HSPカウンセリング

HSPは、病気や障害ではなく、その人の気質や特性を表す「概念・考え方」の一つです。HSPにはいくつかのタイプがあり、芸術や文化など様々な分野で才能を発揮する方が多い一方で、その繊細さゆえに生きづらさを感じてしまうこともあります。ご自身の特性を理解し、適切に対処していくことが大切です。
ガラスのハート:「HSP」とは?
なぜ、あの人はあんなに平気なんだろう?私ならもっと気づくのに…
あの人、ゴミを置きっぱなしにして行ってしまった… 信じられない…
このギクシャクした空気、耐えられない… 私が何とかしなくちゃ…
あの人は本当に無神経だ。私はこんなに気を遣っているのに…
(相手の)表情が変わった… もしかして、何か気に障ることを言ってしまったかな…
図々しい人からのお願いは断りたいけど、嫌われたくないから断れない…
どうして、私はこんなに細かいことまで気になってしまうんだろう…
今、あなたはどんなことに生きづらさを感じていらっしゃいますか?
HSPの傾向がある方は、「自分の繊細さが、生きづらさに繋がっている」と感じていることが多いようです。繊細であるからこそ、相手の表情や言動が過剰に気になったり、周りの環境のちょっとした変化にも敏感に反応してしまったり…。常にアンテナを張り巡らせているような状態で、物事をネガティブに捉えがちになり、結果としてひどく疲れてしまったり、生きづらさを感じたりすることに繋がっているのかもしれませんね。
最近、「HSP」という言葉を耳にする機会が増えたように感じませんか?
HSPとは、「非常に感受性が強く敏感な気質を持った人」を表す言葉で、英語の「Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)」の頭文字をとったものです。
名古屋聖心こころセラピーにも、「自分はHSPだと思うのですが、この生きづらさを何とかしたい」というご相談でいらっしゃる方が、増えているように感じます。このページを読み進めていただくことで、「HSP」について理解を深めていただくとともに、まるでガラスのハートが割れないように必死に守り、傷つくばかりの毎日を送るのではなく、その繊細さをあなたの「良さ」として活かしていけるように、考え方をシフトチェンジしていくお手伝いができれば嬉しいです。
繊細な心(ガラスのハート)は、あなただけが持つ大切な個性の一つです。その個性を、強化ガラスのように強くしたり、時には受け流せるようにしたり、跳ね返したりすることも可能です。HSPであることのつらさを和らげ、あなたが本来持っている美しさも兼ね備えたその個性を、一緒に磨いていきましょう。
HSPは病気ではなく「概念・考え方」
HSPという言葉だけを聞くと、「何かの病気なのだろうか?」と不安に思われるかもしれませんね。でも、ご安心ください。

HSPというのは、その人の気質や性質を表す言葉であり、何かの病気や障害といったものではありません。
「HSPは概念=考え方」と捉えていただくと良いでしょう。性格の一つのタイプ、と考えることもできると思います。
現代社会では、医療はもちろん、カウンセリングや人間関係においても、一人ひとりに合ったオーダーメイドの対応が求められています。その人に最適なアプローチを見つけるために、こうした気質を理解する一つの方法として、「HSP」という言葉が広まり、注目されるようになったのではないかと考えられます。
生きづらさの原因はHSPだけ?
今感じている生きづらさの原因が、HSPの気質だけにある、という方は少ないように思います。例えば、「相手の顔色を常にうかがい、相手が何を考えているのか先読みしてしまう」ということで悩んでいる場合、なぜそのようにしなければならなくなったのか、その背景には、ご自身の経験や、何らかのきっかけがあるはずです。その部分も丁寧に紐解いていくことで、HSPという気質とも、より上手に向き合いやすくなることがあります。
HSPの捉え方と自己肯定感
HSPの傾向がある方は、生きづらさを強く感じれば感じるほど、「どうして私だけ、こんなに気を遣ってばかりなんだろう」「こんなに心が弱い自分はダメな人間だ」と、ご自身を責め、追い込んでしまいがちです。HSPであることをネガティブに捉え、「何とかして克服しなければ!」と頑張るものの、空回りしてしまい、さらに落ち込んでしまう…。そんな悪循環に悩み、名古屋聖心こころセラピーのカウンセリングにお越しになる方も多くいらっしゃいます。
HSPの割合
「非常に感受性が強く敏感な気質を持った人」であるHSPの方は、人口の約15~20%、つまり5人に1人はいると言われています。「5人に1人」と聞いて、多いと感じますか?それとも、少ないと感じますか?
私たちは、無意識のうちに、相手にも自分と同じような考え方や感じ方を期待してしまうことがあります。「どうして、あの人はあんなに平気で、突拍子もないことが言えるんだろう?」と感じた経験がある方は、もしかしたら、HSPではない気質の方に、ご自身と同じような繊細さを期待していたのかもしれませんね。5人に1人はHSPの気質を持っているということは、逆に言えば、5人に4人はHSPではない、ということになります。
ただ、HSPの方の中でも、その特徴の現れ方や強さは人それぞれです。一般的に、HSPには大きく分けて4つのタイプがあると言われています。次の項目で、それぞれのタイプについて詳しく見ていきましょう。
HSPの4つのタイプ(DOES)
HSPには、その特性を表す4つの柱(DOES)があると言われています。
![HSPの特性「DOES」 [D]丁寧で深い情報処理を行う (Depth of processing) [O]過剰に刺激を受けやすい (Overstimulated) [E]共感力が高く、感情の反応が強い (Emotional reactivity / Empathy) [S]些細な変化や刺激に敏感 (Sensitivity to subtleties)](https://www.co-co-ro.jp/wp/wp-content/uploads/2024/08/hsp1.png)
[D]丁寧で深い情報処理を行う (Depth of processing)
HSPの特性の一つ目は、「物事を深く考え、情報を丁寧に処理する」ことです。物事を多角的に捉え、表面的なことだけでなく、その裏にある意味や本質を探ろうとします。そのため、知識が豊富で、周りの人から「どうしてそんなことまで知っているの?」と驚かれることもあるかもしれません。
- お世辞や社交辞令をすぐに見抜く力がある。
- 場の空気を素早く読み取ることができる。
- 哲学的な話題や、物事の本質を探るような深い話が好き。
- 一つの事柄から、様々な視点で物事を考えることができる。
- 相手が本当に言いたいこと、隠された意図などを読み取る力に長けている。
- 何かを調べ始めると徹底的に掘り下げるため、知識が豊富になる。
- 言葉の裏にある本音や真意を探ろうとする。
- その場限りの快楽や、うわべだけの薄っぺらい話は好まない。
- 一つの情報から、多くのことを想像し、深く考える能力がある。
- 物事を始める前に色々と熟考するため、行動に移すまでに時間がかかることがある。
例えば、職場では上司の顔色をうかがい、職場の雰囲気を良くしようと気を配ったり、友人関係では相手の気持ちを素早く察して、嫌われないように会話を選んだり、家庭では夫の「ただいま」の声のトーンから気分を察し、あれこれと世話を焼いたりする、といった行動に現れることがあります。
しかし、この特徴が強く出すぎたり、ネガティブな方向に働いたりすると、深く考えれば考えるほど、相手の思いや考えを読み取れば読み取るほど、際限なく思考が巡り、かえって苦しさやしんどさに繋がってしまう方もいらっしゃいます。また、自己肯定感が低いと、どんなに時間をかけて準備をしても自信が持てず、不安が大きくなってしまったり、相手の様子をうかがいすぎて自分の意見を言えなくなってしまったりすることもあります。「どうしてあの人はあんなに適当なんだろう」と、大雑把に見える人と自分を比較して、疲れてしまう方も多いようです。
これから、このHSPの特徴と上手に付き合っていくためには、考え方の程よいバランス感覚を身につけたり、その特性を「良さ」として発揮したりする方法を、名古屋聖心こころセラピーで一緒に見つけていきましょう。
[O]過剰に刺激を受けやすい (Overstimulated)
HSPの二つ目の特性は、「刺激に対して非常に敏感で、過剰に反応しやすい」ことです。音や光、匂いといった五感で受ける刺激だけでなく、人の言葉や感情など、外部からの刺激に対して、普通の人よりも強く反応し、深く考え込んだり、心身ともに疲れてしまったりすることがあります。
- ヒールがカツカツと鳴る音が、頭に響いて苦手だと感じる。
- 相手の何気ない一言に、深く傷ついてしまうことがよくある。
- 街中の騒音や人混みが苦手で、できるだけ避けてしまう。
- 相手の感情のわずかな変化を、素早く察知することができる。
- 香水などの強い匂いで気分が悪くなるなど、嗅覚が非常に敏感である。
- 本や音楽、美術作品、映画などに深く感情移入しやすい。
- 気候の変化や特定の季節になると、体調を崩しやすい。
日常生活では、電車で隣に座った人の香水で気分が悪くなったり、添加物の多い食べ物でお腹を壊してしまったりすることがあります。職場では、上司から励ましのつもりで言われた「頑張ってね」という言葉に対して、「私はいつも頑張っていないと思われているのだろうか?」などと深く考え込んでしまうこともあります。家庭では、柔軟剤の種類を変えただけで、体調が悪くなるようなことも起こり得ます。
このHSPの特徴が強く出たり、ネガティブに捉えられたりすると、日常生活に大きな支障が出て、行動範囲が制限されてしまうこともあります。また、不快に感じても、それを言葉で伝えることをためらってしまい、ストレスを溜め込んでしまう原因にもなります。
HSPの特徴からくる不快感を和らげるためには、例えば、外的な刺激を遮断するためのツール(耳栓やアイマスクなど)を活用するなど、生活上の工夫を取り入れることで、過ごしやすくなることもあります。また、相手の言動に対して過剰に反応してしまわないように、ご自身の考え方の癖を見直し、修正していくことも有効でしょう。考え方の修正や再構築は、名古屋聖心こころセラピーが得意とするところです。「私はHSPかもしれない」「この生きづらさをどうにかしたい」とお悩みの方は、ぜひ一度カウンセリングをご検討ください。
[E]共感力が高く、感情の反応が強い (Emotional reactivity / Empathy)
HSPの三つ目の特性は、「共感力が非常に高く、感情の反応が豊かである」ことです。共感とは、相手が感じていることを、まるで自分が同じ体験をしているかのように感じ取る能力のことです。その共感力が、人よりも特に優れているのが、このタイプのHSPの方の特徴です。
- 周りの人の様子や雰囲気に、自分の振る舞いを合わせることが多い。
- 相手が喜んでいると、まるで自分のことのように嬉しく感じる。
- お客様や相手の要望を素早く察知し、的確に対応することができる。
- 人の話を、非常に親身になって、深く理解しながら聞くことができる。
- 周りに具合の悪い人がいると、自分自身も気分が悪くなりやすい。
- 子どもの頃、親の機嫌や気持ちを敏感に察しながら過ごしてきた経験がある。
- 誰かが怒られているのを見ると、まるで自分が怒られているかのように感じてしまう。
- ドラマや映画などを見ると、登場人物に深く感情移入し、同時体験しているように感じる。
- 暴力的なシーンや、つらい描写を見ると、精神的にひどく辛くなるため、極力避けている。
学校や職場では、先生や上司から他の人が怒られているのを見ると、自分も一緒に怒られているように感じて苦しくなってしまったり、人間関係においては、友達が落ち込んでいると、自分まで気分が落ち込み、つらくなってしまったりすることが、HSPの特徴として挙げられます。
このHSPの特徴が強く出たり、ネガティブに捉えられたりすると、自分に自信が持てない場合に、周りの人のイライラした雰囲気に萎縮してしまい、自分の意見が言えなくなってしまうことがあります。また、ご自身の感情のコントロールがうまくできないと、相手の悲しみや苦しみを自分のことのように捉え、いつまでも引きずってしまう、ということも多くあります。
共感力が高いという特性を持つHSPの方は、他人の経験や感情であっても、言葉や情景などを通して、まるで自分の身に起きたことのように捉え、感じ取ることができます。「人や物事から影響を受けやすい」という特性が、あなたの良い面として働くように、心の状態を整えていくと良いでしょう。名古屋聖心こころセラピーでは、HSPの方向けのカウンセリングを通して、認知の歪み(考え方の癖)を修正し、今よりもっと楽に生きられるようになるためのトレーニングなども行っています。
[S]些細な変化や刺激に敏感 (Sensitivity to subtleties)
HSPの四つ目の特性は、「些細な変化や感覚刺激に対して非常に敏感である」ことです。小さな物音、光、匂い、味、肌触り、あるいは相手の何気ない仕草や表情の変化、物の配置の変化など、ごくわずかな変化や刺激にも敏感に気づき、驚いたり、不安を感じたりすることがあります。
- 服のタグの位置や素材の肌触り、縫い目などが、非常に気になる。
- 引っ越しや転職など、生活環境の急な変化に対応するのが苦手で、すぐに動揺してしまう。
- ドアが閉まる音や、物が落ちる音など、小さな物音にも過剰に驚いたり、ビクッと反応したりすることが多い。
- 相手の声のトーン、表情、視線、仕草などの、ごくわずかな変化に敏感に気づく。
- 挨拶をしたのに返ってこないと、「何か私が悪いことをしたかな?」「怒っているのかな?」と不安になる。
- カフェなどで、隣の席の会話の内容まで、はっきりと聞こえてきてしまい、気になる。
HSPの傾向が強い方は、小さな刺激にも敏感に反応するため、頻繁に驚いたり、物音に過剰に反応したりすることで、神経がすり減るような疲れを感じてしまうことがあります。また、過去に心ない言葉に深く傷ついてしまった経験があるかもしれません。友達がふと眼鏡を拭く仕草を見ただけで、「私と一緒にいてつまらないのかな」「もしかして嫌われてしまったのではないか」などと、常に不安と隣り合わせの状態で、苦しんでいるHSPの方もいらっしゃいます。
目に入った情報や感じたことを、敏感に受け取り、それをネガティブな思考と結びつけてしまうと、相手の何気ない行為が、自分を不安にさせたり、不快にさせたりするものに感じられてしまいます。目の前で起こっている「事実」と、それに対するあなたの「解釈」は、必ずしもイコールではありません。事実を深読みしすぎたり、ネガティブな妄想を膨らませすぎたりすることは、かえって自分自身を苦しめてしまう場合があります。名古屋聖心こころセラピーでは、認知行動療法などの手法を用いて、あなたの考え方や感じ方のパターンを整え、HSPの特性を活かしつつ、実生活で役立てられるようなトレーニングも行っています。
HSPであることの理解
HSPには、今ご紹介した大きく4つのタイプ(DOES)があり、この4つすべてに当てはまる方は、HSPである可能性が高いと言われています。
ただし、繰り返しになりますが、HSPは病気ではありません。生まれ持った大切な性質(気質)です。ですから、「治す」というよりも、「HSPの性質と共に、どのようにすればもっと楽に、自分らしく生きていけるか」という視点で、改善に取り組んでいくことが大切だと、名古屋聖心こころセラピーでは考えています。
「今まで感じていた生きづらさは、もしかしたらHSPの繊細さからくるものかもしれない」と思われた方は、ぜひ一度、名古屋聖心こころセラピーのカウンセリングをご検討ください。カウンセラーと一緒にご自身と向き合い、生きやすさを手に入れるきっかけとしてみてはいかがでしょうか。
HSPの裏に隠れているかもしれない問題
HSPという考え方が広まるにつれて、「今ある生きづらさはHSPが原因だから、HSPを治したい」「HSPで人の気持ちが分かりすぎてしまうから、気遣いばかりで苦しい。何とか治したい」といったご相談で、当セラピーにお越しになる方が増えています。
しかし、先ほどもお伝えしたように、HSPは病気ではありませんので、病院で「あなたはHSPです」と診断されることはありません。生まれ持った性質であるHSPそのものを「治す」というのは、難しいことかもしれません。

実は、今感じている生きづらさの原因は、HSPの性質そのものというよりも、その性質が、他の要因(過去の経験や考え方の癖など)と複雑に絡み合い、ネガティブな方向に作用してしまっている、というケースが非常に多いのです。
HSPと自己否定感
例えば、HSPの気質に加えて、自己肯定感が低い状態が重なっている方の場合、どんなに時間をかけて丁寧に情報を分析し、深く考えても、なかなか自分に自信が持てず、「こんなことを言ったら、周りから変に思われるのではないか…」という不安が先に立ち、自分の意見を言えなくなってしまうことがあります。
HSPとアダルトチルドレン・愛着障害
HSPの気質と、アダルトチルドレン(機能不全家族で育ったことにより、大人になっても生きづらさを抱えている状態)や愛着障害(幼少期の養育者との関係の中で、安定した愛着を形成できなかったことによる問題)などが組み合わさると、例えば、誰かが怒っているのを見ると必要以上に恐怖を感じたり、逆に「この人は私が何とかしてあげなければ!」と過剰な責任感や使命感を抱いてしまったりする、といった特徴が見られることがあります。子どもの頃から親の顔色や雰囲気を瞬時に察知して生きてきたため、相手のわずかな表情の変化なども、決して見逃さないのです。
HSPと考え方の歪み(認知の歪み)
HSPの気質と、認知の歪み(考え方の癖)が結びついている方も多くいらっしゃいます。そうした方は、過去に、親子関係や家庭環境、学校や職場などで、コミュニケーションが取りにくかったり、ありのままの感情を受け止めてもらえなかったりした経験をお持ちのことが多いようです。何とかしてその厳しい環境に適応しようとした結果、物事の捉え方や考え方が偏ってしまい、感情のコントロールが不安定になってしまう、という方も少なくありません。
根本原因へのアプローチ
過去の経験や現在の環境が、HSPの特性をよりネガティブな方向に強めてしまっている場合が多くあります。もし、その状態を放置してしまうと、さらにHSPの特性が悪化し、うつ病やひきこもり、不安症、摂食症などを引き起こしたり、幸せとは程遠い恋愛や結婚生活を送ってしまったりする可能性も否定できません。
大切なのは、HSPという気質だけに注目するのではなく、今あなたが感じている生きづらさの本当の原因を見つけていくことです。それが、具体的な対策を考えるための第一歩となります。名古屋聖心こころセラピーのカウンセリングで、その原因を一緒に探り、あなたに合った対策を考え、実行へと移していくお手伝いをさせてください。
HSPをあなたの「長所」として活かしていく
HSPは、決してネガティブなことばかりではありません。むしろ、その繊細さがあるからこそできること、敏感だからこそ感じ取れるものが、たくさんあるのです。
繊細かつ丁寧な心配り
HSPの方は、相手の表情や仕草のわずかな変化を見逃さず、言葉の裏にある気持ちを読み取る力に長けています。相手の気持ちを深く考えることができるため、その場に応じた適切な行動や、きめ細やかな心配りができる。これは、HSPの素晴らしい長所の一つと言えるでしょう。周りの人からは、「よく気がつく、優しい人」と見られることが多いかもしれません。
ただし、常に相手の変化に反応し続けて疲れてしまったり、「いい人」を演じている自分に違和感を覚えたりするならば、無理をして人と関わることを少しずつ減らしていくことも大切です。
多彩で細やかな発想力
芸術や文化、研究など、様々な分野で活躍されているHSPの方は、実はたくさんいらっしゃいます。HSPの特性として、感受性の豊かさが挙げられます。様々な物事に対して敏感に反応しやすいからこそ、心を動かされたり、深く感動したり、共感したりすることができるのです。また、情報を緻密かつ深く処理する能力があるため、知識が豊富で、物事を多角的に捉え、本質を見抜く力を持っていることも、HSPの良さと言えるでしょう。
相手の気持ちに寄り添う力
HSPの方は、まるで相手の経験が自分の経験であるかのように感じ、一緒に喜び、悲しむことができる、高い共感力を持っています。あなたが辛い時に、そばにいて、ただ黙って話を聞いてくれた人がいたことで、不安な気持ちが和らぎ、安心感に包まれた、という経験はありませんか? まさに、人の心に深く寄り添うことができるこの特性を活かして、カウンセラーや、介護・看護の分野など、人をサポートする仕事で活躍されているHSPの方も多くいらっしゃいます。
心理療法の効果が出やすい側面も
HSPの方は、物事やご自身の内面の変化に敏感に気づくことができるため、カウンセリングやセラピー、心理療法の効果が比較的高く現れやすい、という傾向もあります。特に、心の傷を癒したり、気持ちを整えたりするセラピーの後には、「心も体も、ふっと軽くなった感じがします」「なぜこんなに生きづらいのだろう?と思っていたけれど、HSPの性質と考え方の歪みが結びついて、生きづらさを生んでいたんですね!」など、ご自身の変化をはっきりと実感される方が多くいらっしゃいます。
名古屋聖心こころセラピーでは、カウンセリングはもちろんのこと、心理療法や各種セラピーを、ご相談者お一人おひとりの状態やご希望に合わせて、丁寧に行っていきます。もし、生きづらさから抜け出せず、苦しんでいらっしゃるのであれば、ぜひ一度、当セラピーのカウンセリングをご検討ください。
HSPの方への温かなサポートのために
いちいち気にしすぎだよ
そんなに深く考えなくても大丈夫だよ
悩むことなんて、誰にだってあるんだから
気が付かないより、気が付く方が良いことじゃない
最近になってHSPという言葉が知られるようになってきましたが、まだまだ社会全体での認知度は低いのが現状です。HSPに対する理解が十分に得られていない状況では、上記のような、一見すると一般的な励ましのように聞こえる言葉が、HSPの方にとってはかえってプレッシャーになったり、自己否定の材料になったりして、その特性をさらにネガティブな方向に強めてしまう場合があります。5人に1人はHSPの気質を持っていることを考えれば、これからは、お互いの違いを理解し、尊重し合う(相互理解・自他尊重)姿勢が、ますます大切になってくるでしょう。
職場での関わり
HSPの方は、仕事を丁寧に行い、様々な角度から物事を深く考えられる反面、人一倍時間やエネルギーが必要になることもあります。もしあなたがHSPで、仕事で悩んでいるなら、一人で悶々と抱え込まず、信頼できる上司や同僚に相談してみたり、自分に合った仕事の進め方を見つけていったりできると良いですね。職場のメンバーも、HSPの特性を理解し、その丁寧な仕事ぶりや知識の豊富さ、細やかな気配りなどに目を向けることで、チーム全体の力が高まることもあるでしょう。
友人関係での関わり
HSPの方は、人からの影響を受けやすく、中には、友達から嫌われないように、常に気を張り詰めて接している、という方もいらっしゃいます。友達の何気ない一言に、深く傷ついているかもしれません。街中の賑やかな雰囲気や、食べ慣れないものが苦手で、具合が悪くなっているかもしれません。周りの方は、過度に配慮する必要はありませんが、もし「いつもと様子が違うな」と気づいたら、「大丈夫?」「少し休もうか」などと、優しい言葉をかけてもらえるだけで、HSPの方は心が落ち着き、安心することができます。
カップル・夫婦関係での関わり
人間は、無意識のうちに「相手も自分と同じように感じているはずだ」と考えてしまう傾向があり、関係が親密になればなるほど、その傾向は強くなりがちです。しかし、私たちはエスパーではありませんから、相手の心をすべて理解することはできません。HSPの方も、多角的に物事を考えたり、共感的に相手の気持ちを察したりすることは得意ですが、すべてがお見通しというわけではありません。そのため、たとえカップルや夫婦であっても、「雰囲気で察してほしい」「言わなくても気づいてほしい」と期待するのは、少し難しい要求かもしれません。お互いの考えや気持ちを、言葉にして伝え合い、理解し合う努力を続けることが、良好な関係を築く上で不可欠と言えるでしょう。
HSPという気質を持つ人が、決して少なくない数、存在していることを理解した上で、人と接することができれば、お互いにとってより生きやすく、よりスムーズなコミュニケーションが可能になります。もし、ご自身や、あなたの周りの大切な人が、生きづらさを感じているのであれば、名古屋聖心こころセラピーで、早めに対策を講じることをお勧めします。
HSPを活かした、あなたらしい楽しい人生へ
HSPは、病気ではありません。変な人でも、面倒くさい存在でもありません。それは、感受性が豊かであるという、あなただけが持つ素晴らしい個性です。だからこそ経験できること、感じられることが、たくさんあるはずです。
HSPの特性がネガティブな方向に作用してしまうと、生きづらさに繋がる、ということはこれまでお伝えしてきました。名古屋聖心こころセラピーでは、主に以下の3つの側面からのケアやサポートを通して、あなたがHSPの特性を活かし、あなたらしい楽しい人生を送れるようになることを目指しています。
考え方(認知)のケア
まず大切なのは、「自分が感じ取ったことのすべてが、客観的な事実ではない」ということを理解することです。そして、「今、自分はこう感じているんだな」と、ご自身の心の動きに気づくことも重要です。「裏切られた」「嫌われた」といったネガティブな考えや、嫌悪感、被害者意識などが浮かんできた時、「ああ、今、私はそう感じているんだな」と一旦受け止め、それが必ずしも事実とはイコールではない、ということを心に留めて、その後の行動を選択していくことが大切です。名古屋聖心こころセラピーでは、認知行動療法などの手法を用い、考え方の癖を修正し、あなたがより納得のいく行動を選べるように、HSPの特性と丁寧に関わっていきます。
感情のケア
HSPの方は、客観的な事実に基づいて物事を考えるよりも、ご自身の直感的で情緒的な感覚や感情に、どうしても引っ張られてしまいやすい傾向があります。特に、過去に心の傷を負った経験があったり、常に不安や緊張した状態にあったりすると、ネガティブで自己否定的な感情が浮かびやすくなるのは、ある意味自然なことです。名古屋聖心こころセラピーでは、怒りや不安、悲しみといった感情への対処法を学び、カウンセリングや心理療法などを通して、心の傷を癒し、心身ともにリラックスした状態を取り戻していくことで、安定的でポジティブな感情が自然と生まれやすくなるように、HSPの特性に寄り添いながらサポートしていきます。
身体(感覚)のケア
ヒプノセラピー(催眠療法)や自律訓練法、呼吸法などを通して、心と体に溜まった不安や緊張を和らげることも有効です。また、規則正しい生活を送ることで、身体のリズムを整えるなど、体の内面からケアしていくことも、HSPの方にとっては大切です。光に敏感であればサングラスやアイマスクを、音に敏感であればノイズキャンセリング機能付きのヘッドフォンや耳栓を使うなど、ツールやアイテムを上手に活用することで、刺激を和らげ、より落ち着いて生活を送ることができるようになります。
これまで、「どうして私だけ、こんなに神経質なんだろう…」「心が疲れやすいのは、私のメンタルが弱いからなのだろうか…」と、ご自身を責めてきた方もいらっしゃるかもしれません。そんな中で、「HSP」という考え方を知り、「なるほど、そういうことだったのか!」と合点がいき、少し救われた気持ちになった方も多いのではないでしょうか。
HSPという、あなただけが持つ繊細な感性と、これからより良く付き合っていくために。名古屋聖心こころセラピーのカウンセリングを、ぜひ一度ご検討ください。HSPの特性をあなたの「強み」として活かし、あなたらしい、楽しい人生を目指して、一緒に歩んでいきましょう。
参考文献・参考資料
- アーロン, E. N.(著),冨田香里(訳)(2015) 『ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ。』 講談社
- 武田友紀(2018) 『「繊細さん」の本』 飛鳥新社