不安神経症カウンセリング

不安神経症・全般性不安症とは、はっきりとした理由がないにも関わらず、常に心が落ち着かず、体も疲れやすく、しばしば睡眠障害なども伴い、日常的に不安がつきまとっている、非常につらい状態の「不安症」の一種です。
それは、単なる「心配性な人」「考えすぎてしまう人」というレベルを超えた、コントロール困難な不安なのです。
不安神経症・全般性不安症とは? その定義を知る
「不安」という感情は、私たち誰にでも備わっている、ごく自然な心の働きの一つです。
自分の将来のこと、人間関係、健康面、仕事、育児、お金のこと…。数え上げればきりがないほど、私たちの周りには様々な不安の種が存在しますよね。
本来、「不安」とは、自分自身に何らかの危険が迫っていることを知らせ、本能的に、あるいは潜在的に、その状況から身を守ろうとするために起こる、大切なシグナルとも言えます。
不安を感じている間は、気持ちもスッキリせず、落ち着かないものですが、通常は、脳が「もう大丈夫だ」と判断すれば、不安は自然と消えていき、日常生活に大きな支障をきたすことはありません。
しかし、全般性不安症(かつての不安神経症の一部)を抱えている方は、この不安をコントロールする心の仕組みが、うまく機能しなくなっている状態に陥っています。
そのため、
- はっきりとした明確な理由がないにも関わらず、何かにつけて強い不安を感じてしまう
- その不安感が、長期間にわたって続く
といった特徴が見られます。

仕事のことや家族のことなどが、次から次へと心配になり、ソワソワしたり、イライラしたり、落ち着きがなくなったりと、不安定な心理状態に支配され、心が安らぐ時がありません。
このように、過剰な不安を感じ続けると、気持ちだけでなく、身体にも様々な影響が現れ始めます。
もし、以下のような症状が見られるようであれば、全般性不安症(不安神経症)の疑いが考えられます。
- 身体症状
-
頭痛、悪寒、動悸、肩こり、便秘、生理不順、めまい、疲労感など
- 精神症状
-
集中力が散漫になる、記憶力に問題を感じる、物事を続けるのがつらい、人に会うのが億劫になる、イライラしやすい、眠れないなど
このように、不安神経症(全般性不安症)に陥り、いくつかの精神症状や身体症状が併発し、日常生活に支障をきたすようになれば、決して放置してはいけません。そのままにしておくと、さらに事態が悪化してしまう可能性があります。できるだけ早めに、適切な対処を始めることが賢明です。
不安神経症・全般性不安症の原因や背景
不安神経症(全般性不安症)は、パニック障害などに比べても、経験している人が比較的多く、100人に約5人はこの症状に悩んでいるとも言われています。
男性よりも女性に多く見られ、特に10代~20代の若い世代で発症しやすい傾向がありますが、30代の方も少なくありません。
女性に多い理由としては、男性とは異なり、ホルモンバランスの変化が心身に影響を与えやすいことや、結婚、出産、育児といったライフイベントによる人生の大きな変化が重なりやすく、男性よりも身体的・社会的に不安定な要因にさらされやすいため、と考えられます。
また、発症の背景には、生育環境が影響しているケースも少なくありません。

- 母親(あるいは父親)が非常に心配性で、「〇〇になったらどうするの?」と常に不安を煽るような言葉をかけられて育った
- 両親が完璧主義で、ミスを許さない厳格な性質を持ち、「失敗するな!」と常にプレッシャーをかけられ続けて育った
…など、つらい家庭環境で育った影響が、不安を感じやすい気質を形成し、不安神経症(全般性不安症)に陥りやすい要因となっていると考えられます。
さらに、父親が仕事などで家庭にほとんど不在で、大黒柱がいないことによる家庭内の心細さや不安定さなども、「不安神経症」の要因となる場合があります。
不安神経症・全般性不安症セルフチェック
以下の項目に、あなたはいくつ当てはまるでしょうか?
もし、いくつか心当たりがあるようでしたら、不安神経症・全般性不安症の可能性も考えてみる必要があるかもしれません。
- 親が(あるいは、自分が)とても心配性だった(である)。
- 特定の理由がないのに、不安や心配な気持ちが1か月以上続いている。
- 不安や心配を感じない日の方が少ない、あるいはほとんどない。
- 考えがまとまらず、頭が真っ白になったり、集中できなかったりすることがある。
- 寝ても疲れがとれず、いつも体がだるい(倦怠感がある)。
- 一日の活動量に見合わないほど、ひどく体が疲れていると感じる。
- 日々、なんとなく落ち着かない、緊張している、イライラするといった感覚がある。
- 動悸、息切れ、めまいなどを時々起こすことがある。
- 体がフワフワして、地に足がついていないような感覚になることがある。
- 相手のちょっとした言動に対して、過剰に反応し、強い不安を感じることがある。
- 物音に敏感に反応したり、小さなことに過剰に驚いたりしてしまう。
- 寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚める、眠りが浅い、朝起きるのがだるく、やる気が出ない、といった睡眠の問題がある。
- 不安な気持ちを、自分自身ではコントロールできないと感じている。
- 常に筋肉が緊張している感じがする。その結果として、頭痛(特に緊張型頭痛)や肩こりがひどい。
- 不安な気持ちを、誰かに頻繁に話したり、聞いてもらいたいという強い衝動に駆られたりする。
- 日常生活の様々な出来事について、原因がよく分からない、過剰な不安や心配を感じている。
不安神経症(全般性不安症)の方が抱えている不安は、周りの人から見ると「考えすぎだよ」「そんなに心配することないよ(杞憂だろう)」と思われがちです。もちろん、客観的に見れば、それほど深刻ではない悩みや不安であることもあります。
そして、ご本人自身も、心のどこかでは「大丈夫だ」「心配しすぎだ」と分かっていることも多いのです。
しかし、いくら自分に「大丈夫だ」と言い聞かせても、どうしてもその不安な気持ちをコントロールすることができず、結果として、深刻な問題として心の中に居座り続けてしまう…。これが、ご本人にとって一番つらいところなのです。
そのような症状の特性から、周りの人からは「ただの心配性の人だ」と受け取られてしまい、なかなかその苦しみを理解してもらえず、不安症という病的な状態であると認識されないケースが、非常に多くあります。
たとえ、不安のきっかけが些細なことであったとしても、イライラ感や焦燥感が心の中に残り続けると、ストレスが溜まり、最初にも述べたように、身体にも様々な影響が現れてきます。
そして、その身体の不調(警告サイン)によってはじめて、「何かおかしいのかもしれない」と疑問を持ち、病院やカウンセリングを受診する、という方も多くいらっしゃいます。
そのため、受診された時には、睡眠障害やパニック障害といった他の症状も併発している、という場合も少なくありません。
また、ご本人の症状の訴え方によっては、自律神経失調症や更年期障害などと診断され、本来必要な不安症への適切な治療やサポートを受けられないままでいる、ということもあるようです。
不安神経症・全般性不安症の克服に向けて:原因と対処法
不安神経症・全般性不安症の具体的な原因は、医学的にはまだ完全には解明されていません。
しかし、学術的に原因が解明されていなくとも、カウンセリングの現場では、その背景にある要因について、おおよその見当がつくことがほとんどです。「原因のない結果」は、まずありませんから。
大切なのは、お一人おひとりの原因を丁寧に解明した上で、その方に合ったアプローチを選択していくことです。
認知行動療法や心理カウンセリング、コーチング、あるいはヒプノセラピー(催眠療法)などを適切に組み合わせ、改善に向けて取り入れていくことで、つらい不安神経症(全般性不安症)の状態から抜け出していくことを目指します。
名古屋聖心こころセラピーでは、あなたが抱える不安に思う心や、ストレスを感じやすい考え方の癖を改善していくための、専門的なプログラムをご用意しています。
不安を感じやすく、その不安をさらに増幅させ、なかなか手放せない…。その背景には、あなたの潜在意識(無意識)レベルでの思考パターンが影響している可能性があります。
私たちは、カウンセリングや心理療法を通して、その潜在意識に働きかけ、正しい物事の捉え方や、柔軟な考え方を、あなたの顕在意識(意識できる心)が理解し、自分自身で不安をコントロールできるように、思考の置き換えをサポートしていきます。
そうすれば、書き換えられた健全な潜在意識が自然と働くようになり、過剰な不安は、本来の通常の「心配」程度に収まっていくでしょう。
「人からはなかなか理解されにくい、不安神経症のつらさ…。でも、諦めないでください。私たちは、その克服への対策を、十分に心得ています。」
参考文献・参考資料
- 坂野雄二(2006) 不安障害に対する認知行動療法 精神神経学雑誌 第114巻 第9号
- 大坪天平 (2022) わが国の全般不安症の現状と課題 不安症研究 第14巻第1号