アルコール依存症カウンセリング

アルコール依存症とは、お酒を飲む量やタイミングを、ご自身の理性でコントロールすることが難しくなってしまう状態を指します。
飲酒運転、泥酔してのトラブル、お酒の席での口論、そして大切な人からの信頼失墜…。
もし、あなたがアルコールに関する問題で苦しんでいるなら、これ以上、あなたと共に人生を歩むはずの大切なご家族を、失望させ、絶望させてはいけません。
回復への道は、この依存症から抜け出すこと、そこにあります。

アルコール依存症は、あなたと、あなたの大切な人を深く傷つけます

アルコール依存症は、お酒が入ることで普段とは違う言動（暴言、暴力など）が出てしまったり、周りの人に迷惑をかけてしまったりすることで、人からの信頼を失ってしまう危険性が非常に高い、深刻な依存症です。

「お酒は好きだし、人よりもたくさん飲むかもしれない。でも、決して自分はアルコール依存症なんかじゃない！」
…このように考えていらっしゃる方は、実は非常に多いのではないでしょうか。
しかし、そこに落とし穴が潜んでいるのかもしれません。実際には、お酒を飲む習慣のある方なら誰でも、アルコール依存症になる可能性を秘めているのです。

昔から、お酒は人間関係を円滑にするためのコミュニケーションツールとして、あるいは、飲酒による高揚感が日常の煩わしさから解放してくれるため、ストレス解消の手段として、私たちの社会に深く根付いてきました。

その一方で、お酒を飲むことによって得られる一時的な高揚感は、目の前にあるつらい現実から逃避することも可能にしてしまいます。そのため、悩みや苦しみを抱えている時、ついついお酒に頼りたくなってしまう気持ちは、誰にでもあるかもしれません。

アルコール依存症チェック：あなたや大切な人は、いくつ当てはまりますか？

あなたや、あなたの大切な人に、以下のような項目に心当たりはありませんか？

• お酒を飲みすぎて、路上や公共の場所で寝てしまったことがある
• お酒を飲んでいない日に、妙にイライラしたり、落ち着かなかったりすることがある
• 家族や友人など、身近な人から「飲みすぎだよ」「お酒を控えた方がいい」と心配されたり、注意されたりしたことがある
• お酒が原因で、家族や友人と口論になったり、トラブルを起こしたりしたことがある
• 酔っ払って、カバンや財布などを失くしたり、どこかに置き忘れたりしたことがある
• お酒を飲んだことが原因で、大切な約束を忘れたり、守れなかったりしたことがある
• 「今日はこれくらいでやめておこう」と思っていても、結局飲みすぎてしまうことがよくある
• 寝る前にお酒を飲む習慣があり、飲まないと、なかなか寝付けないことがある
• 飲んだ翌朝、前夜の記憶が一部なくなっている（ブラックアウト）ことがある
• お酒を飲まない日はほとんどなく、「休肝日」を決めても、結局飲んでしまうことがある
• 酔うと、怒りっぽくなったり、くどくどと愚痴をこぼしたり、説教じみたことを言ったりしてしまうことがある

上記の項目にもし３つ以上当てはまるようであれば、それはアルコール依存症の少し心配なサインと言えるかもしれません。
気づいた時には、すでに深刻な状況になってしまっていることも少なくありません。あなた自身と、あなたの大切な人を、アルコール依存から守るために、早めに対策を講じることが重要です。

アルコール依存症の２つの側面：「精神的依存」と「身体的依存」

アルコール依存症には、大きく分けて「精神的依存」と「身体的依存」の二つの側面があります。

アルコール依存症に至る原因：なぜお酒に頼ってしまうのでしょうか？

アルコール依存症は、「意志が弱いから」「性格がだらしないから」「我慢ができない人だから」…そんな風に、本人の人格の問題として捉えられがちです。
しかし、実際にはそうではありません。

アルコール依存症になる方は、決して道徳心が欠けていたり、自制心がないわけではありません。むしろ、心理的なつらさや、厳しい環境要因から逃れるために、お酒に「助け」を求めざるを得なかった、という方がほとんどなのです。

例えば、

• 幼少期に、親から抑圧されたり、十分な愛情を受けられなかったりした経験がある
• 常に不安を感じやすく、ストレスを内に溜め込みやすい性格傾向がある

といった方が、アルコールを摂取することで得られる一時的な快感や解放感によって、問題を一時的に忘れようとしたり、やり過ごしたりする。そして、不安や寂しさを感じるたびに、現実逃避の手段として、お酒に頼ってしまうのです。

女性においても、学生時代から飲酒の機会が増え、社会進出が進んだ現代では、女性のアルコール依存症の方も、潜在的には多くいらっしゃると考えられます。
育児のストレスや、多忙で不在がちな夫（パートナー）への寂しさなどを紛らわすために、お酒の量が増えていった、というケースも少なくありません。

この病気の最も怖いところの一つは、ご本人が「自分はアルコールに依存などしていない」「問題になるほど飲んではいない」などと、問題を強く「否認」するという心の働きです。
本人の無自覚こそが、アルコール依存症の特徴であり、治療を難しくさせる大きな要因なのです。

また、飲み続けるうちに、以前と同じ量では酔えなくなり、より多くの量を飲まなければ満足できなくなるという「耐性」が形成されていきます。
しかし、ご本人はそれを「自分は最近、お酒に強くなったんだ」と、妙に自慢げに勘違いしてしまう始末です。

アルコール依存症によって、多くの家庭が壊れている現実

アルコール依存症の人は、昼夜を問わず、暇さえあればお酒を飲んでいる、という状態になりがちです。
普通の人でも、お酒を飲むと開放的な気分になることはありますが、それが度を越して飲みすぎてしまい、周りの人に迷惑をかけることが、時折、あるいは度々起こるようになります。

身近にいる家族は、

• 酔っ払ってトラブルを起こし、夜中に警察から呼び出される
• 借金の取り立てや、酔って壊した物の弁償などを請求され、家に押しかけられる

など、様々な形で大きな迷惑を被ることが多く、何とかしてお酒をやめてもらおうと必死になります。

アルコール依存症を根本的に治すためには、その背景にある原因を探り、アルコールに頼らざるを得ない状況そのものを変えていくことも必要になります。しかし、それは簡単なことではなく、多くのご家庭で困難に直面しているのが現状です。

様々な背景から発症するアルコール依存症

アルコール依存症から脱却し、自分らしい生き方を取り戻すために

アルコールが入ると気持ちが大きくなり、人に暴言を吐いたり、暴力をふるったりする。あるいは、いつまでも飲み続けてしまい、他の大切な用事や予定が疎か（なおざり）になる…。
そんな状況が続けば、仕事に遅刻するようになったり、大切な会議をすっぽかしてしまったりして、社会的な信用を完全に失い、結果的に仕事を失ってしまう、といった事態にもなりかねません。

また、酒癖が悪いことで、周りの人々からも距離を置かれるようになり、孤立していきます。そして、その孤独感が、さらにアルコールへと走らせる、という悪循環に陥ってしまうのです。

アルコール依存症を治すためには、家族のサポートも必要になります。
また、アルコール依存症者の自助グループ（断酒会、AAなど）に参加し、同じ悩みを持つ仲間と、自分の心の内を正直に語り合うことも、回復への大きな助けとなります。

もし、大勢の前で話すことが苦手だと感じるのであれば、カウンセリングのような、専門家と一対一でじっくりと話せる場を利用することも有効です。

アルコール依存症の根本原因を、ご本人も家族も理解することが大切

自分の心にあるつらさや寂しさを紛らわすためにアルコールに走っている場合、何がその根本的な原因となっているのかを、ご本人だけでなく、ご家族もしっかりと把握することが、回復への第一歩となります。

アルコール依存症のご家族は、「なぜ、本人はそこまでしてお酒を飲んでしまうのか」「どうしてやめられないのか」ということが理解できず、途方に暮れてしまうこともあります。ですから、まずはご本人の気持ちや背景に、耳を傾け、理解しようと努めることが大切です。

ご家族が、本人がどのようなことに不安や不満を感じているのかを知ることができれば、それを改善するために、家族全体で協力していく、という道筋も見えてくるかもしれません。

カウンセリングでは、ご本人が自分自身の気持ちを理解するためのサポートを行います。それに合わせて、アルコール依存症を克服していくための具体的なプログラムも用意されています。
ご家族の方も、一人で悩まず、問題を抱え込まずに、ぜひ一度、私たちにご相談ください。

アルコール依存症は、放置すればすべてを失い、家庭を崩壊させる可能性

アルコール依存症に陥っている家族がいても、「言っても聞かないから」「やめさせようとすると暴れるから」といった理由で、家族が腫れ物に触るように接し、見て見ぬふりをしている、というケースも少なくありません。
しかし、きちんと本人と向き合うことを避けていると、結局は家族がその後始末に奔走することになり、問題は解決するどころか、ますます深刻化していきます。

時には、心を鬼にして、「これ以上、お酒を買うためのお金は渡さない」「酔って起こしたトラブルの尻拭いはしない」といった、毅然とした態度をとることも、本人の回復を促すためには必要になる場合があります。（ただし、暴力の危険がある場合などは、安全を最優先してください）

しかし、忘れてはいけないのは、アルコール依存症は、もはや本人の意志だけでは治すことが難しい病気であり、アルコールなしではいられない状態に陥ってしまっている、ということです。
ですから、ご家族はその点を理解した上で、あまり焦らず、根気強く、本人の回復をサポートしていく姿勢が求められます。

お酒をやめ続けることが、依存症に立ち向かっていく唯一の方法です。そして、ご本人がお酒をやめ続けられるように、温かく、しかし、時には厳しく見守ることも、家族の大切な役割です。
アルコールによって、大切な家族、お金、仕事、そして信頼をすべて失ってしまう前に、共に回復への道を歩み始めましょう。

アルコール依存症からの回復には、家族のサポートが不可欠

アルコール依存症に陥ると、ご本人は、家族や会社での信用よりも、お酒を飲むことを最優先させてしまいます。そんな姿を見て、ご家族は深く傷つき、落胆してしまうことも多いでしょう。
しかし、それでもどうか諦めないで、ご本人がお酒をやめられるように、見守り、支え続けてあげてください。

• 飲まない日が続いたら、「よく頑張っているね！」と具体的に褒める。
• カウンセリングや自助グループへの参加を、根気強く勧めてみる。
• 「嫌な気分」や「不安」を紛らわすためにお酒に頼っているようであれば、「お酒に頼る以外の方法で、気持ちを解消する方法を一緒に探してみよう」と、建設的な提案をしてみる。

残念ながら、回復の途中で、またお酒を飲んでしまうこと（スリップ）もあるかもしれません。しかし、そんな時でも、感情的にならず、冷静に、「なぜ飲んでしまったのか」「次はどうすれば防げるか」を一緒に考えるなど、長い目で、根気強く対処していくことが必要になります。

「気分転換」のつもりが、依存症の入り口に？ 要注意サイン

お酒を飲むと気分が高揚し、一時的に良い気分になれるため、「ちょっと気分転換に…」と、お酒を飲むことで嫌な気分を紛らわしている、という方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、そういった「気晴らし」のつもりの飲酒が、実は依存症の入り口になっている場合があり、注意が必要です。

何か心配なこと、嫌なこと、不安なことがあると、それを紛らわすためにお酒を飲み、そのまま寝てしまう。あるいは、酔って暴れたり、人に迷惑をかけたりする…。
もし、あなたや周りの人に、そのような行動が見られるのであれば、それは危険なサインです。

アルコール依存という問題と正面から向き合い、アルコールがない状態でも、平静な心を保っていられるように、自分自身の心と向き合う必要があるでしょう。

ご本人は「自分はきちんとコントロールできている」と感じている場合でも、客観的に見て、あるいは家族から見て、明らかに異常な飲み方をしている場合には、専門的な治療やカウンセリングを受ける必要性が高いと言えます。
「本人が大丈夫と言っているから…」と放置しておけば、ご家族にも多大な迷惑がかかる可能性がありますし、何よりもご本人の心身の健康を著しく損なってしまいます。

アルコール依存が疑われる場合には、ぜひ一度、カウンセリングを受けていただくこと、あるいはご家族から促していただくことをお勧めします。
自助グループなどの集団療法も効果的な手段ではありますが、実際には「人見知りだから」「人が苦手だから」と、参加に抵抗を感じる方も多くいらっしゃいます。
そんな方には特に、専門家と一対一で、安心してじっくりと話ができるカウンセリングが適している場合があります。

自分の話をするのが苦手な場合でも、経験豊富なカウンセラーが、ご本人の気持ちを丁寧に引き出し、寄り添います。その上で、「どのようにすれば、アルコールをやめるという意思を継続できるか」といった具体的なアドバイスをしたり、アルコールに走ってしまう背景にあるストレスの原因を一緒に解明したりしながら、一歩一歩、着実に改善していくお手伝いをします。

ご家族の方も、一人で悩みを抱え込まず、ぜひ一度、聖心こころセラピーまでご相談ください。

脱アルコール依存症への決意：宣言することから始めよう

アルコール依存症のご本人も、「自分は大丈夫だ！問題ない！」と強がっていても、心のどこかでは「このままではいけない。酒をやめなければ…」と思っているはずです。

「やめたいのに、やめられない」という葛藤を抱えたご本人はもちろんのこと、大切な人が依存症になってしまっては、心配するご家族も、本当につらい毎日を送ることになります。

アルコール依存症からの回復の第一歩は、まず、ご本人が「自分はアルコール依存症である」という事実を認め、受け入れることから始まります。

非常に重篤なアルコール依存症（中毒症）の方の場合、生涯にわたって一滴もお酒を飲まない「完全断酒」が必要となる場合もあります。
しかし、アルコール依存症が比較的軽度～中程度であれば、自分の意志で飲酒量をコントロールできる状態（節度ある飲酒、あるいは完全断酒）へと、回復していくことは十分に可能です。

聖心こころセラピーでは、アルコール依存症を克服するためのカウンセリングプログラムを丁寧に進めた上で、必要に応じて、潜在意識に働きかける心理療法（北山式心理療法など）も用いながら、問題の根本的な解決を図っていきます。

「もう、お酒に振り回される人生は終わりにしたい」
そう決意されたなら、私たちが全力でサポートします。