うつ病カウンセリング

なんだか理由もなく不安になったり、訳もなく悲しい気持ちに沈んでしまったり、周りから孤立しているような感覚に苦しんでいませんか?
うつ病やうつ状態になると、そうした心のサインに加えて、食欲がなくなったり、夜眠れなくなったり、外に出るのが億劫になったり…まるで心と体のエネルギーが極端に減ってしまったかのように感じられ、なかなかその状態から抜け出すのが難しくなってしまうことがあります。
うつ病に陥る、その本当の意味に気づくために
「うつ病は心の風邪」とよく耳にしますが、本当にそうでしょうか?
多くの場合、ご自身では思いがけないタイミングで発症したように感じられるかもしれません。しかし実際には、発症には何らかの理由や背景があることがほとんどです。ただ、ご本人はその原因に気づいていないことが多いように感じます。
「うつ病」という診断は、ご本人ではなく医師が行うものです。心療内科の待合室は、診察や処方箋を待つ方々でいつも混み合っている光景を目にします。
うつ病になると、漠然とした不安感や倦怠感、自分を責める気持ち(自責の念)、漠然とした恐怖感などを感じやすくなります。
うつ病は、比較的真面目で、責任感が強く、何事にも一生懸命頑張ってしまう方に多く見られる傾向があるとも言われています。

うつ病の薬物療法に対する考え方
うつ病をはじめ、多くの心や精神に関わる症状は、確かにつらい「症状」として存在しますが、精密検査をしても具体的な病気の箇所や原因となる菌が見つかるわけではありません。
当セラピーには、何年も病院でうつ病の薬(抗うつ薬など)を飲み続けても、あまり効果を感じられず、「もう他にできることはないか」と、わらにもすがる思いでカウンセリングに来られる方も多くいらっしゃいます。
心理テストなどで心の状態を確認させていただくと、長期間薬を服用していても、うつ状態がほとんど改善されていないというケースが、残念ながら少なくないと感じています。
もちろん、これは薬物療法そのものを否定するものではありません。しかし、当セラピーでは、薬を使わずにうつ状態を改善させてきた実績も多くございます。
その経験から見えてくるのは、うつ状態の根本的な原因の多くが、幼少期からの生育環境によって形作られた性格的な偏り、物事の考え方、受け取り方、捉え方にあるということです。
薬で一時的に症状を和らげることはできても、思考パターンそのものを変えることは難しいため、病院で処方された薬だけで根本的な解決に至るのか、疑問を感じることも正直ございます。

薬物療法は、つらい症状を一時的に軽減し、日常生活を安定させるための治療手段の一つです。ただし、効果の感じ方や副作用には個人差があるため、主治医と相談しながら、適切な方法を探っていくことが大切になります。
もし、あなたがうつ病で苦しんでおられ、カウンセリングで改善を考えているようであれば、ご自身の過去や内面と向き合い、カウンセラーと一緒に整理整頓をしてみませんか?
根本にある課題を解決していくことで、つらい「うつ」の状態から抜け出し、これからの人生をより良くしていくことを目指しましょう。
うつ病への取り組み:「脱・薬依存」を目指して
月に何人もの方が、うつ病の悩みで当セラピーにいらっしゃいます。
病院で処方された抗うつ剤や精神安定剤、睡眠導入剤などを何年も服用しているにも関わらず、なかなか良くならない、とおっしゃいます。中には、目の焦点が合わず、覇気のない、ぼんやりとした表情の方もお見受けします。
繰り返しになりますが、医療行為を否定するわけではありません。しかし、精神科はともかく、心療内科では、患者さんがつらさを訴えると、より強い薬が処方される、という流れになりがちです。
本来、回復のために用いられるはずの精神薬が、かえって心身にダメージを与えてしまうようでは、本末転倒と言わざるを得ません。
うつ病で休職中の方も多くご相談にいらっしゃいます。
もし、あなたが病院での投薬治療(対症療法)だけではなかなか改善が見られないと感じているのであれば、これまでとは違うアプローチ、つまり思考や捉え方自体に働きかける根本的な解決(根本療法)を試してみることをお勧めします。
あれこれと思い悩むそのお気持ちを、ぜひ一度、名古屋聖心こころセラピーにお持ちになり、カウンセリングを受けてみませんか?
うつ状態の現れ方が人それぞれであるように、うつ病になる原因や要因も様々です。
大きくは「心因性うつ病」「内因性うつ病」「身体因性うつ病」の3つに分類されます。
その他にも「産後うつ病」「仮面うつ病」、最近では「新型うつ病」など、うつ病と呼ばれる症状には多種多様なものがあります。
心因性のうつ病とは
心因性うつ病とは、人生における特定の出来事や環境の急激な変化、あるいは長期間にわたるストレスなどが原因となって発症するうつ病です。
このタイプのうつ病は、睡眠障害や食欲不振といった身体的な症状が比較的軽い場合があるのが特徴ですが、物事の「捉え方」や「考え方」の癖が大きく影響しているため、薬物療法だけでの改善が難しい場合も多く、病院での治療期間も数年単位と長引く傾向があります。
名古屋聖心こころセラピーでは、この心因性のうつ病へのアプローチを最も得意としています。
心因性うつ病は、さらに細かく「神経症性うつ病」「慢性うつ病」「反応性うつ病」の3つに分類されることがあります。
1.神経症性うつ病
比較的軽症とされるうつ病です。根本的には神経症的な「性格」(物事を心配しすぎたり、完璧を求めすぎたりする傾向)が関係しており、その背景には「考え方の癖」があります。
その思考パターンによって、日常的に強い不安感や恐怖心を抱きやすいのが特徴です。
神経症性うつ病になる方は、若い頃から人生に対して悲観的な見方をしがちで、楽しみの少ない生活が長く続いている傾向が見られることがあります。
憂うつな気分になりやすく、歪んだ考え方を「修正」していく必要があるため、根本的にご自身の性格や思考パターンを見直すための、様々な取り組みが必要となります。
2.慢性うつ病(燃え尽き症候群など)
慢性うつ病とは、長期間にわたるストレスにさらされ続けることによって発症するうつ病です。
いわゆる「燃え尽き症候群(バーンアウト)」とも関連が深く、これまで精力的に頑張ってきた人が、ある日突然、無気力になったり、強い自責の念に駆られたりします。
信じてきたものや、継続して努力してきたことに対して希望が持てなくなり、人生や未来に対して、これ以上夢や期待を抱けなくなってしまう状態です。
例えば、困難な状況にあるパートナーとの生活に疲れ果て、どうにもならない状況に気力を失い、人生を諦めたように、ただ淡々とつまらない日々を過ごしている…といった状態も、これにあたるかもしれません。
また、燃え尽き症候群には、「良い大学に入るため」「良い就職先を見つけるため」「資格を取るため」「結婚するため」「家を建てるため」など、特定の目標達成のためだけに全力を尽くし、それが叶った途端に、まるで心が空っぽになってしまったかのように、意欲を失ってしまう状態なども含まれます。
3.反応性うつ病(適応障害など)
特定の強いストレスや、つらい体験によって引き起こされるうつ病です。最近では「適応障害」や「ストレス障害」といった診断名で呼ばれることもあります。
近しい人との死別や失恋など、大きな精神的ショックを受けた後、誰でも一時的に気持ちが落ち込み、ふさぎ込んでしまうものです。しかし、反応性うつ病の場合は、一定の時間が経過してもなお、立ち直ることができず、長期間にわたって意欲が極端に低下し、強い不安感に支配され続ける状態を指します。
要するに、「いつまでも立ち直れずにいる」状態が続き、日常生活に支障をきたしている場合です。
身体的な症状としては、睡眠障害や頭痛、過敏性腸症候群など、自律神経系の不調が現れることが多く、心身ともにエネルギーが低下し、無気力な状態が定着してしまいがちです。
内因性のうつ病とは
内因性うつ病(別名:メランコリー型うつ病)とは、前述の「心因性うつ病」のように、特定の出来事や精神的ショックが引き金となるのではなく、生まれ持った遺伝的な気質や体質、脳内の神経伝達物質の変化などが関係していると考えられているうつ病です。
明確なきっかけや原因が見当たらないにも関わらず、気分が落ち込み続け、不眠や意欲低下などの症状が現れます。
主な特徴を持つ3つのタイプを挙げてみましょう。
1.単極性うつ病(大うつ病)
単極性うつ病とは、一般的に「うつ病」としてよく知られているタイプで、「大うつ病」とも呼ばれます。
その特徴は、特別な理由やきっかけがないにも関わらず、ただひたすら気分の落ち込みなどの抑うつ状態だけが続き、無気力感に支配される症状です。
病院の診察では、心因的な原因を探るよりも、現れている「症状」を重視する傾向があるため、実際には心因性の要因が隠れている場合でも、この単極性うつ病、つまり【大うつ病=一般的に言う「うつ病」】と診断されてしまうケースが多いように見受けられます。
しかし、私たちの経験上、実際には「心因性うつ病」の方が大半であり、このような理由の見当たらない内因性のうつ病は、意外と少ないのではないかと考えています。
2.双極性うつ病(躁うつ病)
一般的に「躁うつ病」と言われるものです。
これも明確なきっかけや原因がなく、気分が非常に高揚する「躁(そう)状態」と、逆に極端に落ち込む「うつ状態」を、定期的または不定期的に繰り返すのが特徴です。
躁状態の時には、まるでスーパーマンのように活動的になったかと思えば、うつ状態の時には世界で一番不幸な人間のように感じられるほど、気分の落差が激しくなることがあります。そのため、周りの人からは理解されにくく、対応に苦慮することも少なくありません。
躁状態の時には、「買い物依存症」のような行動をとってしまったり、後先考えずに大きな決断や契約をしてしまい、後になって激しい自己嫌悪に陥ってしまうこともあります。
3.退行期うつ病(遅発性うつ病)
中年期以降(一般的に40代半ば以降)に初めて発症するうつ病の一種で、40歳前後から60歳頃までに見られると言われています。
女性の場合は、「更年期障害」による体調不良に伴い、気分の落ち込みがひどく、長く続く場合に、この退行期うつ病・遅発性うつ病に該当することがあります。
最近では、男性にも本来女性特有とされてきた「更年期障害」に似た症状が認められるケースも増えています。
これまで精神的にタフで、明るく元気に頑張ってこられた方が、「まさか自分がうつ病になるなんて…」と感じるような場合に、この「退行期うつ病」「遅発性うつ病」と診断されることがあります。
当セラピーには、「特に思い当たる理由はないのに、うつ症状がひどいんです」と訴えて来られる方が非常に多くいらっしゃいます。
しかし、詳しくお話を伺っていくと、ご本人が自覚されていないだけで、実際には明確な理由や原因がほとんどの場合に見つかります。
したがって、ご自身では上記のような「内因性うつ病」だと捉えられている場合でも、実際には前述の「心因性うつ病」である可能性が高いと考えられます。
身体因性のうつ病とは
身体因性うつ病は、体の病気や、服用している薬の副作用などが原因となって引き起こされるうつ病です。原因となる病気の箇所によって「器質性うつ病」と「症状性うつ病」に分類されます。
このタイプのうつ病は、主に身体的な病気そのものが原因となって、うつ症状がもたらされるものです。
ただし、病気が「きっかけ」となって気分が滅入り、結果的にうつ病になる場合は、症状性うつ病とも言えますが、心理的な要因も大きいと考えられるため、「心因性のうつ病」とも言える場合も少なくありません。
1.器質性うつ病
器質性うつ病とは、主に、脳腫瘍、認知症、てんかんなど、脳そのものに病気があることが原因で起こるうつ病です。脳の器官に疾患があるため、このタイプのうつ病に対しては、カウンセリングや心理療法での改善は難しく、病院での薬物療法や医学的な治療が中心となります。
2.症状性うつ病
糖尿病、パーキンソン病、インフルエンザなど、脳以外の体の病気が引き金となり、憂うつな気分に支配される症状が起こるうつ病を、症状性うつ病と言います。
その人の考え方や性格とは直接関係なく、糖尿病などの病気自体が、何らかの作用を脳や心に及ぼし、うつ病を引き起こすと考えられています。
ただし、単に何かの病気になって気分が落ち込み、うつ状態になる、という場合は、この「症状性うつ病」とは区別され、「心因性うつ病」に分類されることが多いです。
その他のうつ病について
上記以外にも、様々なタイプのうつ病があります。
1.産後うつ
「マタニティーブルー」が産後数日から数週間で自然に軽快する一時的な気分の落ち込みであるのに対し、「産後うつ」は比較的長期間にわたって続くうつ病です。
産後2~3週間頃から始まり、その後1か月から、長い場合には1~2年に渡ることもあります。
産後うつを発症すると、特別な理由もなく憂うつな気分になったり、食欲不振や不眠などの症状が現れたりします。同時に、「泣いている赤ちゃんにイライラしてしまうなんて、私は母親失格だ」といった強い自責の念に駆られ、苦しんでしまうことも少なくありません。
治療をせずに放置すると、本格的な「うつ病」に移行してしまう可能性もあるため、早めの相談やサポートが大切です。
2.仮面うつ病
仮面うつ病とは、憂うつ感などの精神的な症状はあまり目立たず、めまい、動悸、肩こり、食欲不振、倦怠感、不眠など、身体的な症状が前面に現れるタイプのうつ病です。
うつ病本来の精神症状が、身体症状という「仮面」の下に隠れているように見えることから、「仮面うつ病」と呼ばれています。
身体の不調が主訴となるため、内科や消化器科などを受診することが多いのですが、検査をしても特に異常が見つからず、原因不明のまま、効果のない治療を長期間続けてしまうことも珍しくありません。
原因不明の体調不良が続く場合は、この仮面うつ病の可能性も疑ってみる必要があります。
3.軽症うつ(気分変調症の一部)
軽症うつとは、完全なうつ病とは言えないまでも、うつ状態になったり、少し回復したり、という状態が長く続くものを指します。
身体症状を中心に現れることも多く、心の病気であると自覚しにくい場合があります。
糖尿病で例えるなら「糖尿病予備軍」のようなもので、「うつ病への入り口」とも言える状態です。
主な症状としては、憂うつ感、意欲の低下、睡眠障害などが見られます。常に気分が晴れない状態が続きますが、日常生活は何とか送れてしまうため、うつ病だと気づかずに長期間放置してしまう傾向があります。しかし、早期に原因を特定し、適切な対策を講じなければ、本格的な「うつ病」に発展しかねないため、注意が必要です。
4.新型うつ病(非定型うつ病、気分変調症など)
新型うつ病は、最近メディアなどで取り上げられることも多く、「気分変調症」や「非定型うつ病」とも呼ばれます。
従来のうつ病(定型うつ病)では、何をしていても気分が落ち込み、楽しめない状態が続くのに対し、新型うつ病は、状況や環境によって気分が変動するのが特徴です。
例えば、仕事中や学校の授業中は「うつ状態」で、強い倦怠感や意欲低下、憂うつな気分に支配されるのですが、職場や学校から離れると、途端に元気になることがあります(例:プライベートな時間は趣味を楽しめる)。
そのため、周りの人からは、「都合がいいだけ」「甘えている」「無責任」「ただの気分屋」などと誤解されやすく、なかなか理解を得るのが難しいのが、この新型うつ病の特徴と言えます。
実際のところ、本人の性格的な部分(他罰的傾向、自己愛傾向など)も影響しているのではないか、という見方もあり、専門家の間でも意見が分かれることが多いタイプのうつ病とも言えます。
5.疲弊性うつ病(燃え尽き症候群の悪化)
長期間にわたる持続的なストレスによって発症するうつ病です。
前述の「燃え尽き症候群」が悪化した状態とも言え、突然無気力になったり、強い自責の念に駆られたりします。
前兆としては、疲れやすさやイライラ感などがありますが、疲弊性うつ病になりやすい方は、完璧主義であったり、責任感が強く頑張り屋であったりする性格傾向が多いため、そうした心身のサインに気づかず、自分を追い込み続けてしまいます。
その結果、気づいた時には症状がかなり悪化している、ということも少なくありません。
「新型うつ病」「仮面うつ病」などは、正式な診断名ではありませんが、近年注目されている臨床概念のひとつです。従来のうつ病とは異なる特徴を示すことがあり、理解と支援の幅を広げる視点として紹介されています。
うつ病になりやすい方の特徴とは?
うつ病になりやすい方の特徴は以下の6つがあげられます。
一生懸命に頑張りすぎてしまう
うつ病を発症する方の特徴として、生真面目で、本来は非常にきちんとした性格である、という点が挙げられます。
とても細やかなところにまでよく気がつき、周りに頼らず、自分一人で何でも抱え込み、頑張ろうとする傾向があります。
そんな中で、何かできないことや、自分の至らない点が見つかると、すぐに自分を厳しく責めてしまう(自虐的になる)性質が顔を出し、徐々につらさを募らせていきます。
できれば、「まあ、そんな時もあるさ」と受け流せたり、「自分のできる範囲で努力すれば十分だ」と満足できたりすれば良いのですが、できないことを他人から叱責されたり、咎められたり、あるいは自分自身で過度に非難したりすることで、不安感や恐怖心が増大し、心身が疲弊してしまうのです。
うつ病に陥るケースでは、自分の能力以上のことを求められたり、周りの優秀な人と比較して劣等感を抱いたり、「自分はなんてダメなんだ」という思い込み(劣等コンプレックス)に苛まれたりすることで、どんどんネガティブな思考の渦(負のスパイラル)にはまり込み、落ち込んでいく、というパターンが多く見られます。
過剰な仕事量や、受験などのプレッシャー
自分の処理能力を超えた過剰な仕事量を課せられたり、学業などで難易度が高くついていけなくなったりすることも、うつ病の引き金となることがあります。
自分の能力と、置かれている状況や求められるレベルとの間にギャップがあるにも関わらず、完璧を求めてしまうあまりに焦燥感に駆られ、次第に心身が疲れ果てていくことで、うつ状態になっていくことも多いのです。
できないことを「恥ずかしい」と感じてしまうかもしれませんが、本来は「できないことは誰かに頼る」「助けを求める」といった対応ができれば良いのです。あるいは、断ったり、交渉したり、調整したりすることも有効な手段です。
しかし、そうした行動をとることが性格的に難しく、SOSを出せないまま自分一人で抱え込み、問題を深刻化させてしまう方が少なくありません。
また、周りの人はそれなりにこなしているように見えることでも、自分には難しく、うまくできない…そんな経験が、自信を喪失させ、うつ病につながっていくこともあります。
「できない自分はダメなんだ」と感じるのではなく、「できることを一つひとつ積み重ねて、自分の成功体験としていく」という視点が持てると良いのですが、うつ状態になると、それも難しく感じられるかもしれません。
さらに、うつ病になると、食欲不振や睡眠不足など、生活の基本的な部分に支障が出てきます。その結果、気力や体力が低下し、「頑張ろう」と思っても、体がついてこない、という悪循環にも陥りやすくなります。
「楽しめない」「楽しんではいけない」という思い込み
うつ病になると、何となく毎日の生活が楽しく感じられなくなります。
それだけでなく、「自分は楽しんではいけないのではないか」「楽しむ資格がないのではないか」といった罪悪感にも似た考えに支配されてしまう場合もあります。
そのような考え方の癖を、カウンセリングなどを通して一つひとつ見つめ直し、修正していくことで、穏やかで安心した生活を取り戻すことは可能です。しかし、長年かけて培われてきた性格や思考パターンを、一朝一夕に変えることは簡単ではありません。
まずは、ご自身の考え方の癖を客観的に把握した上で、少しずつ改善を進めていくことが大切です。
できなかったことに対して「ダメだった」と落ち込むのではなく、「ここまでならできたな」「今日はこれだけ進められた」というように、小さな達成を自分で認め、褒めてあげる習慣がつけられると良いでしょう。
しかし、様々な状況が複雑に絡み合ってうつ病になっているケースも多く、周りの人からの理解が得られずに、さらに症状が悪化してしまう場合もあります。
明確な理由がないように感じられるのに、不安感や恐怖感が続く場合、うつ病と診断されることもありますが、病院での薬物療法だけでは、なかなか根本的な改善に進まない、と感じている方も多いのが現状です。
燃え尽き症候群から、うつ病へ
何かの目標に向かって懸命に努力してきた人が、その目標が達成された途端に、まるで燃え尽きたかのように意欲を失ってしまう、「燃え尽き症候群」と呼ばれる状態になることがあります。
「なんだかやる気が起きない」「これからの生活が現実のものとして考えられない」といった感覚です。
このような場合も、すぐには気力が湧いてこないかもしれませんが、時間をかけて少しずつ回復していくことは可能です。なぜ目標達成後にこのような状態になるのか、その原因ははっきりとは分かっていませんが、それまで無理をして頑張りすぎていた反動なのかもしれません。
周りから見れば、「目標を達成したのだから、これからが楽しみじゃないか」と思うような状況でも、ご本人にとっては、そこがゴールであり、その先の人生をどう生きていくのか、具体的なイメージを持てずにいる、という場合もあります。
何か新しい目標や、生きがいとなるものが見つかれば、再び立ち直る可能性は十分にあります。
このように、目標を達成したはずなのに、うつ病のような症状が現れるケースも少なくありません。
立ち止まることへの不安
劣悪な環境や、どうにもならない状況の中で生活している場合、そこから抜け出す方法も見いだせず、ただ無気力に、何も考えずに毎日を過ごしている、という方もいらっしゃいます。
その中でも、少しでも状況を変えようと努力できれば良いのですが、どうすることもできずに、不安と恐怖の中でただ耐えている、という場合もあります。
そのような場合には、まず何が自分を苦しめているのか、その原因を探り出すことが第一歩です。そして、その原因と上手く付き合っていく方法を考えたり、時には意識的に距離を置いたりすることも必要になるでしょう。
家族や配偶者がうつ病の原因となっている場合も少なくありません。頭では「家族は大切にすべき存在だ」と分かっていても、実際にはそれが叶わず、むしろ苦しみの源になっている、ということもあります。
そんな時には、その原因となっている関係から距離を置き、まずは自分自身の心と体を守り、回復させることを優先する必要があります。環境を変えることが、うつ病からの脱却のきっかけになることもあります。
自分の頑張りを認められない
うつ病になる方は、実際には非常に頑張り屋で、努力家であるにも関わらず、その頑張りを自分自身でなかなか認められない、という傾向が見られることがあります。
会社などで高いスキルや成果を求められ、自分の能力とのギャップに悩むこともあるかもしれません。
しかし、そんな中でも、「自分の得意な分野を活かそう」「苦手なことも、できる範囲で努力してみよう」と前向きに捉えられれば良いのですが、「自分はなんてダメなんだ」という無力感に苛まれてしまうと、さらにつらい状況に陥ってしまいます。
そういったネガティブな考え方を、より建設的で、自分を労わるような方向へコントロールしていく(セルフコントロール)練習が必要です。
「自分のできる範囲で仕事を進めていこう」「自分なりに、できるだけのことはやった」と、自分を認め、許せるようになることが大切です。周りの人に相談して、一緒に改善策を見つけるのも良い方法です。
仕事や家事、学業なども、「手抜き」とまでは言いませんが、「今日はここまで頑張れたから十分だ」とか、「次はもう少しここまでやってみよう」というように、少しハードルを下げて、柔軟に取り組むだけでも、ネガティブな思考に陥るのを防ぐことができるでしょう。
うつ病は、誰にとっても他人事ではない
「うつ病は心の風邪」という言葉が示すように、特別な人だけがかかる病気ではなく、誰にでも起こりうる可能性のあるものです。
そして、その多くの場合、はっきりとした原因やきっかけが存在します。
会社での威圧的な上司、家庭での過干渉な母親や威嚇的な父親、いじめてくる兄弟や友人など、身近な人間関係が原因となることも少なくありません。
私たちは社会の中で生きている以上、人間関係を完全に断ち切ることはできません。しかし、自分の心身に害をなすような存在とは、意識的に距離を置くことも、自分を守るためには非常に大切です。
もし、配偶者がうつ病の原因となっている場合には、別居や離婚といった選択肢も、真剣に考える必要が出てくるかもしれません。無気力なまま、ただ漠然とつらい毎日を過ごすよりも、思い切って関係を解消し、自分の幸せを追求する道を選んだ方が、結果的に何倍も気持ちが明るくなり、前向きになれることに気づくはずです。
何がうつ病の原因なのか、自分でもよく分からない…という場合には、専門機関やカウンセリングなどを利用して、一度自分の気持ちや状況を整理してみることをお勧めします。
「うつ病である」と分かることで、周りの人の理解が得られやすくなり、状況が改善するケースもあります。
ただ、残念ながら、周りの理解が得られない場合も少なくありません。そういった場合には、思い切って環境を変えることや、ご自身の考え方や物事の捉え方を変えていくことで、状況に対応していく必要があります。
うつ病の原因は、意外なところにあることも
「良かれ」と思っての親の行動が、うつ病の原因に?
ある女性のケースでは、一見、うつ病になるような特別な状況は見当たりませんでした。しかし、詳しくお話を伺うと、ご両親が彼女のために、と何から何まで先回りしてやってあげていた、という側面が見えてきました。
彼女は無意識のうちにそれに甘え、人生の様々なことを両親に決めてもらうのが当たり前になっていました。しかし、心の奥底では満たされない思いを抱え、自分に自信が持てず、うつ状態から抜け出せずに苦しんでいたのです。
カウンセリングを受ける中で、彼女は「これではいけない」と気づき、少しずつ自分の意志で行動を起こし始めました。自分で物事を決め、挑戦し、時には失敗も経験する中で、徐々にうつ状態が改善していったのです。
このケースでは、両親が「子どものため」と良かれと思ってしていた過保護な関わりが、結果的に子どもの自立性を奪い、自信のなさ、そしてうつ状態の原因となっていた、と考えられます。
自分で物事を決め、主体的に取り組むようになってからは、彼女はうつの症状に悩まされることなく、前向きに自分の人生を歩んでいます。
厳格な父親への恐怖が、うつ病と体調不良の原因に
原因不明の腹痛や頭痛に長年悩んでいた別の女性のケースです。詳しくお話を伺うと、その痛みは、厳格な父親が不在の時にはすっかり良くなる、ということが分かりました。
厳格な父親に対する無意識の恐怖感が、彼女の心に大きなストレスを与え、うつ病を悪化させる原因となっていたのです。
父親の性格をすぐに変えることは難しいですが、父親との付き合い方を見直し、適切な距離を取ることを意識するようにしました。また、父親にも、娘さんに対してあまり厳しい言葉をかけないように心がけてもらい、娘さん自身には、自分に自信を持てるように、考え方をコントロールする訓練などを行っていきました。
もちろん、父親の意見にも一理ある部分はありますので、そのバランスは難しい場合もあります。しかし、何でも「はい、そうですか」と従うのではなく、自分の意見を伝え、時には反論することも大切であることを、父親にも娘さんにも理解してもらうように働きかけました。
その結果、今では彼女は父親に正面から自分の意見をしっかりと伝えられるようになり、うつ病も体調不良も解決しました。
家庭での不適切な養育(マルトリートメント)が、子どもをうつ病にする
「子どものためだから」「こうあるべきだ」という考えを盾に、子どもを威嚇したり、自分の意見を一方的に押し付けたりすることは、子どもの人格を尊重しない行為であり、「マルトリートメント(不適切な養育)」と呼ばれる、子ども虐待の一形態になる可能性があります。これは、親として未熟な行為と言わざるを得ません。
そのような扱いを受けた子どもは、脳の発達に悪影響を受けたり、感情を感じにくくなったり、最悪の場合、うつ病のような深刻な精神状態に陥ったりすることもあります。
子どもと接する時には、自分の意見を押し付けるのではなく、相手の意見をまずは尊重する姿勢が大切です。強い態度で従わせるのではなく、親自身も行動で示しながら、子どもが自らの気持ちで考え、行動できるように導いていくことが必要です。相手を萎縮させてしまうような関わり方は、子どもの健全な成長にとって、全く良くありません。
身近な人の「死」が、うつ病の引き金になることも
これまで普通に社会生活を送っていた人でも、自分の身近な人や、愛する人の「死」をきっかけに、うつ病を発症する場合があります。
大切なお母さんやお父さん、あるいは信頼していた友人などが亡くなることで、自分が生きている意味そのものに疑問を感じてしまい、心身ともに弱ってしまうケースです。
配偶者やお子さんがいる場合は、その存在が支えとなることもありますが、独身であったり、他に頼れる人がいなかったりすると、一人で深い悲しみに沈み込み、憔悴しきってしまうこともあります。
誰にとっても、悲しみやつらさを感じるのは自然なことです。しかし、このような「プチうつ状態」とも言える状態を放置しておくと、次第に本格的なうつ病へと悪化してしまう可能性があります。
つらい気持ちを一人で抱え込まず、専門機関やカウンセリングなどを利用して、自分の気持ちを安全な場所で話す機会を設けることが重要です。
うつ病を予防するためにできること
過剰な仕事量には、助けを求めよう

会社で真面目で責任感が強い人ほど、パンクしそうなほどの仕事量を抱え込んでしまうことがあります。
そういった場合には、「できない」と言うのは恥ずかしいと感じるかもしれませんが、勇気を出して「助けてほしい」というSOSを発信することが必要です。
無理な仕事量をこなし続けて心身を病んでしまっては、そのダメージは最終的に自分自身と、そして大切な家族が負うことになります。
勉強などでも、分からないことがあれば、自分で調べるだけでなく、誰かに聞いたり、教えてもらったりすることも大切です。
一人で抱え込んでうつ病になってしまわないように、早めに助けを求めることを意識しましょう。
もし、目標が高すぎると感じているなら、一度目標のレベルを下げてみるのも有効な方法です。
いきなり大きな目標を目指すのではなく、達成可能な小さな目標を設定し、それを一つひとつクリアしていくことで、自信を積み重ねていくことができます。
少しぐらい何かに頼ったり、「まあ、適当でもいいか」と少し肩の力を抜いたりするだけでも、気持ちはずいぶん楽になります。
何でも完璧に、すべて一人でこなそうと思い詰めてしまうことが、うつ症状につながるケースも少なくありません。無理をせず、小さな成功をコツコツと積み重ねるような感覚で、毎日を過ごしていけると良いでしょう。
日々の漠然とした不安なども、カウンセリングでお話しいただくことで、気持ちが整理され、楽になることがあります。
名古屋聖心こころセラピーでは、うつ病の背景にある、潜在意識レベルに染み込んでいる不都合な考え方に変化をもたらすために、ヒプノセラピー(催眠療法)なども取り入れています。
一人で抱え込まず、まずは話してみることから、解決策を一緒に見つけていきましょう。
うつ病は薬だけに頼らず、根本的な解決を目指しましょう
うつ病には様々な種類がありますが、身体的な病気が原因の「身体因性うつ病」を除けば、その多くには、ストレスを溜めやすい考え方や性格が大きく関係しています。
原因不明とされる「内因性うつ病」も、ご本人に自覚がないだけで、うつ病になりやすい思考パターンを潜在的に持っている場合が多いと言えるでしょう。
しかし、そうした長年の思考パターンや性格を、「よし、変えよう!」と意識の力だけで変えるのは、非常に難しいものです。なぜなら、私たちの思考や行動の多くは、潜在意識(無意識)の影響を強く受けているからです。
名古屋聖心こころセラピーの心理カウンセリングやヒプノセラピーでは、そうした潜在意識レベルに染み込んだ考え方の癖を、より健全で、あなたらしい楽な方向へと切り替えていくための「思考修正」を行います。意識と無意識の両方に深く働きかけることで、「うつの根本的な改善」へと導いていきます。
具体的なプロセスとしては、まず心理テストなどを用いて、あらゆる側面からあなたの思考パターンを分析します。そして、心理カウンセリングを通して、あなたのお話をじっくりと伺い、うつ状態になるに至った経緯や背景、環境、考え方の癖などの原因を、あなたと一緒に理解し、把握していきます。
その後、新しい、より楽な考え方へと移行していくための具体的な取り組みを進めていきます。
苦しみの多くは、本来のあなた自身に合わない考え方や価値観を、知らず知らずのうちに身につけてしまっていることから生じます。
カウンセリングを通して、本来のあなたに合った、自然で楽な考え方を取り戻すことによって、つらいうつ状態からの脱却を目指しましょう。
参考文献・参考資料
- 大野裕(2010) 『こころが晴れるノート うつと不安の認知療法自習帳』 創元社
- 清水栄司(2013) うつ病における薬物療法と心理療法の役割 精神神経学雑誌 115巻 2号
- アメリカ精神医学会(著),日本精神神経学会(監訳)(2023) 『DSM-5-TR 精神疾患の診断・統計マニュアルテキスト改訂版』 医学書院