強迫性パーソナリティ症カウンセリング

「感情や気持ちよりも、結果がすべて」「ルールや常識をきっちり守りたい」「古い価値観を大切にしたい」
もし、あなたがこのように感じることが多く、周りから「融通がきかない」「頑固だね」と言われることがあるなら、少しだけこの記事を読んでみませんか?
完璧を目指すあまり、自分にも周りにも厳しくなりすぎて、ピリピリした空気を作ってしまう…。そんなあなたは、もしかしたら「強迫性パーソナリティ症(強迫性パーソナリティ障害)」の傾向があるのかもしれません。
強迫性パーソナリティ症(強迫性パーソナリティ障害)とは?
お仕事だけでなく、どんなことに対しても「完璧でなければ!」と強くこだわりすぎてしまうことはありませんか?
融通がきかない状態が続くと、物事がなかなか進まなかったり、細かい部分ばかりが気になってしまったり…。そうなると、一緒にいる人や周りの人に、知らず知らずのうちに大きな負担をかけてしまうことがあるかもしれません。
完璧を目指すこと自体は、決して悪いことではありません。でも、もしそれが周りの人の状況を考えずに、自分だけのこだわりになってしまっているとしたら、少し立ち止まって考えてみることも大切かもしれませんね。

世の中には、「完璧主義」な傾向を持つ方はたくさんいらっしゃいます。でも、そのこだわりが強くなりすぎて、毎日の生活に支障が出てしまっているとしたら…。それはもしかすると、「強迫性パーソナリティ症(強迫性パーソナリティ障害)」と呼ばれる状態に陥っているサインなのかもしれません。
強迫性パーソナリティ症(強迫性パーソナリティ障害)の特徴
このタイプの方は、完璧主義・完全主義であり、社会のルールや規則、秩序に対して、人一倍強いこだわりを持っています。そのため、周りから見ると「融通がきかない」「頑固だなぁ」と感じられてしまうことが多い、という特徴があります。
統計的には、強迫性パーソナリティ症は男性に多く見られ、女性の約2倍ほどいらっしゃると言われています。自分の人生や周りの状況を「コントロールしたい」という気持ちが強いため、お仕事に対しても「完全主義」の傾向が強く出ることがあります。その結果、典型的な「仕事依存症(ワーカホリック)」の状態になってしまうことも少なくありません。

仕事への影響:頑張りが空回りしていませんか?

ワーカホリックになると、お仕事にとても熱心に取り組みます。それは素晴らしいことなのですが、一方で、あまり重要ではない細かい部分まで完璧にこなそうとしてしまい、必要以上に時間や労力を費やしてしまう…なんてことはありませんか?
お仕事の優先順位をうまくつけるのが難しく、効率が悪くなってしまったり、せっかくの意欲が空回りしてしまったり…。特に成果が求められるようなお仕事では、パフォーマンスがなかなか上がらない、ということもあるかもしれません。
強迫性パーソナリティ症(強迫性パーソナリティ障害)の課題の一つとして、「一切のミスも許せない」という点が挙げられます。完璧主義であるがゆえに、自分だけでなく、他の人のミスや失敗も許すことができないのです。
「完璧でなければ意味がない」という強い思い込みがあるため、ひどい場合には、ほんの些細なミスが原因でやる気が一気に下がってしまったり、計画を延期したり、途中でやめてしまったりすることさえあるのです。
周囲からの見え方と内面の葛藤
強迫性パーソナリティ症(強迫性パーソナリティ障害)の方は、周りの人からは「誠実で真面目な人」という印象を持たれやすいかもしれません。しかし、ご本人の心の中は、「完璧」を追い求めることに必死で、常に緊張している状態かもしれません。
もちろん、「完璧」であり続けることは、とても難しいことです。だからこそ、いつも不安や葛藤を抱えやすく、結果的にうつ病を発症してしまうことも少なくないのです。

もしかして? 強迫性パーソナリティ症セルフチェック
ご自身の傾向を知るための、簡単なチェックリストです。当てはまる項目が多いほど、傾向があるかもしれません。
- 無駄遣いが嫌いで、どちらかというと倹約家だ
- 相手にも完璧さを求めてしまうことがある
- 妻(パートナー)が家事に手を抜いているのが許せないと感じる
- 夫(パートナー)が家事に対して協力的でないのが許せないと感じる
- 感情よりも、結果や事実に興味がある
- 人に仕事を任せるのが苦手で、つい自分でやってしまう
- 倫理、道徳、ルールにこだわりすぎてしまう方だ
- 物事を「白か黒か」で判断してしまうことが多い
- 思うように仕事が進まないとイライラしてしまう
- 細かい部分が気になりすぎて、本来の目的を見失うことがある
- 物事にこだわりすぎるため、時間内に終わらせるのが難しいと感じる
- 使わなくなった物や、古くなった物をなかなか捨てられない
- 将来への不安が強く、万が一に備えて過度に節約し、貯蓄に励んでいる
- 自分の用事を最優先にするため、家族との時間を犠牲にしてしまうことがある
タイプ別:強迫性パーソナリティ症のさまざまな現れ方
強迫性パーソナリティ症・強迫性人格障害(強迫性パーソナリティ障害)は、いくつかのタイプに分類して考えることができます。ご自身の傾向に近いものはありますか?
良心的なタイプ
社会のルールや道徳にとても従順なタイプです。自分の良識や常識をアピールすることで、「自分はここにいていいんだ」という存在意義を確かめようとします。
「完璧を目指して努力したり、ルールを守ったりすれば、人から愛されるはず」という思い込みがあるため、常に社会的な規範や善悪に従って行動します。
しかし、真面目に頑張っても評価されないと感じると、強い「見捨てられ不安」や「自己嫌悪」に襲われてしまうことがあります。
できるだけ社会に適応しようとするため、人の意見や価値観に反発することは少なく、他のタイプと比べて、対人関係のトラブルは少ない傾向があります。
禁欲的なタイプ
物事や人を「白か黒か」「善か悪か」で判断してしまうタイプです。人に対する評価も「正しいか、正しくないか」を重視するため、状況に応じた柔軟な判断が苦手です。
内面にサディスティックな攻撃性や怒りを抑えているため、相手が道徳的・社会的に「悪」や「不正」だと判断すると、突然攻撃的になることがあります。
中世の聖職者や現代の原理主義者にも見られるタイプで、自分が禁欲的な生活をして「善」の立場に立つことで、「悪」の立場にある人を厳しく攻撃したり、罰したりすることに快感を覚える傾向があります。
官僚的なタイプ
大企業や官公庁など、大きな組織に所属することで、自分の存在意義を見出そうとするタイプです。組織の中で与えられた仕事を確実にこなすことで、自分の内面の問題から目をそらし、自尊心を保とうとします。
上下関係や社会的な地位をとても重視するため、きちんとした組織の中で自分の役割があることに安心感を覚えます。逆に、「責任」や「役割」が曖昧な人に対しては、不快感を感じてしまいます。
人付き合いにおいても、相手の職業や社会的地位をそのまま人間的な価値として見てしまうため、「差別的で冷たい人だ」と思われてしまうこともあります。
ケチなタイプ(貯めこみ型)
所有物やお金に対して、過剰なまでに執着心を持っているタイプです。特に金銭への執着が強く、「将来、何かあった時のために貯めておくべきだ」と強く考えています。
もちろん、将来への備えは大切ですが、このタイプの人は、日常生活が質素になりすぎたり、自分の欲求や健康を犠牲にしてまでお金を貯めようとする傾向があります。
この根底には、「大切なものを失ってしまうかもしれない」という強い不安があります。もしかしたら、幼い頃に愛情や欲求を満たしてもらえなかった経験が、過度な執着心を生み出しているのかもしれません。
つまり、このタイプの方が本当に求めている愛情や承認が、「物やお金」という形に置き換えられているとも考えられます。
混乱するタイプ
心の中にある感情や怒りを抑え込み、「理想的な正しい人」を演じようとするタイプです。しかし、ご本人はその生き方に息苦しさや違和感、虚しさを感じています。
つまり、自分の「~したい」という欲求と、「~すべきだ」という社会のルールの間で、どうしたらいいのか分からず混乱している状態と言えるでしょう。
人との関わりにおいても、「自分の主張」と「相手の要求」の間で板挟みになり、自分で物事を決断することが難しくなってしまいます。
このような混乱状態の中で、人生の目的や自分の本当の気持ちを見失ってしまう傾向があります。
※注意
強迫性パーソナリティ症と、強迫性障害(OCD)は異なります。
強迫性パーソナリティ症は、性格傾向や対人関係パターンに根差した持続的な特徴を指し、強迫性障害(OCD)は反復する強迫観念や強迫行為による苦痛が中心となります。両者はしばしば混同されますが、異なる概念です。
強迫性パーソナリティ症の原因:幼少期の経験が影響?
強迫性パーソナリティ症(強迫性パーソナリティ障害)に陥る方は、幼少期に厳格なしつけや過度な期待を受けた経験が、強迫性パーソナリティ症の特徴形成に影響を与えている可能性があると指摘されています。「どんなに頑張っても、自分を認めてくれない親」のイメージが、心の奥深くに根付いているのかもしれません。
もし、幼少期に「完璧な結果を出さなければ、お父さんやお母さんから愛情をもらえない」という経験をしていると、それが些細なミスや失敗に対する強い不安へと繋がり、強迫性パーソナリティ症の特徴である「完璧主義」へと発展していくことがあります。
しつけの厳しさはご家庭によって様々ですが、理不尽な体罰を受けたり、「お前はダメだ」といった過度な批判を受け続けたりしたお子さんは、親御さんに対して「怒り」や「攻撃したい気持ち」を抱くようになります。
しかし、子どもにとって親は絶対的な存在であり、「親がいなければ生きていけない」という不安もあるため、そういったネガティブな感情は一旦、心の中に抑え込まれます。その抑圧された感情が、自分よりも弱い立場の人を攻撃したり、いじめたりすることで、解放されることがあります。

もし、親御さんの支配(権力)に対する怒りや攻撃性が解消されないまま大人になると、その親子関係のパターン(支配と服従)が、現在の人間関係にも影響を与えてしまうことがあります。ご自身も、自分より立場が下だと感じる人に対して、無意識に傲慢な態度をとってしまうようになるかもしれません。
そのような心の仕組みから、強迫性パーソナリティ症の方は、他人に対して優しさや思いやりを素直に表現するのが苦手になってしまうことがあります。柔軟さや優しさが足りないために、相手に自分の考えを押し付けやすくなり、ますます円滑で協力的な人間関係を築くのが難しくなってしまうのです。
融通が利かず、結果や理論が最優先になっていませんか?
一般的に「男性は理論で動き、女性は感情で動く」と言われることもありますが、性別に関わらず、あまりにも完璧主義が強くなり、理論や結果ばかりを追求しすぎてしまうと、人間関係にトラブルが生じやすくなったり、あるいは「うまくできない自分」にイライラして、心と体のバランスを崩してしまったりすることにも繋がります。何事においても、「ほどほど」を心がけることが、時には必要かもしれませんね。
一見真面目、でも実は…?
強迫性パーソナリティ症(強迫性パーソナリティ障害)の場合、一見すると、とても真面目で、仕事も一生懸命に頑張っているように見えます。しかし、その一方で、些細なことにこだわりすぎてしまい、物事の全体像が見えなくなっている、ということも少なくありません。周りの人から見れば、「どうして、あんな細かいことに、いちいちこだわるのだろう?」と、不思議に思われてしまうことも多いかもしれません。
ご本人は、完璧を目指して一生懸命にやっているつもりでも、そのこだわりが強すぎるあまり、結果的に仕事の納期に間に合わなかったりすると、それは「枝葉の問題に囚われて、本質を見失っている」ということになり、周りからは「要領が悪い人だなあ」という印象を与えてしまうこともあるのです。
家庭での「べき」思考
ご家庭においても、例えば奥さん(パートナー)に対して、「妻とはこうあるべきだ」「家事はこうすべきだ」といったご自身のルールを持ち出し、家事のやり方について細かく指示したり、ご自身のこだわりを一方的に押し付けたりする方の中にも、この強迫性パーソナリティ症(強迫性パーソナリティ障害)に該当する方が、実は多くいらっしゃいます。当然のことながら、パートナーからは煙たがられる存在になってしまい、信頼を得られず、結果的に「裸の王様」のように周囲から孤立し、支援や理解を得にくくなることもあります。
完璧主義の背景:もしかしたら幼少期の環境も?
子どもの頃、親御さんから、学校の勉強や宿題、時間割の管理、部屋の片付けなどを、常に完璧にするようにと、厳しく教えられて育った場合、大人になってからも完璧主義的な性格が形成されている、という可能性もあります。
厳しさと期待への応え
親御さんが非常に厳しく、常に高い基準を求めて接していた場合もあれば、逆に、勉強などをコツコツと頑張ることで親御さんに褒められ、認められた経験が、「もっと頑張って、もっと認められよう!」という強い原動力になっていた、という場合もあるでしょう。
社会での壁
しかし、社会に出ると、自分の苦手なこともしなければならない場面や、様々な価値観を持つ人々とコミュニケーションを取りながら、協力して物事を進めていかなければならない場面がたくさんあります。そんな中で、一方的に自分のやり方や考え方を人に押し付けてしまうと、当然、うまくいかないことも出てきます。「こうあるべきだ」というこだわり(べき思考)が強いために、他の人の意見に耳を傾けることができず、頑なに自分のやり方を通そうとしてしまうのです。
周囲への影響と本人の苦悩
強迫性パーソナリティ症の場合、ご自身に対してだけでなく、身近な人に対しても完璧を求めてしまうため、周りの人は精神的に疲れてしまいます。「少しくらい、いい加減な部分があってもいいんだよ」と、ご自身や他人を認められるようになると、ずっと楽になれるのですが、「完璧であることが、絶対的に正しいことなのだ」と強く思い込んでいるため、なかなかその考え方を変えることが難しいのかもしれません。そのため、ご自身に対しても常に高いプレッシャーをかけ続け、イライラしやすい状況にある、とも言えます。
周囲に煙たがられてしまう? 強迫性パーソナリティ症の対人関係
強迫性パーソナリティ症(強迫性パーソナリティ障害)の方は、理論や結果(正しさ、効率性)を非常に大切にし、その過程で生まれる人の感情などは、しばしば無視してしまう傾向があります。
共感性の欠如と孤立
そのため、相手の気持ちを理解したり、共感したりすることが苦手で、周りの人からは「ちょっと付き合いにくいな…」「冷たい人だな…」と、疎んじられてしまう場合も少なくありません。
ご自分の中に、「完璧にできなくても、できる範囲で少しずつやっていけばいいんだ」というような、柔軟な気持ちがなかなか湧いてこないので、常に完璧を求めてしまい、結果的にご自身も苦しくなってしまうことがあるでしょう。
認識のズレと不満
そして、そのご自身が求める「完璧」が、周りの人も共感できるような、理にかなったものであればまだ良いのですが、そうでない場合も多く、周りの人にはなかなかそのこだわりや基準を理解してもらえないことも多いのです。
強迫性パーソナリティ症(強迫性パーソナリティ障害)の場合、お仕事なども、ご本人としては一生懸命に頑張ってはいますが、客観的に、あるいは大きな視点で見ると、少しピントがズレてしまっている、ということもあります。
その「ズレ」を、ご自身のウィークポイントとして、客観的に理解できていれば良いのですが、それができずに、「どうして、こんなに頑張っている自分が、正当に評価されないんだ!」と、世間や上司、会社、あるいは周りの人々に対して、不満や恨みのようなネガティブな気持ちを抱えてしまうこともあるかもしれません。
相手の感情や要望に応えることよりも、自分のやり方やこだわりを通すことが、何よりも優先されるべきだと考えてしまうため、身近な人ともトラブルを起こしやすい性質を持っている、と言えるでしょう。
家庭よりも仕事優先? 強迫性パーソナリティ症と家族関係
お仕事に一生懸命になること自体は、もちろん素晴らしいことです。しかし、もしご家族がいる場合には、家族と過ごす時間も、同じように大切にしたいものですよね。
仕事と家庭のバランス
お仕事においては、効率を考え、無駄を省きながら、目標を達成していくことが求められます。しかし、ご自身の理論や結果へのこだわりに固執するあまり、本来の目的(例えば、チーム全体の成果や顧客満足など)を見失ってしまったり、あるいは、もっと大切な部分(例えば、人間関係の構築や部下の育成など)が、抜け落ちてしまったりすることがあります。
仕事をする上で、「どれだけ長く働いたか」という労働時間にばかり意識が向いてしまい、家に残されたご家族から見れば、「あの人は、家庭のことは全く顧みない人だった…」という、寂しい評価になってしまうこともあります。「毎日、仕事、仕事って言って出かけていくけれど、本当のところはどうなんだろう?」と、ご家族に疑問や不信感を抱かせてしまっているかもしれません。
愛情表現と子育ての難しさ
そこに、ご家族に対する温かい愛情が感じられなければ、ご家族からの愛情を得ることも、また難しくなってしまいます。子育てにおいても、お子さんに対して「~すべきだ」「~しなければならない」というご自身のルールや考えが優先され、子どもの心を満たしてあげたり、人生の楽しさを教えてあげたりすることが、どうも苦手な方が、この強迫性パーソナリティ症(強迫性パーソナリティ障害)の方には多く見られます。
何かにつけて「もったいない」「遊ぶ前に、まずやるべきことがあるだろう!」と、ご自身のルールを押し付けがちで、お子さんの気持ちを理解したり、共感したりするのが難しいのです。
柔軟な発想を持つことの大切さ:強迫性パーソナリティ症と向き合う
強迫性パーソナリティ症(強迫性パーソナリティ障害)になっている場合、ご自身の完璧主義などの傾向に、ほとんど気づいていないことが、実は多いのです。ご本人にとっては、無意識のうちに完璧を目指しているのかもしれませんが、周りの人が皆、同じように完璧を求めているとは限りません。
違いを受け入れる難しさ
相手には相手のやり方があり、ご自身の思い通りにならないことも、当然あります。しかし、強迫性パーソナリティ症(強迫性パーソナリティ障害)の方の場合、その「違い」を受け入れるのが難しく、「どうして、そんな細かいことを気にするのだろう…」と周りが思うような部分を、しつこく指摘してしまうこともあるかもしれません。
客観的な視点の必要性
ご自身の考え方が非常に頑固で、一つの見方に凝り固まっている、ということに、ご自身で気づけると良いのですが、それを客観的に見つめるのは、なかなか難しいことかもしれません。なぜなら、ご本人にとっては、それが「普通」であり、「当然」のことだと、固く信じているからです。
もし、あなたが普段やっていることに対して、周りの人から意見されたり、「それは、ちょっとやりすぎじゃないかな…」というような忠告を受けたりすることが多い、と感じるのであれば、それは、一度、ご自身の考え方や行動を見直してみる、良い機会かもしれません。「完璧主義でいることが、かえって自分を苦しめているな」と感じているなら、少し「いい加減さ」や「遊び」を取り入れてみるのも良いでしょう。
他者への理解と尊重
同僚であっても、ご家族であっても、相手は自分とは違う、一人の独立した人間なのだ、ということを、まず意識してみてください。他人を、無理やり自分に合わせさせようとするのではなく、自分の意見はきちんと伝えつつも、「もしかしたら、自分は他の人よりも、少し細かいところにこだわりすぎる傾向があるのかもしれないな」という自己認識を持ってみるのも、一つの方法です。あなたの大切な人生のために、少しずつ変わっていくことは、決して不可能ではありません。
強迫性パーソナリティ症の父を持つ子の悲劇:連鎖を断ち切るために
仕事に対して非常に実直で、完璧主義なお父さんが、もしお子さんにも同じように完璧さを求めてしまうと、お子さんは常に「ちゃんとできているだろうか…」「お父さんに怒られないだろうか…」と、落ち着かず、不安な気持ちを抱えてしまうことが多くなります。お父さんと向き合うたびに、いつも何か文句を言われたり、ダメ出しをされたりしているような状況が続くと、お子さんが自分に自信を持つこと(自己肯定感)を高めていくのが、非常に難しくなってしまう場合もあります。
家族への影響
完璧を目指すお父さんは、お子さんやパートナーの、ほんの少しの甘えや怠けも許すことができず、また、ご家族の気持ちに共感することもほとんどないため、ご家族は非常につらい思いをすることになります。
家族で楽しむための行楽行事などに対しても、あまり積極的ではなく、常に「無駄遣いはするな」と、倹約を家族にも強いるため、家庭の中には、喜びや楽しさ、温かい思い出よりも、「将来、何かあった時のために、無駄なことは一切しない」という、厳格で、どこか息苦しい考え方が優先されがちです。これも、強迫性パーソナリティ症(強迫性パーソナリティ障害)の方によく見られる傾向の一つです。
仕事を優先するあまり、配偶者の方が「この人には、もうとてもついていけない…」と、心を閉ざしてしまうこともあるでしょう。人に対して「こうあるべきだ」と厳しく、何か間違いを犯した時に、極端に相手を責め立てるような特徴がある場合、強迫性パーソナリティ症の傾向が考えられます。ご家族や身近な方は、その悪影響からご自身を守るための対策が必要になることもあります。
強迫性パーソナリティ症の「完璧」からの脱却:変化への一歩
強迫性パーソナリティ症(強迫性パーソナリティ障害)の方が、ご自身の、その少し特異とも言える性質を、客観的に認め、受け入れることは、簡単なことではありません。
気づきと変化への意欲
しかし、もしあなたが、「完璧を目指すあまりに、かえって自暴自棄になったり、いつもイライラしたりしてしまうのは、もしかしたら、自分の考え方が凝り固まっているからかもしれない」と、少しでも気づくことができたなら、それは本当に素晴らしいことです。変化への大きな一歩を踏み出したと言えるでしょう。そんなお気持ちになられたのであれば、善は急げ、です。
より柔軟な発想ができるように、ご自身の気持ちを整理し、改善に向けてカウンセラーと一緒に話し合いながら、考え方のパターンを変えていくお手伝いができます。もし、心の中にうっぷんが溜まっているのであれば、それを安全な場所で吐き出すことも大切です。ご家族との関係をもっと良いものにしたい、と心から願うのであれば、ご自身の考え方を見つめ直し、より寛容になることも大切になってきます。
家庭は安らぎの場所
ご家庭は、職場ではありません。効率や合理性ばかりを求める場所ではなく、本来は心が安らぐ場所であり、少しくらいだらしなくても良い、安心できる空間のはずです。強迫性パーソナリティ症の方にとっては、一見「無駄」に思えるような時間(例えば、ただ家族でテレビを見て笑っている時間など)が、実はかけがえのない時間であり、家族の愛情を育む大切な時間であることも多いのです。
ご自身の持つ「完璧を追い求める性格」が、周りの人にどのような影響を与えているか、今一度、立ち止まって考えてみませんか? ご家族や、周りにいる大切な人たちを、もっと大切に扱うことも、必要かもしれません。
「その考え方を変えたい」というお気持ちがあるのであれば、私たちが、カウンセリングや心理療法を通して、そのお手伝いをさせていただきます。
もし一人で悩んでいらっしゃるなら、一度、カウンセリングにお越しいただき、ご自身の性格や考え方の癖を、一緒に見つめなおしてみませんか? 周囲の人に愛され、温かい人間関係を築いていくことは、決して不可能ではありません。
また、強迫性パーソナリティ症(強迫性パーソナリティ障害)を持つご家族や配偶者の方への具体的な対応策についてのご相談も、随時承っております。どうぞお気軽にご相談ください。
強迫性パーソナリティ症の克服に向けて:名古屋聖心こころセラピーがお手伝いできること
「強迫性パーソナリティ症(強迫性パーソナリティ障害)」の方が、共通して抱えているのは、「物事を完璧に達成しないと、自分は誰からも評価されないのではないか、愛されないのではないか」という、心の奥底にある、無意識の強い思い込みです。
根本的な不安へのアプローチ
そこから生まれる不安によって、お仕事だけでなく、人との関係においても、リラックスして楽しむことが難しくなってしまいます。
また、柔軟な考え方が苦手なため、現実社会の様々な状況にうまく適応していく力も低下しがちになり、心の苦しさがどんどん大きくなっていくこともあります。これでは、お仕事で能力を発揮することはもちろんのこと、家庭生活を円満に送ることも難しくなり、もしご家族にまで見限られてしまったら…と考えると、とてもつらいですよね。
名古屋聖心こころセラピーでは、物事をより客観的で、しなやかに捉えるための「新しい考え方」を、認知行動療法やコーチングといったアプローチを用いて、あなたと一緒に築いていくことで、完璧主義からの脱却を目指します。
また、あなたが長年にわたって抱き続けてきた強い不安感や、もしかしたら心の奥底にあるかもしれない親御さんとの間の葛藤などを解消し、安心感に満ちた、穏やかな心の状態へと導いていくお手伝いをさせていただきます。
一人で抱え込まず、どうぞお気軽にご相談くださいね。
参考文献・参考資料
- 岡田尊司(2011) 『パーソナリティ障害がよくわかる本-「障害」を「個性」に変えるために』 ちくま文庫
- アメリカ精神医学会(著),日本精神神経学会(監訳)(2023) 『DSM-5-TR 精神疾患の診断・統計マニュアル テキスト改訂版』 医学書院