買い物依存症カウンセリング

買い物依存症は、単なる「自分へのご褒美」とは異なります。それは、ご自身を苦しめ、追い詰め、不安と恐怖をもたらす「依存症」なのです。買う瞬間の、ほんの一瞬の高揚感の後には、常に後悔の念が待ち受けており、やがてはご家族からの信頼や、社会的な信用までも失ってしまうことになりかねません。しかし、その行動には必ず原因と理由があります。思考の偏りを改善していけば、きっと大丈夫ですよ。

目次

買い物依存症とは

買い物依存症は、単なる浪費癖ではなく深刻な心の病の一つです。

自制心が効かずに不必要な買い物を繰り返す行動障害で、ギャンブル依存やアルコール依存とよく似た特徴があり、一時的な高揚感や満足感を求めて過剰な買い物行動を繰り返します。

過剰な買い物を続けた末、経済的問題だけでなく、家族関係や社会生活にも悪影響を及ぼしてしまうので、早期の対策や改善が必要です。

まずは自分が買い物依存症の疑いがあることを自己認識し、専門家のサポートを受けるところから始めましょう。

買い物依存症と衝動買いの違い

買い物依存症と衝動買いでは、買い物をするという行動は同じですが、背景にある原因や、生活への影響、治療の必要性などが大きく異なります。

買い物依存症衝動買い
頻度と深刻度慢性的で頻繁、生活に深刻な影響時々起こる一時的な行動
コントロール極めて困難、行動を制御できない通常、自制可能
感情的影響不安、抑うつ、買い物しないと落ち着かない一時的な満足感や後悔
経済的影響深刻な借金、経済的困難通常、大きな経済的問題は引き起こさない
日常生活への影響仕事、人間関係、健康など様々な面で悪影響一般的に日常生活に大きな支障はない
治療の必要性専門家のサポートや治療が必要通常、専門的な治療は必要ない
根底にある原因低い自尊心、うつ病、不安症など深い心理的問題一時的な気分や外部刺激
社会的認識深刻な問題として認識されつつあるが、十分に理解されていない“計画性のなさ”と捉えられることがある。“楽しみやストレス発散”として共感されやすい。

もし、あなたが買い物について悩んでいる場合は、一人で抱え込まずに専門家や信頼できる人に相談することをおすすめします。

買い物依存症の典型的な症状と行動パターン

買い物依存症は、単に物を手に入れることよりも、買い物行動そのものに心理的満足を求めている状態です。

買い物依存症の人は現実逃避や気分転換の手段として、よく買い物を利用します。自尊心の低さや愛情の欠如感を、物を買うことで補おうとする人も多いです。

「買い物依存症の典型的な症状例」

  • 購入後の激しい後悔や自己嫌悪
  • 購入した商品を隠したり嘘をついたりする
  • 買い物に関する罪悪感からの抑うつ状態
  • 買い物をしないと不安や焦燥感を感じる
  • 新商品や限定品に対して異常な執着を示す

また、買い物依存症の症状は段階的に進行していきます。

「買い物依存症の進行過程」

STEP
初期段階

気分転換や「自分へのご褒美」としての買い物が増えていきます。初期段階では、まだ問題として認識されにくいです。

STEP
発展段階

買い物の頻度と金額が増え、隠し事が始まります。購入した商品を家族や友人に隠したり、買い物に行ったことを隠したりするようになります。

STEP
深刻化段階

経済的問題が表面化し、人間関係に亀裂が入り始めます。クレジットカードの限度額に達したり、借金が増えたりする一方で、買い物を制御できない状態が続くのです。

STEP
危機段階

借金が膨らみ、社会生活に支障をきたすようになります。仕事や学業に影響が出たり、家族との関係が悪化したりすることもあります。

買い物依存症の人は、使用しない商品を大量に購入したり、同じものをいくつも買ったりする行動も特徴的です。

また、買い物時には異常な高揚感を覚えますが、買い物直後から罪悪感や自己嫌悪に苛まれるという感情の起伏の激しさも見られます。

上記の症状や行動パターンは個人によって異なる可能性があり、また時間とともに変化することもあります。買い物依存症は単なる浪費癖ではなく、深刻な精神的問題として認識し適切に対処することが重要です。

買い物依存症の原因

買い物依存症の原因 心理的要因 社会的要因 生物学的要因

買い物依存症の原因には「心理的要因」「社会的要因」「生物学的要因」があります。詳しくみていきましょう。

心理的要因

買い物依存症の背景には、低い自尊心や漠然とした満たされなさが存在することがあります。買い物依存の方は、物を所有することでその気持ちを補おうとします。しかし、根本的な心理的要因は買い物では解決されないため、さらに買い物を重ねてしまう傾向があります。

依存症の人は、心の空虚感や不安を買い物で埋めようとし、自己肯定感の低さを物を所有することで補おうとします。

「心理的要因の具体例」

満たされない心と買い物

例えば、親御さんからの愛情を十分に感じることができないまま育ったり、家族との間で温かい、健全な愛情のやり取りが少なかったりすると、慢性的に「自分には愛される価値がないのかもしれない…」といった自信のなさや、寂しさ、不安を抱えたまま、大人へと成長していくことがあります。

買い物依存症の方の心の奥底には、「虚しさ」「不安」「寂しさ」「孤独」「自信のなさ」などから来る、満たされない「欲求不満」が潜んでいることが多いのです。そして、この満たされない思いを埋め合わせるために、「買い物」という手段が、無意識のうちに使われている、ということになります。

あのショップに行けば、お店のスタッフ達が笑顔で迎え、チヤホヤしてくれる。特に女性の場合は、まるで自分がお姫様のように扱われているような、心地よい快感を得ることができます。「いらっしゃいませ!」「そのお洋服、とてもお似合いですよ!」などと褒められることで、「私には、それだけの価値があるんだ」「私は、特別な存在なんだ」と、一時的に感じることができるかもしれません。

一時的な満足感の罠

しかし、当然のことながら、これで自信や満足感が本当の意味で取り戻され、すべての問題が解決するはずはありませんよね。買い物によって、一時的に満足感が得られるのは確かです。しかし、その後には、「またやってしまった… 私って本当にダメな人間だ…」という、激しい自己嫌悪に陥ってしまっては、むしろ不安や自信のなさを、さらに増幅させているだけなのです。

幼少期の経験と愛情不足

若い女性の方にも多いですが、幼少期の頃からの生育過程において、親御さんからの十分な愛情を受けられずに育ち、その代わりに、物だけをたくさん買い与えられてきた、という場合などにも、起こりやすい症状です。

親御さんからすれば、忙しくてなかなか子どもに構ってあげられない代わりに、物を買い与えることで、お子さんに満足感を得てもらおう、としているのかもしれません。しかし、お子さん(ご本人)が本当に求めているのは、物ではなく、親御さんとの温かい触れ合い(スキンシップ)や、無条件の愛情である場合が多く、物では決して埋めることのできない、深い感情を抱えています。

もっと、その方の心に寄り添い、愛情を注いでくれる存在(例えば、パートナーや信頼できる友人など)がいることで、その方の寂しさが和らぎ、買い物への衝動も落ち着いていくことがあります。

夫婦関係の影響

夫婦間においても、例えば、旦那さんの仕事が非常に忙しく、家庭を不在にしがちであったり、あるいは、夫婦間のコミュニケーションが上手く取れていない、といった場合にも、その満たされない思いが、奥様の「浪費」という形で現れてしまうことも、実は多いのです。もし、奥様の浪費癖で悩んでいるのであれば、旦那さんがまず、奥さんの話をじっくりと、共感的に聞く姿勢を持つこと、そして、愛情を持って接することも、改善のためには必要かもしれません。

上記のような心の問題は人それぞれで複雑であり、本人が無自覚のうちに影響を受けていることも多く、長年かけて身についた考え方や行動が影響していることがほとんどです。

買い物依存症の根本的な解決には、一人一人の心理と生い立ちを理解し、個人の背景に基づいたアプローチが必要です。

社会的要因

買い物依存症は、現代の消費社会が生み出した構造的な課題です。

以下の問題が、買い物依存症を深刻化させています。

  • 消費を美徳とする社会風潮
  • 経済成長のために個人の購買を奨励する社会システム
  • 広告による新たな欲求の創出
  • オンラインショッピングの普及

特に、インターネットの普及により、便利に買い物できるようになったことが依存症リスクを増大させました。SNSを通じて他人の消費生活が可視化されたことも、比較や羨望を生み出しやすくしています。

「社会的要因の具体例」

  1. テレビショッピングの24時間放送
  2. スマートフォンアプリによるワンクリック購入
  3. インフルエンサーマーケティングによる購買意欲の刺激
  4. クレジットカードやローンによる「後払い」システムの普及
  5. 限定商品や先着販売による煽り
  6. 大型ショッピングモールの増加と「買い物=レジャー」の概念
  7. 季節ごとのセールイベントの常態化

上記の問題は個人の努力だけでは解決が難しく、物の所有と幸福を結びつける社会的価値観の見直しを含め、社会全体で取り組むべき課題です。消費文化や広告のあり方の見直し、金銭教育や心の健康教育を広めることが重要です。

生物学的要因

買い物依存症の生物学的要因の中心には、脳内の報酬系の働きがあります。

ドーパミンなどの脳内の快楽物質が重要な役割を果たし、過剰な快感が依存症を引き起こします。買い物時のワクワク感が脳内の快楽物質を出し、買い物を繰り返すうちに、より強い刺激を求めるようになるのです。

「生物学的要因の具体例」

  1. 買い物時の「ドーパミンの放出」による快感
  2. 快感に慣れてしまい、物足りなくなる
  3. 気分を安定させる脳の仕組みが上手く働かなくなる
  4. 自制心をコントロールする脳の部分が弱くなり、衝動を抑えにくくなる
  5. 感情を司る脳の部分が敏感になり、ストレスを感じやすくなる
  6. 生まれつきの遺伝子の違いで、快感の感じ方に個人差があること

買い物依存症は単なる習慣の問題ではなく、脳の機能や構造を変化させてしまう疾患です。

しかし、脳は変化する力を持っているので、適切な治療を受ければ改善する可能性があります。生物学的要因の理解が進むことで、より効果的な治療法や予防法が生まれるでしょう。

買い物依存症は「心の病」であると、まず自覚しましょう

「買いたい!」という衝動が、どうしても止められない…。

買い物依存症とは?

その物が本当に必要というわけではないけれど、一時的な衝動に駆られて、つい買ってしまう…。それが「買い物依存症」です。買う時の高揚感や、お店で「お客様」として特別扱いされる(チヤホヤされる)心地よさなどを求めて、だんだんとより高価なものを買い求めるようになっていく傾向があります。

最近では、デパートやショッピングモールにわざわざ足を運ばなくても、インターネットの通信販売やテレビショッピングなどで、簡単に物が買えてしまう時代になりました。そのため、いつでもどこでも、気軽に買い物を楽しめるようになり、「ついつい衝動買いをしてしまった」という経験は、誰にでもあるのではないでしょうか。

しかし、特に欲しくもないのに、次から次へと買い物をしてしまったり、お金があるかないかに関わらず、買い物を続けてしまったりするならば、あなたは「買い物依存症」に陥っていると言えるかもしれません。

依存症としての認識

「買い物依存症」は、かつては単なる「浪費癖」として片付けられてしまうこともありました。しかし、最近では、ギャンブル依存症やアルコール依存症などと同じように、深刻な精神疾患(依存症)の一つとして認識されるようになっています。買い物依存症は、ご本人だけでなく、大切なご家族や友人にも、大きな迷惑をかけてしまう、深刻な問題です。

人との信頼関係や、ご自身の経済状態を破綻させてしまう前に、まずはご自身が「買い物中毒(依存症)」に陥っていないかを、客観的に認識していくことが大切です。下記に、その特徴をいくつか記します。

買い物依存症チェックリスト

あなたは、以下のような買い物による問題の発生がありませんか?

  • すでに持っているのに、同じようなものをいくつも買ってしまう。
  • クレジットカードの利用限度額いっぱいまで、いつも使い込んでしまう。
  • 「もう買うのはやめよう」と心に誓っても、結局、買い物をやめることができない。
  • 買い物にのめり込みすぎて、大切な家族からの信頼を失ってしまった(あるいは失いかけている)。
  • 特に欲しいわけでもないのに、なんとなく、暇つぶしのように買い物をしてしまう。
  • 買ったはいいけれど、それを実際に使うことは少なく、タンスの肥やしになっている物が多い。
  • 買い物でお金が足りなくなり、家族や友人にお金を貸してくれるように頼んだことがある。
  • 買い物をしている時、気分が高揚したり、ドキドキ・ソワソワして落ち着きがなくなったりする。

買い物依存症にもパターンがあります

買い物が、あなたのストレス発散の主な手段になっていませんか?

ストレス解消としての買い物

嫌なことがあった時に、買い物をして気分転換をする、ストレスを発散する、という方は多くいらっしゃいますよね。確かに、買い物をすると気分がワクワクしますし、一瞬でも悩みや寂しさを忘れることができるかもしれません。

しかし、この「買い物による一時的な快感」を脳が覚えてしまい、嫌な気分になるたびに買い物を繰り返すようになってしまうと、それは問題です。なぜなら、その場合、買い物の目的が「欲しいものを手に入れること」ではなく、「買い物という行為を通して、ストレスを発散すること」そのものになってしまっているからです。買った物をほとんど使わない、という行動は、まさにその象徴と言えるでしょう。

正常な判断と依存症の違い

正常な精神状態であれば、もちろん、度を超した出費をしたり、借金をしてまで買い物をしたり、ということはありません。しかし、買い物依存症に陥ってしまうと、少しでもストレスが溜まると、気持ちの切り替えがうまくできず、すぐにそのストレスを買い物によって解消しようとしてしまいます。

買い物依存症がもたらす危険性は、甚大です

ここで、ある主婦Yさんのケースをご紹介しましょう。Yさんは、テレビショッピングを見るたびに、紹介されている商品が衝動的に、そして無性に欲しくなってしまいます。気分転換に街へ出かけても、素敵な洋服やブランドバッグに心が惹かれ、買わずにはいられません。

パート先で嫌なことがあったり、ママ友との関係でトラブルがあったりした日には、買い物をしてスッキリする、という癖がついてしまいました。そのたびに買い物を続けた結果、借金はどんどん膨らみ、ご自身の返済能力をはるかに超えてしまいました。

買い物でストレスを発散 ストレスのたびに買い物を続けた結果、借金は増え自己破産

貯金が底をつくと、ご主人に内緒で消費者金融から借金をしたり、ご両親にお金を借りたりして、何とかやりくり(自転車操業)していましたが、それでも買い物だけはやめることができず、とうとう自己破産。そして、最終的にはご主人から離婚を言い渡されてしまいました。

衝動を制御できない苦しみ

買い物依存症の最も大きな問題点は、「ご自身の支払い能力を冷静に判断し、買いたいという衝動を、自分で制御することができない」ということです。買い物をすれば、当然、後で支払いという現実が待っていることは、誰にでも理解できるはずです。

しかし、「買い物依存症」の状態になると、「欲しい!」と一度火が付くと、それを手に入れるまで、そのことが頭から離れなくなり、まるでスイッチが入ったように、買いたいという衝動が収まりません。そして、主婦Yさんのように、その場では後先のことを冷静に考えることは、もはや不可能になってしまうのです。

自己嫌悪と悪循環

そして、お店を出た瞬間や、クレジットカードの請求書が届いた時など、支払いという現実に直面した途端に、「またやってしまった…」と、激しい自己嫌悪に苛まれることになります。このような悪循環の行き着く先には、借金地獄や自己破産といった、非常に厳しい現実が待っている可能性は、決して拭いきれません。

周囲への影響と信頼の喪失

さらに、買い物依存症は、当然ながら、周りの大切な人々にも迷惑をかけることになります。友人や家族からお金を借りても、返すことができない、という状況になれば、周りからの信頼も当然失ってしまうでしょう。

また、ご家族から「つい最近、似たようなものを買ったばかりじゃないか!」と、怒られたり、呆れられたりすることを避けるために、購入した物をこっそり隠したり、あるいは、お金の使い道について嘘をついたりすることも、常套手段となってしまいます。

こうして、ご家族との間に不信感が生まれ、ご本人はさらに不安や孤独感を募らせ、その満たされない気持ちを埋めるために、ますます「買いたい」という衝動が強くなってしまう…。これもまた、依存症特有の、抜け出すことの難しい「負のスパイラル」なのです。

自制心や理性を超えてしまう、買い物への強い衝動

ご自身の心の奥底に、何か満たされない思いを抱えていて、それを埋めるかのように買い物に走ってしまう、という女性は、実は少なくありません。

買いやすい環境と高揚感

最近では、インターネットを使えば、家にいながらにして、24時間いつでも買い物ができます。欲しいと思えば、クレジットカードなどを利用して、簡単に購入手続きができてしまいます。

しかし、買い物をすることで得られる一時的な高揚感は、多くの場合、商品が手元に届いた時点で、急速にしぼんでしまいます。仕事や人間関係などで、日々ストレスを抱えていることも多く、そのストレスを解消するために、買い物に走ってしまう、という場合もあるでしょう。

経済的な問題と信頼関係

ご自身のお金の使い方を、しっかりと管理できないと、お金が絡んでいる問題だけに、夫婦関係にも亀裂が生じ、パートナーからの信頼を失ってしまう、という事例も多く報告されています。買い物依存症にならないためには、まず、ご自身のストレスを上手に減らしていくことも大切ですし、同時に、ご自身の満たされない感情と向き合い、コントロールしていくことも必要になってきます。

一時的な高揚感を求めて、だんだんとより高価なものを買ってしまう傾向もあり、ご自身の収入に見合った、健全な買い物ができなくなってしまうケースもあります。

消費社会の仕組みと冷静な判断

世の中には、魅力的な商品がたくさん溢れています。お店を覗けば、可愛いもの、最新のもの、あるいは「今だけ」「ここだけ」といった限定品などが、次から次へと目に飛び込んできます。買い物をする時には、消費者の「買いたい!」という気持ち(購買意欲)を掻き立てるように、様々な工夫が凝らされている場合も多いですよね。そして、先ほども触れたように、最近ではインターネットなどを利用すれば、本当に簡単に物を買うことができるので、買うことへの心理的なハードルも、以前に比べて低くなっています。

このように、私たちの周りには「誘惑」が多い状態ですから、何かを買おうと思った時には、一度立ち止まって、「それは、本当に自分に必要なものなのだろうか?」ということを、ご自身に問いかけたり、あるいは信頼できる人に相談したりしてみるのも、良いかもしれません。

その物を、本当に必要だから買うのか、それとも、ただ一時的に「欲しい!」という感情に流されて買ってしまい、結局は使わずにタンスの肥やし(ゴミ)になってしまうのか… よく考えてみましょう。

もし、買ってしまった後に、いつも後悔してしまう、というのであれば、買う前に冷静に考えられるように、心の状態を整えていく(心を変化させていく)ことも、有効なアプローチです。

「買いたい!」という衝動に、ただ飲み込まれてしまうのではなく、「それは、本当に今の自分に必要なのだろうか?」ということを、今一度、よく考えてから購入する。そんな風に、一呼吸置けるようになると良いですね。

自己嫌悪感や不安感、枯渇感などと、しっかり向き合う

溜まってしまったストレスや、嫌な気分を発散しようとして、つい買い物に出かけてしまう、という人は少なくありません。

買い物後の後悔と現実

買い物には、必ず「支払い」という行為が伴います。クレジットカードの請求書を見て、その金額にびっくりし、即座に後悔と落胆の気分に支配される…。そんな経験は、買い物依存症の傾向がある方なら、誰しも一度はあるのではないでしょうか。

また、どんどん減っていく銀行口座の残高や、雪だるま式に膨れ上がっていく借金の額を見て、恐ろしさに震えることはありませんか?

他者比較からの脱却

そんなつらい自己嫌悪感に陥らないようにするためにも、何かイライラすることがあっても、その一時的な感情に任せて衝動的に行動するのではなく、まずご自身の気持ちとしっかり向き合い、「人は人、自分は自分」と思えるように、少しずつ気持ちを切り替えていく練習をするのも良いでしょう。

私たちは、日常生活の中で、つい他人と自分を比べてしまうことがよくあります。「あの人は、自分よりもずっと高価な物を持っている」「素敵な服を着ている」「なんだか、とても良い生活をしているようだ…」それに比べて、自分は…。そんな風に考えて、落ち込んでしまうこともあるかもしれません。

しかし、そこで、「自分は自分でいいんだ」「人と比べる必要はないんだ」という考え方を身につけることができれば、他人と自分を比較して落ち込むこともなくなり、自分自身に自信を持つことができるようになります。そうなれば、買い物に依存しなくても、ご自身のイライラや不安な気持ちを、うまくコントロールできるようになることもあります。

人と比べていても、苦しくなるばかりで、あなたの中にある満たされない感情は、買い物をすることでは、決して完全には満たされないのです。

自分の中にある欲求不満を解消しようとして買い物に走ることは、お金がいくらあっても足りません。「物を買う」という行為は、自分のストレスを発散するためではなく、「本当にそれが必要なもので、大切に使い続けたいものなのか」ということを、きちんと考えてから行うようにしましょう。

名古屋聖心こころセラピーでは、ご自身の中にある様々な感情と向き合い、特にネガティブな感情を上手にコントロールしていくためのセラピーも行っています。

買い物依存症の克服に向けて

ご自身が買い物依存症であることに、全く気づいていない、という方は、比較的少ないかもしれません。多くの場合、ご自身で購入した大量の商品を目の当たりにして、強い罪悪感を抱くため、ご自身でもある程度は認識しています。

「分かっているのに、やめられない」苦しみ

「本当はやめたいのに、どうしてもやめられない…」
ご本人も、大変つらい思いをされていることでしょう。

名古屋聖心こころセラピーでは、買い物という行為によって、ご自身の本当の気持ちや、直面している現実の問題から目を逸らすのではなく、カウンセリングやコーチング、潜在意識に働きかける療法などを組み合わせながら、ご自身でご自身の心を支えていく力を育てていくことを目指します。そして、ネガティブな感情との上手な向き合い方を学び、その負の連鎖(呪縛)から解放されることで、買い物依存症からの真の克服を実現していきます。

参考文献・参考資料

  • キャロリン・ウェッソン(著)・斎藤学(訳)(1992)『買い物しすぎる女たち』 講談社
  • 榎本稔(2016)『よくわかる 依存症』 主婦の友社

この記事の著者

榊原カウンセラーは臨床心理士・キャリアコンサルタント・管理栄養士。日本福祉大学大学院修了(心理学修士)、名古屋学芸大学卒。公立小学校での栄養教諭を経て、現在は心理・教育・栄養の複合的な視点から支援活動を行う。日本心理学会・日本心理臨床学会会員として、心の健康や対人関係に関する情報発信・執筆にも力を注いでいる。

この記事の監修者

群馬県出身。現在は東京都・神奈川県を拠点に、臨床心理士・公認心理師として活動している。
医療機関にて老年期医療の現場に携わり、認知症をはじめとした高齢者の心理的支援や、家族へのサポートに従事。加えて、メンタルクリニックでは幅広い年齢層を対象に、カウンセリングや心理検査業務を行ってきた。
現在は、総合病院およびクリニックでの勤務と並行して、個人カウンセリングルーム「つきのわ」を開設。対面・オンライン・テキスト相談など、利用者のライフスタイルに応じた柔軟な相談スタイルを用い、一人ひとりの心のペースに寄り添った支援を提供している。

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