カウンセリング実例

カウンセラーがクライエントから受けた実際のカウ
ンセリングの実例を相談内容別にまとめたものです

相談別カウンセリング実例集

                                         

夫婦カウンセリング

結婚11年、奥様からのお申し込みで夫婦カウンセリングが始まりました。夫婦の意思疎通が困難な期間が長く続き、かろうじて子を通しての会話がやっとの状況を、新婚当時のように会話が弾む愛ある夫婦関係を取り戻したいとのご要望でした。奥様から経緯や現況をお話しいただき、問題点の整理と問題点の把握を努めた上で、ご主人にもお越しいただき、意見の相違や奥様への気持ちや要望などをご主人の視点での思いをお聴きし、ご夫婦でカウンセリングを進めて行きました。ご主人には女性心理をしっかり学んでいただいたことにより、奥様への理解が全く足りなかったことを痛感され、その後コツを掴んだご主人は、奥様へのコミュニケーションのアプローチも活発となり、奥様もご主人への優しさが素直に表現できるようになり、夫婦の障壁を取り除くことができカウンセリングを終えていきました。

この例に限らず、夫婦関係には、性格不一致・価値観の相違・セックスレスや浮気・モラハラ・DV・実家との関係・義父母との関係、など様々な問題の相談を承っております。

離婚問題

<事例1>
結婚3年目で育休中のB子さんは、夫の浮気を理由に離婚を真剣に考えて当セラピーにお越しくださいました。大学で知り合い、新卒で就職、社会人として少しずつ慣れてきた頃、めでたく結婚。「あの頃は本当に幸せだった…」と語るB子さんは、子宝にも恵まれ、これから育児で忙しくなるぞと思っていた矢先、夫の浮気が発覚しました。遠方の親に頼ることもできず、B子さんは一人で育てていく覚悟をするも、最後のチャンスとして夫婦カウンセリングを受けにご相談にみえました。当時は夫婦の会話は少なく、浮気発覚後の夫は妻を腫れ物に触るように接し、妻は不快感と不信感を募らせていました。一方で夫はどうしたら妻は許してくれるかお手上げ状態。夫婦カウンセリングを始める際に行う夫婦の心理テストでは、離婚相当の相性の悪さからスタートしました。カウンセリングを進めていくと、お互いに「夫婦なんだから言わなくても分かるだろう」との思いが強く、それぞれに親との不仲や逆らえない家庭環境を経験しており、個人の課題が解決していない状態で結婚したため、小さな不一致や違和感が不協和音として続き、結果として夫の浮気として問題が表面化したことが考えられました。まずは個人の課題を整理し、お互いに変化が見られたところで夫婦間の不協和音を整理することで調和を図っていきました。今では夫の子煩悩ぶりに妻が驚いているほど仲睦まじく、お互いが自立した人間として充実した生活を送られているようです。

<事例2>
結婚25年のC男さんは、子どもたちが巣立ったタイミングで長年連れ添ってきた妻から離婚宣告を受けました。会社員のC男さんはもうすぐ定年退職。家族のためを思い、一生懸命働いてきました。定年後は苦労かけた妻に恩返しをして、趣味の釣りも楽しみたいと思っていたところに離婚宣告を受け、非常にショックだったと話されています。それと同時に、なぜ家族のために働き、何不自由なく生活できるようにしてきたのに離婚を突き付けられるのか腹立たしく、離婚理由については見当もつきませんでした。C男さんの心理テストの結果やお話から、仕事依存症に近いものがあり、朝早くに出勤して夜遅くに帰ってくることが日常茶飯事、子育てはすべて妻に任せていたことが分かりました。夫も夫ですが、ずっと何も行動せずに我慢し続け、家庭に不和を維持し続けていた妻にも非がないとは言えません。「一度夫婦二人で来ていただけますか?」と提案し、妻の思いもお聴きした上で夫婦カウンセリングを開始しました。これまでの凝り固まった考え方を柔軟に変化することは並大抵のことではないですが、お互いに非を認め、労いとともにこれからどうしていきたいか話し合いを重ねました。C男さんの場合は離婚を踏みとどまり、第二の人生を満喫されているそうです。カウンセリング最終のお二人の柔らかい笑顔がとても素敵でした。

浮気不倫

40代女性 時短勤務(子2)
子どもが小学校に上がり、時短勤務という就労条件で社会復帰した40代女性A子さんは、深刻な面持ちで当セラピーにご相談にみえました。お話を伺うと、勤務先の上司と不倫関係にあるとのこと。いけないと分かっていても別れきれない心の内を語ってくださいました。

A子さんには2人のお子さんがいます。母となり、慣れない子育てに慌ただしく過ごし、年子のため、息つく暇もなく今日まで来たとのこと。夫からの助けはほとんどなく、上の子が熱を出して病院に連れていくため下の子を夫に頼むととても嫌な顔をされたと話されました。時短勤務で働き始めると、出産育児によるブランク、時短勤務のため周りに迷惑をかけているのではないかとの思いが強くなり、そのようなA子さんに世話を焼いてくれたのが不倫相手の上司でした。上司は仕事だけでなく、子育てについても熱心に相談に乗ってくれ、労い、癒してくれたと語ります。

A子さんの行ったことは夫への裏切り行為ではありますが、頼れない夫に対して親身に寄り添ってくれる上司がA子さんの心の支えになったことには違いありません。2人の子どもを夫婦で育てていくという自覚と責任が特に夫に乏しかったようです。そして、今日まで夫婦の課題解決を遅らせてきたことにも問題があると思います。

A子さんは不倫について夫には言わないでほしいとの約束で夫婦カウンセリングを始めました。夫の育児への非協力について話を伺いながら、子どもにとっての父親はあなただけであり、妻と協同して子育てをする意義についてお話し、A子さんには自分を抑え込んでしまい、自己肯定感も低くなっていたことから考え方を改善していくことに主に取り組んでいきました。

幸い夫婦関係は持ち直し、A子さんは働き場所を一新したことで上司との関係も一切断ち、今では心穏やかに家族4人で充実した暮らしをされているとのことです。

夫婦共依存

40代、結婚20年程の専業主婦であるE子さんが、おひとりでカウンセリングを受けにお越しになりました。相談内容は、夫の度重なる浮気と言葉や態度のDVとモラハラへの対処法でした。ご主人は50代、地元で代々続く開業医、知り合った当時も強引な自分勝手な面があったものの、努力家で優しい面もあり結婚を決断したそうです。しかし新婚時代には既に浮気は常態化、子にも私にも頭ごなしに命令的、少しでも逆らえば罵詈雑言、そんな毎日の中、離婚を度々考えるものの、両親や周囲の方々に心配や迷惑を掛けたくない、いつか夫も変わってくれるに違いない、との一心で横暴な振る舞いや浮気に耐え続けたそうです。そしてカウンセリングへの目的は、今後どうしたら良いのか、と少し漠然としたものでしたが、ここで一番問題となるのは勿論ご主人側ですが、E子さんの夫婦間の共依存も相当に問題であることを理解して頂くことから始めました。何故ならこの夫の浮気や横暴な態度を増長させた責任の一端はE子さんにもあると言えるからです。夫婦の共依存とは良くない問題のある人を許し支えてしまう人のことを言います。E子さんには離婚の意思が無いのであれば、夫と対峙する勇気と自立した精神を持つことに焦点を当てカウンセリングを進め、従順な弱い女性から脱却し、紆余曲折もありましたが、ご主人もカウンセリングにお越しいただき、今では対等なパートナーの地位を得る事ができました。

DV

40代の男性がカウンセリングにお越しになりました。自分が妻にDVをしてしまい妻は子を連れ実家に戻ってしまった、とのことで相当に困惑の様子でした。結婚10数年妻に手を挙げたことは一度もなく、今回も些細なことで妻の逆鱗に触れ3時間余り、夜中の2時まで新婚当時から今までのことを散々否定され離婚を迫られ、挙げ句の果て物を頭にぶつけられ、いい加減にしてくれ!と妻を突き飛ばしたら、即座に、あなたは暴力を私に振るった、これはDVだ!と実家に電話をされ、翌日仕事から帰れば妻と子供は実家に戻り離婚に向けて別居だと宣言されてしまったとの訳でした。話を聞けば妻は以前から些細なことでヒステリックになり感情の起伏が激しく、腫れ物に触るように接して来たとお話しされていました。最近はこのようなケースは非常に多く相談を受けています。カウンセリングではご主人に、良くない人を支えてしまう共依存関係であることを告げると共に、自尊心を取り戻し、女性心理を学んでいただき、実家の妻へのアプローチを共に考え、なんとか奥様もカウンセリングにお越しいただけることになり、奥様の持つ強い衝動の感情を穏やかなものに移行を進めています。余談ですが、男性DVの相談もさる事ながら、最近では女性側のDVが非常に多く、DVとは決して殴る蹴るだけの話では無く、広義に捉えれば無視、不機嫌、馬鹿にした態度、夫への管理、預貯金の非公開などもそれに当たるのではないでしょうか。

セックスレス

最近では女性側では無く、男性側のセックスレス相談の方が多く、ご夫婦で相談にお越しいただいています。セックスレスは男性と女性側では随分捉え方に相違があります。女性は性的交渉を「愛し合う」と表現される方が一般的ではないでしょうか。夫は愛しているとは言うものの、私との関係を拒む、もしくは消極的であれば女性は不安に思い、非常に寂しい思いを抱きます。妻が夫に話し合いを求めても何かと理由を付けてやはり対応してくれない。こう着状態が続き、ようやくセックスレスを健全な夫婦の状態に戻そうとカウンセリングに来てくれます。男性のセックスレスの原因は、仕事疲れ、夫婦喧嘩のシコリなど、または理由が自分でも分からない、との認識の方が多いですが、原因は意外に思われるかもしれませんが、自分自身では気付かない、深いところにあることがほとんどです。

性依存症

夫は性依存症なのではないか?との不安を抱え奥様の申込により30代のご夫婦がカウンセリングにお越しになりました。ご主人は独身の頃より性風俗に行ってたものの、結婚時の約束で、もう二度と風俗遊びはしない、と約束し結婚をスタートさせました。やがて子も授かり幸福な生活の中で、奥様はふとテーブルの上に置かれていた夫のスマホを見た瞬間一気に身体の力が抜けてしまったそうです。夫への不信感と裏切られた怒りで夫を問い正したところ、新婚当初から毎月のように風俗遊びを続けていたことを知り、新婚からの幸せな生活が嘘の上に成り立っていたことを知り、夫を責める日々が続き、夫婦共々疲弊してしまったそうです。夫は奥さんを愛しているのは事実だが、自分でもどうしてこれを繰り返すのか解らない、と夫が言うのでこれはもう病気だと奥さんは判断し、心療内科へ通院したが薬では治らないと判断し、カウンセリングにお越しいただいたと聞きました。性依存症の原因を自分で気付いている人はほとんどいらっしゃいません。ですがこの問題の解決はそんなに難しいものではありません。仕事のストレスとか夫婦関係が原因ではありません。そのほとんどは幼少期から思春期において既に性依存症の起因は出来上がっています。過去の整理整頓をすることにより性依存症は脱却可能です。相談いただいたこのケースも性依存症の問題は解決し、夫婦仲も改善し、カウンセリングを終えていかれました。

恋愛依存症

専門職であるA子さんから、恋愛依存に関しての相談をお受けしました。A子さんは高校生の頃から現在に至るまで、恋愛が長続きしたことが無く、数ヶ月から長くても1年程で毎回「同じ理由」で破局を迎えてしまうとのことでした。A子さんは慎重さも兼ね備えており、直ぐに男性に夢中になるタイプではなく、むしろ相手をジックリ見るため、自ら行動は取りません。恋愛のスタートはいつも男性からの積極的なアプローチから始まり、A子さんは次第に心を開いていくタイプなのですが、一旦心を許し関係を持つと、彼への思いが日に日に高まり、日常のバランスをかろうじて保つものの、彼への想い支配されてしまい、いつどこで何をしているのか、彼は何を考えているのか、私をどう思っているのか、など様々な思いに支配され、次第に彼への干渉が始まっていき、解ってはいるが感情のコントロールがやがて困難となり、最終的には彼に、重い、疲れる、束縛に耐えられない、などの理由により彼が去ってしまう。この負のループを改善したい、との思いでカウンセリングを受けていただきました。A子さんの根本のあるものは、愛情の枯渇感にあり、なんでも話し合える、なんでも分かり合える、決して裏切ることのない、唯一無二の人を求めているところに苦しみがあり、それを求めれば寂しくつらい結果が待っていること。そしてその起因は成育過程である家族問題にあることを理解することから始めました。6回ほどカウンセリングにお越しいただき、次第に相互尊重・相互理解の思考を身につけていただき、大人の恋愛を楽しむ余裕が持てるようになりカウンセリングを終えていかれました。

アダルトチルドレン

メーカー勤務のA子さんの悩みは、昔から自分に自信がなく、仕事面ではミスを恐れ、仕事ぶりを人と比較し、自己否定、自己嫌悪、人間関係に疲れてしまい、生きている意味も解らない、など、抱え切れないほどの問題をどうしたら良いのか分からないとの思いで、カウンセリングを受けに来られました。この状態がまさにアダルトチルドレンの状態そのものであり、このような状態を総括し言葉にすれば「生きづらさ」となり、それこそがアダルトチルドレンの正体と言えるでしょう。A子さんとカウンセリングを進めるにあたり、幼少期~今に至る親子関係に焦点を当てることにより、生きづらさの原因をようやくA子さんは客観的に理解し受け容れることで、親のからの負の影響を脱することができ、自己の確立を果たし、自信を深め、主体性を持って仕事や人間関係にも立ち向かえるようになり、カウンセリングを終えていきました。子は親を批判的に捉え悪く思えば必ず罪悪感を持ってしまうものです。子である以上、親への思いは当然あるものですが、そこは親側ばかりではなく、自分側に立ててこそ初めて自分を生きることに繋がります。

親子問題

Sさんは、ご夫婦でカウンセリングにお越しになり、当初夫婦カウンセリングを希望されました。内容的には夫婦喧嘩が結婚当初から絶えずなんとかならないか、とのご相談でしたが、夫婦関連のアンケートや心理テストを進める上で、夫婦の争いごとの起因は妻側の母親との関係性の問題が浮かび上がりました。母親からのメールや電話、実家に出掛けたりしたなどの対応後に、夫への対応が日常に比べ過剰反応を起こし夫婦喧嘩に発展することが解りました。そのことをSさんに告げましたが、「母親とは今は良い関係ですよ」と戸惑っている様子でした。しかし、幼少期から育った母親との関係性を振り返ればSさんとは様々なことがあったようです。毎日のように母親から愚痴を聞かされたり、躾も厳しく、暴言や侮辱も多々あったようですがSさんは反発することなく現在まで過ごして来ました。確かにSさんの母親は、現在はSさんに対し優しい母親として接していますが、Sさん自身の心中では以前の母親と今の母親とのギャップ、不協和音や矛盾が生じているため心の処理が追いつかず、甘えの効く夫にそのやり切れない矛先が向いてしまう結果となっていたと考えました。母親と距離を置くことを提案し、それを実行していただいたSさんは、夫との関係は良好となり、めっきり争いごとも皆無となりカウンセリングを終えていかれました。

親子共依存

40代の男性会社員Mさんは、実家で御両親と三人で暮らしていました。Mさんは長男である以上、親との同居は当たり前のことであり、疑問すら持ったことが無いとのことでした。Mさんが当初カウンセリングに来られた目的は、人生が楽しいものとは思えない、自分自身が解らない、生きる意味が解らない、この子供の頃から漠然とした不安な気持ちの中で生きて来たとも仰っていました。様々な心理テストによる分析の結果、Mさんは親子問題、親子共依存が色濃く浮かび上がりました。父親は仕事は真面目にする方であったようですが、目的感を持ってMさんを外に連れ出し人生の楽しさ喜びを教える方では無かったようです。そしてMさんはことある度に「長男だから、跡取りだから」の言葉をよく聞かされたとのこと。母親はMさんを思うが余り、何から何まで先周りをし、指示が多くMさんの失敗を未然に防ごうと躍起になり、結果過保護過干渉の育て方となっていたようです。Mさんには精神的にも物理的にも自立を目指す主体性作りに挑んでいただき、早期に目的は達成され、実家から独立し一人暮らしを始め、今は婚活に精を出されているようです。

機能不全家族

始まりは奥さんと子どもの教育方針が合わず、夫婦関係の危機でカウンセリングをスタートしたA男さん。お話を伺っていくとA男さんの家族が機能不全家族であることが分かりました。両親ともに立派な医師のもとに生まれた長男A男さんは、親や親戚の期待を一身に背負いこれまで頑張ってきました。「A男のためだからと」様々な習い事をこなし、ハイレベルな医学部にも入りました。A男さんの家族は、肩書や世間体を気にすることは当たり前、家族で集まる機会はほとんどなく、顔を合わせても会話がないことは日常茶飯事でした。そして、A男さんも我が子に同じような思いをさせようとしていたのです。本当に「A男さんのため」だったのでしょうか?活発だったA男少年は外で思いっきり遊び、親といろいろな話をしたかったと語りました。冷め切った夫婦関係や家庭の雰囲気の異様さに気づき、我に返ったように奥さんと子どもの教育のこと、これからの家族のことを話されたそうです。カウンセリング初回のA男さんは表情一つ変えず受け答えされていましたが、数回のカウンセリングを終える頃には柔らかくにこやかな表情となり、その変化と並行して夫婦関係も改善していきました。

愛着障害

ご自身の漠然とした生きづらさを訴えてご相談にみえたA男さん。A男さんのご両親は教員で、いつも夜遅くまで働き、土日も部活動の指導監督で出勤していたそうです。A男さんも教員となり、結婚をして子にも恵まれましたが、幸せであるはずの今の状況に違和感があるとのことでした。妻や子供がいるはずなのに寂しい、公務員という職にも文句はないはずなのにやりがいを感じられないなど、辛い表情で話されていました。

A男さんの過去に遡るとお母さんもお父さんもいないことの多い寂しい子供時代を送り、「教員の子供だから」と躾は厳しく、何事も常に上位を狙うように教えられていた呪縛が未だにA男さんを苦しめているようでした。そして、自分の子供を愛せていないのではないかとの葛藤している姿もありました。

A男さんが自覚できなかった過去の課題を一緒に振り返り、寂しく自信の持てなかった子供のA男さんを癒すことで、思考の再構築に取り掛かりました。考え方や捉え方を見直すことで随分生きやすくなったと柔らかい顔つきで話すA男さんは、最近子供と一緒に思いっきり公園で遊んだり、家族で海を見に行ったり、抱えきれない仕事は再検討してもらうように申し出たりと、公私ともに充実した日々を送っているそうです。A男さんのような背景を持つ方でも人に愛され愛すことは十分にできるのです。

HSP

自営業を営むA男さんは、結婚を前提に考えている彼女のことで相談にみえました。最近同棲を始めてから、以前より感じていた違和感がより大きくなったとのこと。「おかえり」や「おはよう」の声のトーンや表情が非常に気になり、気疲れしていました。また、A男さんは人混みや音の大きい場所は苦手なため、彼女が実は退屈しているのではないかと心配な様子でした。A男さんは相手の言動から様々な状態を人一倍考えることができ、彼女に対しては大切に思うからこそ、さらに考え過ぎている節があり、このような傾向は子どもの頃からあるとのことでした。HSP傾向に加え自己否定も強かったことから、自身の特徴に気づき、違和感を対処していくことで自己肯定を上げていくかかわりをしていきました。違和感をそのままにせず、上手に付き合っていくためにも自己理解と周囲の理解は必要不可欠です。結婚を考えているからこそ彼女には自身の特徴を理解してもらうことや考え過ぎによる思い込みも考えられるため、実際に彼女がどう思っているのか本音トークで話してみる機会も大切であることを伝えました。彼女からすると、少しの変化でも気づいてくれるA男さんの存在はとても頼りになり、様々な視点で考えることができる柔軟性に好感を持っているかもしれません。A男さんはその後、その彼女と関係が続いているそうで、よい報告が聞けることを楽しみにしています。

回避性パーソナリティ障害

フリーランスで仕事をされている、独身のKさんは、回避性パーソナリティ障害や社交不安障害の悩みで、カウンセリングへお越しになられました。フリーランスでのお仕事も、人との関わりを極力避けることを目標として、手に職をとの思いで、長年勤務していた職場を退職し、プログラム関係の資格を取得し、現在フリーランスで生計を立てているという大変な努力家の方でした。今までに数多くの人達の誘いは何かと理由を付け、断り続けてきたと伺いました。女性との交際も結婚願望も興味を持てないとも仰っていました。心理テストの結果を多方面から分析すれば原因は自ずと浮き彫りになります。そこにはKさんも受け入れ難いものも含まれていた筈ですが、Kさんは葛藤の中、次第に根本原因に理解を深めていくことに向き合っていただけました。その結果は、Kさんはゴルフを始められたり、女性への興味も持ち始められたようで、こちらとしても嬉しい限りです。そんな中でカウンセリングを終えて行かれました。

対人緊張

大学生のA子さんは、人前で話をすることが怖く、最近は人と接することも怖いため引きこもり気味とのことで相談にみえました。A子さんは教育熱心な親に育てられ、とても優秀な成績だった一方で、成績が下がることへの恐怖や親を落胆させることにひどく怯えていたと言います。親に言われた通り過ごしていればよかった反面、自分の意思が乏しく、大学生になるとワークや実習などが増えることから生きにくさを強く感じていたのではないかと思います。将来社会に出た時にはさらに生きづらさを感じる場面が多くなることが予想され、早急な改善が必要でした。行動する前から失敗するのではないか、何か言われるのではないかと予期不安が高まっていたA子さんですが、親の敷いたレールではなく自分の人生は自分で決めていくこと、誰にでも失敗はつきものであり柔軟な考え方や幸せな人生への道のりはそれほど難しいものではないことを伝えました。漠然とした不安を明確にし、具体的な対策を考えることで人前でも笑顔も見せながら話せるまでになりました。緊張・対人緊張は、失敗や怒られることへの恐れから考え方が凝り固まり、人とのコミュニケーションに不都合を来します。改善には、何が緊張を引き起こしているのか俯瞰的に考え、対処していくことが必要となります。

人間関係

<事例1>
クラスメイトとの人間関係が苦手なJさんは友達に嫌われる事を怖れ、自分の言いたい事も言えずに相手のペースに合わせてばかりいました。
Jさんの自己評価はとても低く、いつも周りの友だちと自分とを比較しては自分を卑下し、自分らしく生きられない自分に嘆いてばかりでした。
厳格な両親を持つJさんは、親に褒めてもらうことや認めてもらう事が少なかったと言います。出来ることは「当たり前」、彼が上手く出来ないことだけに注目して批判する事が繰り返されると、Jさんのような「常に自分を批判する」傾向を宿し易くなります。
そんなJさんには「自分を愛する心」という課題が重要になってきます。Jさんとのカウンセリングでは、相手に無理に合わせる必要はないこと、自分は唯一自分であるから他人と比較しても意味がないことなど話していき、新たな考えを潜在意識の中に宿していく事により、自分を肯定する考え方の土台を完成させて行きました。
Jさんがセッションを終了される頃、「私が私らしくいることを認めてくれる友達と楽しくやっていくことが最高に心地良い」と、笑顔で話してくださいました。

<事例2>
保育園児を持つ母親Hさんは、娘の通う保育園での親同士の立ち話が段々と苦痛となり、送り迎えに限らず全ての保育園行事がある度に、何日も前から憂鬱な気分になり、何とか行けない口実を考えるようになりました。
Hさんは「人に怯えてビクビクしている自分が凄く嫌」「積極的で何でも物怖じせずに話せた昔のように明るい自分を取り戻したい」と話し、人に対する意識の変換が必要でした。
心理カウンセリングで対人に対する意識の刷新に合意を頂き、それを論理立てて理解し望んでもらうよう働きかけましたが、カウンセリングが進むにつれて「わかってはいるんですけど…でも…」いわゆる「でも…けど…」の世界はなかなかの壁となりました。Hさんと協議し、潜在意識にそれを受け入れてもらうように繰り返して取り組んでいきました。
数回のカウンセリング後「今までは人に対して身構えてしまっていたけれど、今日は自分から自然に参加する事が出来、親同士の会話を楽しめました。」「苦手意識のあった人とも自然に接することが出来るようになり、その人のいいところも見つけられるようになりました。」ととても喜んでいらっしゃいました。

買い物依存症

綺麗に着飾った20代A子さんが「私、買い物依存症だと思うんです」とご相談にみえました。話を伺うと、毎月のカードの支払いが滞り、親や友人にお金を借りていたが返すことができず、親も友人も助けてくれず、消費者金融に頼るしかないか…と途方に暮れてところ、セラピーHPに辿り着いたとのことでした。A子さんは新しい化粧品や話題のファッションには目がなく、値段も気にせず買い物をしてしまうところがあり、気づいたときには物でいっぱい、請求は想像以上になって火の車状態でした。A子さんは一人っ子で、いわゆる“いい子”として周囲の人から評価されていました。両親は共働きで小さい頃から保育園に預けられていたため、人に迷惑をかけず、むしろ率先してお手伝いなどをしていたと言います。しかし、甘えることも思いっきり遊ぶこともできず、寂しい思いをしていたのだと思います。親はA子さんが寂しくないようにと何でも買い与えてくれたと言います。大人になったA子さんは、寂しさやストレスを払拭するために物を買うことで気を紛らわしていました。買い物に行けば店員がチヤホヤしてくれることも、A子にとっては人との大切な繋がりだったかもしれません。買い物依存症に至った経緯や克服について話し、思考の再構築を図りました。A子さんのように自ら買い物依存症ではないかと相談に来られることは多くはありません。しかし「このままではいけない」との変わりたい気持ちがA子さんを大きく変えたのだと思います。

ギャンブル依存症

ギャンブル依存症の当事者のその殆どが、奥様が同伴でカウンセリングにご相談に来られます。競馬・競輪・競艇などの公営ギャンブルまたはパチンコ・スロットル、稀ですが不法カジノなど、その多くのギャンブル依存の方は、小遣いの範囲を遥かに超え、家族の預貯金も使い込み、キャッシングローンや、友人知人にまで借金をし、返済不能になっても更に何処かでお金を工面し取り戻そうとする、常軌を逸した状況に、奥様を始め周囲の多くの人たちを巻き込み落胆させる依存症の中でも家族にとっては非常に怖い依存症です。もうしない、と奥様に二度三度約束するも裏切られ、子のことを考えると離婚にも躊躇ってしまいどうして良いか分からず困り果てて夫婦でお越しになります。ギャンブル依存を脱却するには根本的な考え方の変更を成し遂げなければ繰り返してしまいます。ギャンブル依存症は出た結果にしか過ぎず、一番大きな問題点は「幸福を壊してしまう性格」にあります。それは本人も全く気が付いていないケースが殆どです。ギャンブル依存症に陥る方々にはかなりの共通が見出されています。仕事のストレス、夫婦不仲。なども多少の影響はあるものの、根本は過去の家庭環境の影響がギャンブル依存に走らせているのを理解することに気付く必要があり、そして奥様が同伴し夫と共にカウンセリングにお越し願えればこの問題は解決します。

仕事依存症

偏頭痛や肩こり、日々のやるせない気持ちがお悩みで相談にみえたA子さん。話を聴けばほとんど休みなく働き通しているとのこと。睡眠も十分に取れていないことも分かり、何故そこまでして働くのか聴くと「頑張れば頑張っただけ認めてもらえるから」。A子さんは子どもの頃から“これから女も働く時代。男なんかに負けるな”と言われ続け、親や先生に認めてもらいたい一心で今日まできました。A子さんにとって頑張ることは当たり前だったようですが、A子さんの身体は正直で偏頭痛や肩こりとしてSOSを発していたのでしょう。心理状態も承認欲求が過剰になりすぎ、何をしても満たされないやるせなさが押し寄せていたように思います。何のために働いているのか聴いたところ「?」。A子さんは認められるために身を粉にして働いている仕事依存症であることが分かりました。A子さんには、プライベートを充実させ、人生を楽しむために仕事をすること、もっと気楽に柔らかく楽しんでも大丈夫であることを伝えていきました。最近は中学以来のバレーを始めたそうで、汗を流して仲間との交流を楽しんでいるようです。

自己否定・自己嫌悪

自身のことを否定し続け、自分で自分を拒絶する自己否定や自己嫌悪を抱いている人が幸せであった試しはありません。A男さんもその一人で、辛そうな表情でお越しになりました。「何やってもダメ」「こんな自分が嫌で仕方ない」と語気強く語られました。思考改善のカウンセリング中も「でも」「だけど」が口癖のようでした。これほどまでA男さんの自己肯定感を低くし、自分を大切に思う気持ちを欠くようになったのか。親子関係や中学時代のいじめが大きく影響しているようでした。自分自身を攻撃し続け、嫌な自分との同居は相当辛かったことと思います。自分にフィットしない考え方を脱ぎ捨て、新しい思考を身につけ、「でも」「だけど」で一歩踏み出せないA男さんを後押しすることで成功体験を多く積み、お気に入りの自分が見つかるように支援し続けました。俯き加減だったA男さんは、カウンセリングが終わる頃にはよく自分を理解し、最近の出来事などを客観的に考えられるようになっていました。A男さんのように自分に合わない考え方は変えられます。辛さを見て見ぬふりをせず改善することでこれからの人生が大きく変わることでしょう。

 
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