自己否定・自己嫌悪カウンセリング

自己否定や自己嫌悪の感情を強く抱えたまま、心から幸せを感じている人を、私はこれまで見たことがありません。
もし、あなたのことを大切に思ってくれる人がいるとしたら、あなたが自分自身を嫌い、責めている姿を見るのは、あなた以上に、その人にとってもつらいことかもしれません。

目次

自己否定・自己嫌悪にも、理由があります

あなたの心の中に深く根付いている「自分なんてダメだ」「自分が嫌いだ」という感情は、一体どこからやって来て、いつからそこに棲みついているのでしょうか。

そろそろ、そのつらい自己否定や自己嫌悪の感情と、お別れする準備を始めてみませんか?
そして、あなた自身がお気に入りの「自分」に出会い、二度と自己否定や自己嫌悪に心を蝕まれることのない、しなやかで強い心を育み、幸せな毎日を送れるような生き方を目指しましょう。

自己否定」「自己嫌悪」とは、文字通り、自分のことを好きになれない、受け入れられない感情のことです。
特に、うつ病を抱えている方は、この感情が非常に強く現れる傾向があります。

もちろん、誰にでも「自分には、こういうところが足りないな」「ここはダメだなあ」と、自分の欠点や至らない点について考えることはあるでしょう。

自己否定と自己嫌悪 自分を受け入れられない感情

しかし、その自己否定感が過剰に強くなり、その考えに囚われすぎてしまうと、
「ここがダメだなぁ」という部分的な反省から、
「自分は、人間としてダメなんだ」という全人格的な否定へとエスカレートしてしまいます。
そして、そんな自分に対して強い「嫌悪感」を抱くようになり、今のありのままの自分を、全く認めることができなくなってしまうのです。

なぜ、自分を好きになれないのでしょうか?

「なぜ自分のことを好きになれないのか?」という問いが自己理解への第一歩になります。

「理想の自分」と「現実の自分」のギャップ

自己否定感が強い人の心の中には、多くの場合、「こうあるべき自分」「こうなりたい自分」という高い「理想像」が存在します。
そして、常にその「理想の自分」と「現実の自分」とを比較し、「どうして自分は、理想の自分とこんなに違うのだろうか…」と悩み、苦しんでいます。

しかし、この「理想の自分」というのは、多くの場合、非現実的なほど完璧な人間像であり、到達すること自体が、そもそも不可能に近いものであることがほとんどです。
そのため、自己否定感が強い人は、常に「理想」と「現実」のギャップに苦しみ続けることになります。

では、その「理想の自分」のイメージは、一体どこから来たのでしょうか?
それは、最初からあなたの中にあったものでしょうか?
答えは、おそらく「いいえ」です。

「理想の自分」「こう在りたいと思う自分」というイメージは、あなたが育ってきた環境の中で、周りの人々との関わりを通して、徐々に形作られてきたものである可能性が高いのです。

「しつけ」と「親の期待」が生み出すもの

思い出してみてください。
幼い頃は、ただ目の前のことに夢中で、自分の思うまま、無邪気に振る舞っていたのではないでしょうか。
例えば、電車やバスの中で席を立って走り回ろうとしたり、大きな声を出したり、食事の時にガチャガチャと音を立てたり、お菓子をお腹いっぱいになるまで食べたがったり…。色々な場面が思い当たるかもしれませんね。

そして、そのたびに、親御さんから「そんなことをしてはダメだよ」と注意され、少しずつ社会のルールやマナーを覚えていったのではないでしょうか。
子どもに社会性を身につけさせる「しつけ」は、親の大切な役割の一つです。

しかし、問題なのは、その「しつけの方法」です。親が子どもに対して、どのように接してきたかが、子どもの自己肯定感の形成に大きな影響を与えます。

自分の行動を親に注意された時、子どもは「やりたい」と思っていることを我慢しようとします。そして、我慢できた時に「偉いね」と褒められることで、社会性を学んでいきます。
多くの場合、親は子どもを叱る時に、「なぜその行動を取ってはいけないのか」を、子どもが理解できるように、理由を説明します。礼儀やマナーのしつけの場合、子どもは「なぜダメなのか」を理解した上で、我慢することを学びます。

しかし、親が子どもを叱る理由に、「親自身が、子どもにこうあってほしいから」という親の理想や期待が強く入り込んでくると、「なぜダメなのか」という理由が歪んでいきます。

例えば、外で遊んでいる子どもに対して、「(将来のために)勉強しなさい!」「これは、あなたのために言っているのよ」と注意したり、叱ったり。そして、勉強したらしたで、「偉いね!」と褒めたとします。
そうなると、子どもは「勉強したら褒めてもらえるんだ」と当然のように思います。あるいは、「もっと勉強を頑張ろう」と思うかもしれません。

しかし次に、その子どもが、スポーツや芸術活動といった、勉強以外のことに夢中になった時、親が無関心だったり、明らかに勉強した時よりも低い反応を示したりしたとしたら…?

子どもの考えは、段々と「勉強したら褒めてもらえる」から、「勉強『しないと』褒めてもらえない」へと変化していきます。
ここに、「勉強ができる自分=良い子=愛される自分」という「理想像」が、子どもの心の中に完成してしまうのです。
これは、親が子どもに対して(無意識かもしれませんが)「勉強ができる子であってほしい」と願っているために、作り上げられた理想像と言えるでしょう。

このように、家族や、学校の先生、友人など、周りの人々との関わり合いの中で、徐々に「理想の自分」のイメージが、私たちの心の中に組み上がっていきます。
そして、本人はその「理想の自分」に、できる限り自分を合わせようと、必死に努力するようになります。

その必死さの根底、そして自己否定感の奥底には、「『理想の自分』でなければ、私は愛されないのではないか」「理想に届かない自分には、価値がないのではないか」という、深い不安や恐れが隠れているのです。

努力すること自体は、もちろん素晴らしいことです。しかし、このような「愛されるため」「認められるため」という動機を基準に努力していると、努力している間はずっと苦しいばかりですし、いくら頑張っても、心からの満足感を得ることは難しくなります。
そして、「もっと頑張らないと」「まだまだ足りない」と思い続け、自分で自分を褒めてあげることが、非常に困難になってしまうのです。

親御さんとの関係性やしつけのあり方は、自己像の形成に影響することがあります。ただし、親もまた限られた情報や価値観の中で最善を尽くしていた場合が多く、責任を一方的に問うことではなく、今ここからどう向き合っていくかが重要です。

「理想の自分」を追い求めると、本当の自分を見失う

人は誰でも、他の人と円滑に関わっていくために、「お付き合い用の、外向きの自分」という顔を持っており、あまり親しくない人に対して、必要以上に良い顔をしてしまう人を「外面(そとづら)が良い」と言ったりします。心理学の用語で「ペルソナ(仮面)」という表現がありますが、これは社会生活に適応するために必要な側面であり、必ずしも否定すべきものではありません。

自己否定感を持ちやすい人は、「愛されるための理想の自分」というイメージに近づくために、「これはダメだ」と思っている、ありのままの自分(感情、欲求、欠点など)を、どんどん切り捨てていきます。
そして、誰からも愛されよう、嫌われまいとすればするほど、「理想の自分」という仮面は厚くなっていき、その仮面の下にある「本当の自分」が、徐々に分からなくなっていってしまうのです。

さらに厄介なのは、それだけのつらい思いをして、必死に「理想の自分」という仮面を手に入れても、心の奥底では「切り捨ててきた、ダメな自分こそが、本当の自分なんだ」と思い込んでしまっているために、周りから褒められたり、認められたりしても、それを素直に受け入れることができない、という点です。
「いいえ、本当の自分は違うんです。もっとダメな奴なんです」と考えてしまい、自分で自分の価値を認めることができないのです。

本来は、「理想を目指して頑張る自分(仮面の自分)」も、「ダメだと感じている部分(切り離した自分)」も、すべて含めて「あなた自身」の一部なのです。
褒められたのも、頑張ったのも、紛れもなくあなた自身なのですが、それがどうしても認められない…。それが、この「自己否定」「自己嫌悪」を抱える人の、つらい特徴なのです。

「自分はダメだ」と思う、その思考パターンが問題

生きていれば誰でも、何度か挫折を経験することがありますよね。そんな時、「ああ、自分ってダメだなあ…」と、ふと感じてしまう瞬間もあるかもしれません。

しかし、心が健康な状態であれば、そこから「よし、次は頑張ろう!」「どうすれば次はうまくいくかな?」と、再び挑戦する意欲や、前向きな気持ちが湧き上がってくるものです。

ところが、「自分はダメだ」という感情に心が支配され、自信を完全に失ってしまうと、新しいことに挑戦する意欲が失われたり、これまでできていたことさえもスムーズに行えなくなったり、といった様々な弊害が出てきてしまいます。

自己否定 自己嫌悪 抑うつ状態

何か行動を起こした時に、誰かから褒められたり、「上手だね」と言ってもらえたりすることは、そのことを続けていこうと思える大きな力(原動力)になります。
しかし同時に、「でも、この部分はいまいちだったな…」といった反省点も見えてくるものです。

反省し、改善していくこと自体は、成長のためにとても良いことです。
しかし、その反省が、度を超えた自分自身への否定的な感情へとつながり、その感情が心全体を覆ってしまうようになると、「自己否定・自己嫌悪」というつらい世界に陥り、抑うつ状態になってしまうこともあるのです。

「やらされている」と感じると、自己嫌悪につながりやすい

何か新しい行動を起こす時には、「自分からやってみたい!」「面白そうだから、やってみよう!」という、内側から湧き上がる好奇心や意欲が、とても大切になってきます。

例えば勉強においても、親に言われて仕方なくやっているのと、「分かると面白い!」「もっと知りたい!」と思って自分からやっているのとでは、本人の意欲や、学びの深さに大きな差が出ますよね。
「できると面白いから、もっとやりたくなる!」ということはよくありますし、逆に「できないと面白くないから、やる気がなくなる」というのも、自然な感情です。

様々な行動を起こす上で、この「自発的な意欲」の部分が、実は非常に重要な鍵を握っています。
スポーツでも、芸術活動でも、あるいは家のお手伝いでも、どんなことでも構いません。あなたが「自分から進んで」やっていることは、何かありませんか?

そうした自発的な行動に対して、周りから認められたり、褒められたりする経験は、自己肯定感を高める大きな要因となります。

しかし、もし親が望む「理想の姿」(例えば、勉強ができる子、良い子)と、あなた自身が本当にやりたいこととの間に大きなギャップがあり、あなたが親に褒められる「完璧な自分」を理想として追い求めているとしたら…?
そこには、「理想」と「現実」との間の葛藤が生まれ、自己否定感が深まっていくことになります。

ご本人も、心のどこかでは「これは、本当の自分が望んでいることではないかもしれない…」と分かっている部分もあるかもしれません。
しかし、親の期待や願望を強く意識するあまり、現実の自分とのギャップに苦しみ続けるのです。

そして、たとえ親の期待通りに物事を成し遂げ、周りから良い評価を受けたとしても、「これは本当の自分がやったことではない」「この程度なら、誰にでもできる」「自分なんて、まだまだこの程度だ…」というように、自分自身を正当に評価することができず、自己否定に陥ってしまいがちになるのです。

背景には、過剰な親の期待に応えようとするあまり、完璧主義になり、目標や理想が高くなりすぎている、という問題が隠れていることが少なくありません。

親の期待に応えようとすることが、自己嫌悪を生む

一般的に、親は子どもに対して、その秘めた可能性に期待を寄せるものです。
また、ご自身が学生時代に勉強ができたり、スポーツで活躍したり、何らかの分野で成功体験があったりする親御さんの場合、お子さんへの期待も、より大きくなる傾向があるかもしれません。

しかし、その期待が大きければ大きいほど、もしお子さんがその期待に応えられないような結果になった時、親御さんが落胆するのはもちろんですが、それ以上に、お子さん自身が強い自己否定感でいっぱいになってしまう可能性があります。
たとえお子さん自身も「頑張りたかった」と思っていたとしても、結果が出なかった場合、「どうして自分は、こんなこともできないんだろう…」と、自分を責めてしまうかもしれません。

そこで、「まあ、仕方ないか。これも自分なんだ」と、ありのままの自分を受け入れることができれば、少しは気持ちが楽になれるのですが、高すぎる理想を追い求め、それに近づこうともがき続けるのは、非常につらい道のりです。

もちろん、そうした苦しさを乗り越えて、少しずつ成長していくのが人生なのかもしれません。
しかし、忘れないでほしいのは、子どもは親の期待に応えるために生まれてきたのではない、ということです。
「自分の人生は、自分のためにあるものだ」という意識をしっかりと持ち、自分自身の価値基準で生きていくことが、何よりも大切なのです。

「理想の子ども」になろうとすると、自己否定が深まる

親から「勉強しなさい」と言われ、自分では「なんで勉強しなくちゃいけないんだろう?」と、その意味をよく理解できないまま、仕方なく勉強している…。そんな経験はありませんか?

勉強には、自分から「知りたい!」「分かりたい!」と思う意欲も大切です。もちろん、勉強することで知識が広がり、将来様々な場面で役立つ、という側面もあります。しかし、親御さん自身が、その勉強の本質的な意味を十分に理解せず、ただ「良い成績をとること」「良い学校に入ること」だけを求めている場合も、残念ながら見受けられます。

大人になっても、親になっても、学び続けることは大切です。様々な知識を身につけることで、自分自身が成長し、人生が豊かになります。
誰かに褒められるため、認められるために勉強するのではなく、「自分は、こんなことを知りたいな」「こんなことができるようになりたいな」という、自分自身の内側から湧き上がる興味や関心を大切にして、学んでいくことができれば、それはきっと楽しい経験になるはずです。

親には親の考えがあって、良かれと思って色々なことを言ってくることもあるでしょう。ご自身の経験を踏まえて、「子どもには、より良い人生を送ってほしい」と願う気持ちからの発言である場合も多いはずです。
しかし、その親の価値観と、子どもの価値観が、必ずしも一致するとは限りません。

親御さんにお願いしたいのは、お子さんが自己否定や自己嫌悪のループに陥ることのないよう、お子さん自身が大好きで、夢中になっていること、自発的に頑張っていることがあるのであれば、たとえそれが親御さん自身の好みや期待に沿わないことであっても、どうか温かい目で見守り、応援してあげてほしい、ということです。

他者の理想ではなく、「自分の人生」を生きる

親や家族、あるいは社会全体が思い描く「理想の人間像」に、自分を当てはめようとすることは、とても難しいことです。
どんなに頑張っても、どんなに努力しても、それは他人が作り上げた「理想」でしかありません。その理想に近づけたとしても、あなた自身がそれで本当に心から快適に過ごせるのかどうかは、また別の話です。

社会には様々な価値観がありますし、親御さん自身も、そうした社会的な価値観に縛られている場合もあります。
そのことに気づき、より深く、本質的な視点で物事を考えられる親御さんもいらっしゃいますが、どうしても表面的な成功や評価にこだわってしまう人も少なくありません。
表面的な成功は、一見すると評価されやすく、良さそうに見えるかもしれません。しかし、その内側では、本当の自分を偽り、息苦しさを感じている、という場合もあるでしょう。そして、そのギャップに苦しみ、「もうダメだ…」と感じてしまうこともあるかもしれません。

親は、将来の理想の姿を、良かれと思って子どもに提示してくる(あるいは、無意識のうちに押し付けてくる)可能性もあります。
しかし、最終的にあなたの人生を生きていくのは、他の誰でもない、あなた自身です。自分の人生に責任を持ち、自分で選択し、生きていくことが、何よりも大切になってくるでしょう。
そのためにも、揺るぎない自己肯定感を育んでいくことが、不可欠になります。

自己否定は、さらなる自己嫌悪を生む悪循環

「どうせ自分にはできない」と諦めて、挑戦することなく、何もしないでいることは、自ら可能性の芽を摘んでしまうことになります。そして、ますます「何もできない自分」という思い込みを強めてしまうのです。
本当はできるかもしれないのに、自分で自分の可能性を狭めてしまっている…非常にもったいない状態です。

「自分はダメだ」と思って行動しないのは、ある意味、本人の自由かもしれません。しかし、その行動しないことの結果は、最終的に自分自身に跳ね返ってくる、ということを知る必要があります。

「自分はダメだ」と思い続けることで、仕事が長続きしなかったり、自己否定の感情に引きずられて自暴自棄な生活を送ってしまったりするのは、あなたの貴重な人生にとって、大変な損失です。

周りに優秀な人がいた場合、その人と自分を比較して、「それに比べて自分は…」と卑下してしまうこともあるかもしれません。
しかし、その人はその人、あなたはあなたです。その人の真似をする必要はありませんし、同じである必要もありません。

大切なのは、他人との比較ではなく、「過去の自分」との比較です。「前の自分よりは、こんなことができるようになったな」「こういう苦手なところはあるけれど、それでも自分なりに頑張っているな」というように、ありのままの自分を認め、ねぎらってあげることです。

子どもの時に、親や先生から褒めてもらったり、誰かに自分の存在や頑張りを認めてもらったりした経験は、「自分はこれでいいんだ」「自分は価値のある存在なんだ」という自己肯定感の土台となり、成功体験として心に残り、自信へと繋がっていきます。

勉強なども、その一環と捉えることができます。頑張った分だけ結果がついてくる、という経験は、自分に自信を持つための良い手段となり得ます。
もちろん、自信を得る方法は勉強だけではありません。しかし、学校で学んだ知識やスキルは、たとえそのものが直接役に立たないように見えても、形を変えて、将来のあなたの人生の様々な場面で、必ず役に立つ時が来ます。
知識や教養は、あなた自身を助け、人生を豊かにしてくれるものです。ですから、学ぶことは、あなたの将来にとって、必ずプラスになるでしょう。

過去の自分

自己否定・自己嫌悪が、心身の不調を引き起こす

自分を否定する感情が生まれ、その感情を長期間持ち続けていると、間違いなく心や体に様々な不調が現れてきます。
特に明確な理由があるわけでもないのに、体が重く、動くのが億劫になったり、何事に対しても意欲が湧かなくなってしまったり…。
それは、ある意味、当然の結果と言えるかもしれません。なぜなら、あなたは「自分が大嫌いな自分」と、四六時中、一緒に過ごしていることになるからです。

少し想像してみてください。
もし、あなたが心の底から大嫌いな人がいて、その人と一日中、一週間、一年間、寝食を共にしなければならなくなったら、どうでしょうか?
きっと、気分は最悪で、耐え難い苦痛を感じるはずです。

自己嫌悪・自己否定感を抱えて生きるということは、常に「大嫌いな自分」と同居していることと同じなのです。それでは、気分が落ち込み、心身に不調が現れるのも無理はありません。

自己否定 心や体に不調が現れる 嫌いな自分

稀に、脳の病気などが原因で、そのような状態になっている可能性もあるため、注意は必要です。
しかし、ほとんどの場合は、物事の捉え方や、自分自身に対する評価の仕方が、そのつらさを生み出しています。ですから、自分自身に対する見方を変えていくことで、状況は必ず改善できます。

自分で自分の可能性を抑え込んでいるのは、本当にもったいないことです。
もし、あなた一人では、自己否定の感情をどうしても抑えきれない、と感じるのであれば、ぜひ一度、聖心こころのセラピーのカウンセリングにお越しください。
自己否定から自己肯定へと、考え方をシフトさせていくことは、十分に可能です。私たちは、それをカウンセリングの基本中の基本と捉えています。

自己否定・自己嫌悪から抜け出すために、今すぐできること

まずは、なぜ自己否定の気持ちがこれほど強くなってしまったのか、その原因(起因)を見つけることから始めましょう。

  • 自己否定感が強くなってきたのは、いつ頃からですか?
  • 何か、きっかけとなるような出来事はありませんでしたか?

もし、きっかけとなった出来事が思い当たれば、今度は「なぜ、その出来事がきっかけで、これほどまでに自己否定感が強くなってしまったのか」を深く考えてみます。
自己否定をしがちな理由は、多くの場合、ただ一つの出来事だけによるものではなく、様々な要因が複雑に絡み合っています。

自己否定・自己嫌悪を抱くに至った背景として、最も考えられるのは、やはり幼少期に親から十分な愛情を得られなかった、あるいは、ありのままの自分を受け止めてもらえなかった(機能不全家族など)という経験です。

しかし、それ以外にも、学校でのいじめ、家族との離別(死別、離婚など)、子どもの頃の病気や劣等感といった経験が、自己否定感を強く育ててしまう原因となることもあります。
ですから、カウンセリングでは、あなたのお話をじっくりと伺いながら、あらゆる可能性を探っていくことが重要になります。

なぜ、これほど強い自己否定感を抱えてしまったのか、その原因を深く理解することができたら、次はそのつらい気持ちを軽くし、ありのままの自分を受け入れていくための、新しい考え方や、出来事の捉え方を、カウンセラーと一緒に話し合いながら見つけていきます。
対話を通して、より建設的で、あなたを力づけるような論理的な思考を身につけながら、自己否定・自己嫌悪からの離脱を図っていきます。

最初のうちは、少し難しく感じるかもしれません。人によっては、時間がかかる場合もあります。
しかし、諦めずに取り組んでいけば、自己否定感や自己嫌悪感は、必ず次第に薄れていきます。そして、代わりに、自分を労わる気持ち、自分に優しくする気持ち、自分を理解しようとする気持ち、といった自己肯定感が、自然と湧き上がってくるようになるでしょう。

名古屋聖心こころセラピーでは、「自己否定・自己嫌悪」を「自己肯定」へと転換していくプロセスを、数多くサポートさせていただいております。
初回面談の時には、多くの方が「本当に、そんなことができるんですか?」と半信半疑でおっしゃいます。
私たちはいつも、「大丈夫ですよ。私たちは、そのためのサポートを専門に行っていますから」とお答えしています。
そして、カウンセリングが進むにつれて、「先生の言っていた通りでしたね。本当に変われるんですね」と、納得していただいています。

つらい毎日から抜け出すことは、あなたが思っているほど、難しいことではないかもしれませんよ。

「自己否定・自己嫌悪を抱えたまま、幸せに生きている人は、一人もいません。あなたが心からの幸せを感じるためには、まず、自己肯定感を取り戻すことが、何よりも大切なのです。」

参考文献・参考資料

  • 水間玲子(2003) 自己嫌悪感と自己形成の関係について 教育心理学研究 第51巻 第1号
  • 佐伯素子(2008) 自己の否定的評価に関わる恥・罪悪感の覚知と心身健康との関連—青年期女子を対象として— 感情心理学研究 第15巻 第2号

この記事の著者

榊原カウンセラーは臨床心理士・キャリアコンサルタント・管理栄養士。日本福祉大学大学院修了(心理学修士)、名古屋学芸大学卒。公立小学校での栄養教諭を経て、現在は心理・教育・栄養の複合的な視点から支援活動を行う。日本心理学会・日本心理臨床学会会員として、心の健康や対人関係に関する情報発信・執筆にも力を注いでいる。

この記事の監修者

公認心理師・臨床心理士。教育支援センターやスクールカウンセラーとして不登校支援や保護者相談、教職員へのコンサルティングに従事。心療内科や児童発達外来にて心理検査・カウンセリングも担当。現在はオンラインカウンセリングや、心理学と仏教を融合させたセミナー活動などを行っている。

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