こういう場合には、このように対応していくのが良いのだな」という具体的な対処法が分かれば、より落ち着いて、効果的にサポートできるようになり、速やかな改善も可能になります。

ギャンブル依存症である、という自覚を持つことが必須です

ギャンブル依存症などになっている場合、まずご自身で「この状況を何とかして直したい」という強い思いを持つことが、回復への第一歩となります。そして、それと同時に、周りの人の適切なフォローや助けも、絶対に必要になります。

ストレスへの対処とコミュニケーション

もし、何らかのストレスがギャンブルの引き金になっているのであれば、そのストレスを感じた時に、安易にギャンブルに走ってしまわないように、例えば、奥さんが優しく声をかけてあげたり、あるいは、一緒に気分転換に出かけたりするのも、良い方法かもしれません。

「どうせ治らないんだ」と無視して諦めてしまうのではなく、「ギャンブルをやめて、また家族を大切にして、充実した日々を送っていこう」と、ご本人が前向きに思えるように、家族間のコミュニケーションを密にとることも大切です。

「どうして、またギャンブルに行くの?!」と、ただ感情的に責めるだけでは、旦那さんも「うるさい!」と反発し、かえって喧嘩になってしまうことにもなりかねません。そうではなく、きちんと話し合いの場を持ち、ストレスの原因を探り、改善に向けて家族みんなで取り組んでいく、という姿勢が必要です。

家計を立て直していくためには、奥さんの協力も不可欠です。「悪いのは全部夫で、私は被害者なのだから関係ない」「これはすべて旦那さんの問題だ!」と突き放してしまうのではなく、「これは夫婦で一緒に取り組んでいくべき問題なのだ」という姿勢を示し、旦那さんを温かく見守っていくことが、とても大切になってきます。

ギャンブル依存症への理解を深め、感情的に振り回されずに済むように、奥さん自身もカウンセリングを受けることも、有効な場合があります。誰か相談できる人がいる、というだけで、「自分一人だけが悩んで、苦しんでいるのではないんだ」と感じられ、その思いを軽くすることができます。そして、心に余裕を持つことができれば、それが結果的に、旦那さんのギャンブル依存症の改善にも繋がっていくのです。

家族とのコミュニケーションをもっと楽しみましょう

家族は、もっと色々な話をしたり、一緒にどこかへ出かけたりしたい、と思っている場合が多いものです。

家族像の多様性

もし、ご自身が厳格な家庭で育っていると、「父親たるもの、仕事だけ一生懸命にやっていれば良いのだ」というような、従来の価値観を持っている人もいるかもしれません。しかし、現代の家族は、コミュニケーションや、一緒に過ごす時間を求めています。「もっと話がしたい」「色々な所へ一緒に行きたい」「もっと時間を共有したい」と、心の中では思っているのです。

これまでギャンブルに使っていたお金や時間を、少しだけ、家庭で待っている大切な家族のために使ってみる、というのはいかがでしょうか。

もしかしたら、ご自身の家族との関係(例えば、ご両親との関係)などが影響して、家族と心から打ち解けてコミュニケーションをとることを、どこかで怖く感じている、という場合もあるかもしれません。でも、家族のことを気にかけてくれるようになれば、家族も、きっと心から喜んでくれるはずです。もっと家族との時間を共有し、家族が喜ぶことにお金や時間を使ってみる、というのも、素晴らしいことではないでしょうか。

家族に還元することで、「家族の一員」として認められる喜びを

例えば、お父さんが外できちんと働いてくれていることは、ご家族にとっては、生活をしていく上で、本当にありがたいことです。

ギャンブルに走る理由と向き合う

そんな大切な生活費を、ギャンブルにつぎ込んでしまうのには、きっと何か理由があるのかもしれません。その理由をご自身の中で整理し、新しい人生を歩み始めるのは、どうでしょうか。

家族との時間をもっと取るようにして、家族との会話を楽しんだり、家族や身近な人に、普段なかなか言えないご自身の気持ちを伝えてみたりするのも良いでしょう。「ああ、あなたはこんな風に思っていたのね」「そんなことを感じていたのね」ということを、理解してもらうだけでも、関係性は大きく変わるかもしれません。家族や身近な人は、本人の気持ちが理解できずに、「どうして良いのか分からない…」と、途方に暮れているケースもあります。

家族や身近な人と共に立ち向かう

ご自身の力だけでギャンブル依存症を治すことが難しい、と感じるのであれば、家族や身近な人にも協力してもらい、一緒にギャンブル依存症に立ち向かっていきましょう。家族や身近な人だけで話をすることが難しい場合や、何か具体的な対策が必要だと感じる場合には、カウンセリングなどを通して、自分がストレスに負けてギャンブルに走ってしまう、その考え方自体を変えていくことでも、ギャンブル依存から立ち直ることは十分に可能です。

「自分は治りたいんだ」という強い思いがあるのであれば、そのことを正直に家族や身近な人にも伝え、「みんなでギャンブル依存に立ち向かっていく」という方針で、治療を行っていくことは、大変効果があります。

例えば、今までギャンブルに消えていたお金を、これからは家族のために還元できるようになると、家庭におけるお父さんとしての信頼は増しますし、何よりも、家族の中に笑顔が生まれてくることにも繋がるでしょう。仕事のストレスなどは、奥さんに話してみるのも良いですし、カウンセリングなどを通して、ご自身の気持ちを整理することも可能です。

ご自身の考え方などを、もう一度見つめ直し、より建設的に物事に取り組めるように、少しずつ変えていけると良いですね。聖心こころセラピーでは、その考え方を変えていくためのセラピーなども行っています。ご自身の心の根底にある考え方を客観的に見つめ、もしそこに認知の歪みがあれば、それを正していくことも必要になってきます。

その根本にある性質(考え方の癖)に、良い影響をもたらすことができれば、ギャンブル依存症は、二度と繰り返すことはなくなるはずです。

ギャンブル依存症の克服に向けて

ギャンブル依存症は、このように、ご自身の性格や人生を歪めてしまうだけでなく、大切なご家族、ご友人など、周りの人々まで巻き込んで、不幸にしてしまう恐ろしい症状です。

ギャンブル依存症である、という自覚がある方は、「止めたいのに、どうしても止められない…」という、言葉にできないほどの苦しみに、日々苛まれているかもしれません。そして、「ギャンブル依存から解放されて、もう一度、生き生きとした、夢や希望のある生活に戻りたい」と、心の底から願っていらっしゃるはずです。

聖心こころセラピーでは、あなたの大切なご家族、そしてあなた自身の人生を守るために、あらゆる心理療法やコーチングの技法を駆使し、ギャンブルへの依存度を少しずつ低下させ、最終的に完全に依存から脱却することを目指すプログラムで、あなたの回復を全力でサポートしていきます。

ギャンブル依存症の心理テスト

参考文献・参考資料

  • 帚木蓬生(2009)『ギャンブル依存症と戦う』 新潮選書
  • 樋口進(2019)『ギャンブル依存症から抜け出す本』 講談社

この記事の著者

榊原カウンセラーは臨床心理士・キャリアコンサルタント・管理栄養士。日本福祉大学大学院修了(心理学修士)、名古屋学芸大学卒。公立小学校での栄養教諭を経て、現在は心理・教育・栄養の複合的な視点から支援活動を行う。日本心理学会・日本心理臨床学会会員として、心の健康や対人関係に関する情報発信・執筆にも力を注いでいる。

この記事の監修者

群馬県出身。現在は東京都・神奈川県を拠点に、臨床心理士・公認心理師として活動している。
医療機関にて老年期医療の現場に携わり、認知症をはじめとした高齢者の心理的支援や、家族へのサポートに従事。加えて、メンタルクリニックでは幅広い年齢層を対象に、カウンセリングや心理検査業務を行ってきた。
現在は、総合病院およびクリニックでの勤務と並行して、個人カウンセリングルーム「つきのわ」を開設。対面・オンライン・テキスト相談など、利用者のライフスタイルに応じた柔軟な相談スタイルを用い、一人ひとりの心のペースに寄り添った支援を提供している。

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