ネット依存症カウンセリング

スマホやゲームへの依存は、熱中するあまり、家族との会話が減ってしまったり、昼夜逆転の生活になったり、学業不振や不登校、さらには社会との関わりが減少し、生活リズムの乱れや孤立感が深まり、社会生活に支障をきたしてしまう恐れもあります。

その背景には、家庭内での関わり方や、子ども自身の性格・発達特性、学校や友人関係、社会環境など、さまざまな要因が複雑に影響していると考えられます。

スマホ依存症やゲーム依存症という言葉は、日常的に使われていますが、これらは医学的な正式診断名ではありません（現行の精神疾患分類では限定的にしか認められていません)。本記事では、日常生活や社会生活に支障が出るほどスマートフォンやゲーム、インターネット利用に没頭してしまう状態について、わかりやすく「依存症」と表現しています。

スマホ依存症・ゲーム依存症・ネット依存症とは

あなたは一日何時間、ネットに触れていますか？

インターネットやゲームは、私たちの生活にとって非常に身近なものとなり、ちょっとした空き時間を潰すには、とても手軽な手段の一つですよね。しかし、その利用が度を超え、日常生活や社会生活にまで支障が出てしまうようになると、それは立派な「依存症」と言えるかもしれません。生活の質が低下するだけでなく、将来への夢や希望を見失い、投げやりな気持ちになってしまう…。そんな状況は、周りのご家族にとっても、大きな心配事となるでしょう。

日常生活への支障

様々なオンラインサービスが次々と登場し、私たちの生活を便利にしてくれるツールであるからこそ、その利用が度を超え、日常生活に支障をきたすほどになってしまう…。当名古屋聖心こころセラピーにも、そうしたお悩みを抱えてご相談に来られる方がいらっしゃいます。

通常の限度を超えて、家族との会話中、食事中、お風呂やトイレの中にまでスマホやゲームを持ち込み、常に夢中になってしまう。自分自身では、もはやその行動をコントロールできなくなり、家族関係、学業、仕事、恋愛などにまで悪影響が出始めている…。もし、そんな状況にあるとしたら、改善に向けて専門家のサポート（セラピー）が必要なのかもしれません。

ご自身で「このままではいけない」と感じて相談に来られるケースもありますが、多くの場合、ご家族や恋人など、周りの方が心配して、依存症のご本人を連れて来られるケースが少なくありません。ご本人は、自分がネット依存症であるとは考えておらず、問題の自覚がないことが多いのも、このインターネット依存症（スマホ依存症・ゲーム依存症）の特徴の一つと言えるでしょう。

スマホ・ネット・ゲーム依存症など、依存症の種類

インターネットやデジタルデバイスへの依存は、その対象によっていくつかの種類に分けられます。

ネット依存・ゲーム依存・スマホ依存症がもたらす弊害

インターネット依存症、オンラインゲーム依存症、ネットサーフィン依存症、メール依存症、スマホ依存症…。これらの依存症は、ご本人も「やめなければ」と頭では分かっていても、自分の意志だけではなかなかコントロールすることが難しいものです。そして、その結果、学業や夫婦の時間、家族との大切な時間など、本来すべきこと、大切にすべきことの多くが犠牲になってしまっています。

精神的な影響

ネットを利用していない時には、強い不安感や「ネットに触れたい」という欲求（渇望感）を感じるようになり、ストレスが急激に高まります。決して大袈裟な話ではなく、「それがないと生きていけない」と感じるほどの、強い依存状態に陥ってしまうのです。

母親がお子さんにゲームのやりすぎを注意し、取り上げようとすると、お子さんが激しく抵抗し、まるで発狂したかのようになる…。妻が夫にネットサーフィンのしすぎを注意すると、途端に不機嫌になる…。こんなことが日常的に繰り返されれば、当然、日常生活に支障が出てきます。

周囲への影響と健康リスク

ご家族や周りの人に心配や迷惑をかけるだけでなく、不規則な生活が続くことで、ご本人の心身の健康を損なってしまう危険性も、決して無視できません。

ニート・ひきこもりとスマホ・ゲーム依存症の関係

「放っておけば、そのうち飽きてやめるだろう」
もし、そんな風に考えているとしたら、それは大きな誤解かもしれません。インターネット依存症は、自然に治まることはほとんどなく、むしろ進行していくことの方が多いのです。

問題の否認と自己正当化

なぜなら、ネット依存症のご本人は、自分が依存症であることに気づいていない、あるいは認めたくない、と感じていることが多いためです。周りの人が心配して注意をしても、「何が悪いの？」「誰にも迷惑をかけていないんだから、いいじゃないか」「自分だけじゃない、みんなやっていることだ」といった言葉で反論し、自分を正当化しようとするため、問題解決が非常に難しくなってしまうのです。

社会からの孤立

ネット依存症が進行すると、ますます自分の世界に閉じこもってしまい、放置してしまうと、社会との関わりの減少、生活リズムの乱れ、孤立感が高まる傾向にあります。ネットに接続している時間が長くなればなるほど、家族と過ごす時間は減り、現実世界での友人関係も希薄になり、社会から孤立していく一方です。

例えばひきこもりやニートの方が、自室にこもって一日中パソコンに向かっている姿は、まさにこの悪循環にはまり込んでしまった結果、もはや実社会との関わりを持つこと自体が面倒になってしまっている状態、と言えるのかもしれません。その結果、社会からの疎外感や深い孤独感から、うつ状態になるなど、精神面への影響も決して軽視できません。

子どものスマホ依存症・ゲーム依存症の深刻化

インターネット依存症は、大人だけの問題ではありません。現代では、小学生にまでその問題が見られるほど、深刻化していることをご存知でしょうか。お子さんたちがネット依存症になる場合、そのほとんどがゲームへの過度な熱中が原因です。最近では、スマホやタブレットで、いつでもどこでも手軽にゲームができてしまうため、親御さんがお子さんの依存症に気づきにくくなっている、という側面もあります。

早期発見と対応の重要性

食事の時間になっても部屋から出てこない、夜も寝ずにゲームを繰り返し、学校も何かと理由をつけて休みがちになる…。もし、お子さんにそのような様子が見られたら、依存症を疑ってみる必要があります。早期に問題に気づき、適切な対応をとることが、お子さんの未来を守るために非常に重要です。

インターネット依存症・ゲーム依存症の根本原因

オンラインの世界への過度な依存の背景には、「現実の世界と向き合いたくない」という心理が隠れていることがよくあります。

現実逃避としての依存

現実の生活や仕事、学業などがうまくいっていない時ほど、人はこうしたツールへの依存度を高めやすい傾向があります。なぜなら、オンラインの世界を通して人と交流したり、ネットサーフィンやメール（SNS）に没頭したりすることで、現実で感じている寂しさや不安感を一時的に紛らわすことができるからです。

また、心の奥底に「他の人を心から信頼できない」「人に傷つけられるのが怖い」といった思いがあると、傷つく心配のない、安心できる自分だけのバーチャルな世界に浸ってしまう、ということもあります。メール依存症（SNS依存症）も、「メール（SNS）でしか、本当の自分を表現できない」と感じている場合、それは現実世界での直接的な人とのコミュニケーションへの恐れの表れ、と考えることもできます。

心の成長の機会損失

本来、人間は、現実世界での他者とのコミュニケーションを通して、時には傷ついたり、時には癒されたりしながら、自分の心を成長させていくものです。しかし、依存状態を続けていると、そうした成長の機会を失ってしまいます。いつまでたっても、心の奥にある寂しさや不安感を根本的に満たすことができないまま、自分だけの世界に閉じこもる人生になってしまう可能性があるのです。

ネットやゲーム以外の楽しみを知らない子どもたち

インターネットの世界には、常に新しいゲームが次々と登場し、私たちの射幸心（偶然の利益を求める心）を巧みに刺激します。そのため、ゲームに夢中になり、現実の生活を忘れて没頭してしまうお子さんも少なくありません。

依存による生活への影響

しかし、何時間もゲームに没頭することで、学校に行かなくなってしまったり、家族との会話が全くなくなってしまったり、ゲームをしていないとイライラして落ち着かなくなったり… といった状況に陥ってしまうこともあります。空いた時間に少し楽しむ程度なら良いのですが、普段やるべきこと（勉強やお手伝いなど）もそっちのけでゲームに没頭してしまうようであれば、それは依存症として、適切なサポートや治療が必要な状態かもしれません。

ネットやゲームにのめり込みすぎて、ご自身の人生を台無しにしてしまわないように、注意していくことが大切ですね。

ゲームや動画にはまり、友達と遊ばない小学生

最近では、スマホやタブレットで、手軽にゲームや動画を楽しめるようになったため、学校から帰ってくると、まず真っ先にそうしたデバイスを手に取る、というお子さんも増えています。

外の世界との接点の減少

また、インターネットは外部との接触の道具ともなりますが、使い方によっては、悪意のある大人と繋がってしまう危険性も潜んでいます。

本来であれば、習い事に通ったり、友達と外で遊んだりする時間を持つなど、現実の世界で様々な活動をする時間を持てると良いのですが、なかなかそうした機会を持てずに、家で過ごす時間が長くなっているケースも見られます。中には、「スマホを渡しておけば、子どもがおとなしくしているから」という理由で、安易に使用を許可してしまっている親御さんもいらっしゃるかもしれません。

家庭環境の影響

家に一人でいても、遊ぶ相手もおらず退屈だから、ゲームやスマホの動画を見ることで、楽しみを見出している、という側面もあるでしょう。しかし、問題はその「時間」です。もし、一日中画面を見ているような状況であれば、少し立ち止まって考える必要があります。その背景には、お父さんが仕事で忙しく家庭にあまり関われない、あるいはご両親ともに忙しく、お子さんの相手をする時間的な余裕がない、といった家庭環境が影響している場合もあります。

LINEなどでいじめに巻き込まれる中高生

近年、SNS上でのいじめが深刻な問題となっています。「すぐに返事をしないと、仲間外れにされる」「既読スルーした、と責められる」といったプレッシャーから、四六時中LINEなどのSNSが気になってしまう、というケースもあります。

SNS疲れと人間関係

本当に仲の良い友達とは、LINEで楽しく話をするのも良いでしょう。しかし、気の進まないグループに、無理に参加し続ける必要はありません。自分一人の時間も大切にし、貴重な自分の時間を、SNSに費やしすぎてしまわないようにしましょう。

ネット・スマホ依存症に陥り、部屋に閉じこもる夫

スマホやパソコンを使えば、様々な情報に簡単にアクセスできますし、インターネットの世界は広大で、一度足を踏み入れると、何時間でも没頭してしまうことがありますよね。

家族とのコミュニケーション不足

食事中にもスマホを手放せない、家にいる時もずっとパソコンに向かっていて、家族との会話がほとんどない…。もし、ご主人にそんな様子が見られる場合、それは立派なインターネット依存症になっている可能性があります。意識的にパソコンやスマホから離れる時間を作ることが必要です。

最初は単なる暇つぶしのつもりだったとしても、徐々にのめり込んでしまい、気づけば一日中パソコンの前に座っていた… なんてことも、珍しくありません。

最近では、副業としてネットビジネスに取り組む方や、出会い系サイトにはまっている方も多く、それが家族間のコミュニケーションの妨げになっているケースもしばしば見られます。

家庭への影響

家族のことをもう少し大切に思うのであれば、インターネットに費やしている時間を少し減らし、家族との交流時間をもっと積極的に増やすことを心がけなければ、一番大切なはずの家族関係に亀裂が入ったり、深刻な家庭問題に発展したりする可能性が高まります。お父さんがそのような状態では、お子さんがスマホやゲームにはまってしまっても、何も言えなくなってしまいますよね。

暇を持て余し、常にスマホをいじるネット依存症

インターネットの世界には、膨大な量の情報が溢れていますから、その気になればいくらでも時間を費やすことができます。休日には、家族それぞれが自分のパソコンやスマホに向かっている… というご家庭もあるかもしれません。

現実世界への関心

しかし、少し周りを見渡せば、現実の世界にも、家族との時間、地域の活動、趣味など、興味を持てるものはたくさんあるはずです。

バーチャルな世界に閉じこもるだけでなく、現実の世界にもっと目を向けてみることが大切です。「常に何か新しい情報に触れていないと不安だ」と感じることもあるかもしれませんが、時には、意識的にスマホやパソコンから離れて、自分自身と向き合う時間を持ったり、ただボーっとリラックスしたり、身近な家族とゆっくり会話を楽しんだりする時間を、積極的に設けてみてはいかがでしょうか。

あなたがインターネットの世界に夢中になっている間、ご家族や恋人は、寂しい思いをしているかもしれませんよ。

もし、ご自身でなかなか状況を変えることが難しいと感じるのであれば、聖心こころセラピーがお手伝いできます。インターネットの世界にはまり込んでしまう心の状態を改善し、適度な使用に留められるように、心をコントロールしていくサポートをしています。ぜひ一度、セラピーにお越しいただくことをお勧めします。

スマホ・ネット・ゲーム依存症の克服に向けて

ネット中毒（依存症）を克服するためには、まず「このままではいけない、何とかしなくては」と、ご本人が決意することから始まります。

現状の認識と目標設定

「今の生活を続けていたら、自分の未来はどうなってしまうのだろうか？」と具体的にイメージし、「自分は一体、どれくらいの時間をネットに費やしているのだろうか？」と、正確に現状を把握し、ご自身が置かれている状況をきちんと自覚することが大切です。

セラピーでは、「頭では分かっていても、自分ではどうしても改善できない」という部分に対して、認知行動療法や潜在意識に働きかけるアプローチなどを用いて、ご自身でコントロールできるようになるよう、丁寧にサポート（誘導）していきます。

そして、ご自身の心の本質（本当に求めているもの、満たされていないもの）に目を向けることで、バーチャルな世界やネットへの過度な依存傾向を改善し、もう一度、現実の社会の中で、人との温かい交流や信頼関係を築いていけるように、一緒に取り組んでいきましょう。

また、本人へのサポートだけでなく、家族がどのように関われば良いのか、どこまで介入するべきか悩まれる方も多くいらっしゃいます。名古屋聖心こころセラピーでは、家族向けの相談や支援も行っています。どうぞお気軽にご相談ください。