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< Contents >
□ 分離不安障害は幼児の頃からの体験が起因
□ 分離不安障害の精神的苦痛は相当なもの
□ 分離不安障害に陥れば身体的症状を訴える
□ 分離不安障害の放置は成人以降に禍根を残す
□ 分離不安障害の診断基準・判断基準
□ 通常は分離不安障害にならず段々と自立していく
□ 精神的な安らぎを得て分離不安障害から離れよう
□ 分離不安障害は過度な心配性に陥ることも
□ 過保護・過干渉も分離不安障害の温床となる
□ 分離不安障害でも安心を繰り返すことでクリア
□ 子供がなぜ不安に思うかを親も理解する
□ 分離不安障害はまず安心を定着させることが大切
□ 分離不安障害の改善に向けて
不安障害 | 親子共依存 |
大人の愛着障害 | 夫婦共依存 |
大切な人と離れたくない…分離不安障害
幼稚園に通う時などに、子供がお母さんと離れたくないと泣いて離れようとしない光景などをたまに見掛けることがあります。子は最大の庇護者である親と別れることは精神に大きな負担がかかり、心身に影響を及ぼす時があります。どうしてこのような状態が起きるのでしょうか。
昨今は単身赴任や共働きをする家庭も多く、子供と一緒に過ごす時間がなかなか思うように取れないことも珍しくはありません。
通常では保育園や幼稚園に子供を連れて行こうとする場合に支度を遅らせたり、母親が用事で出掛けようとすると「行かないで欲しい」とぐずったりする行動は子供が成長していく過程では至って自然であり正常な反応です。
子供は自力で生きていくことがまだ適わない為、親、特に母親はこの世で唯一頼れる存在なのですから当然の反応と言うことになります。しかし、その反応が過剰になり、生活していく上で、その子の今後の人生にも問題が生じる程のものになればそれは「分離不安障害」を発症している可能性があります。
「分離不安障害」とは、家族または愛着を持っている人や場所から離れる時点において過剰なまでの不安を感じ、自分の心の中でその不安を処理できず、その影響が精神的、身体的なものとなって現れている状態を言います。
子供は、生後8カ月頃から自身の親を特別な存在だと認識し始めます。そして頼りになり、絶対的に自分の味方である両親という存在に幼い頃は依存し、やがて乳幼児期、学童期、思春期を経て成長し、徐々に両親の元から精神的依存を離れ、自立していきます。
しかし、特に乳児期から学童期に掛けて、依存している対象(多くの場合は両親)から、物理的、心理的に離れると不安が顕著に現れやすくなります。これを「分離不安」と言います。
この不安は一般に、どの子供にも見受けられる症状ですが、親たちが子供の不安を良く理解し、暖かく受け止めていく内に、自然と解消されていくことが多いものです。つまり、殆どの子供が経験するものであり、症状自体は決して珍しいことではありません。
そして「離れても戻って来てくれる」ということを繰り返し学習することにより不安が無くなっていくのです。しかし、この克服が適切な時期になされなければ、依存対象者と離れた時には過剰な不安を感じ「分離不安障害」を生じます。
安心感を与えてもらうべき存在から十分な安心感を得られず、だからこそその安心感を維持しようと、依存対象の母親の傍にずっといようとします。
「分離不安障害」の子供は、住まいである家や両親(主に母親)などの依存対象から離れなければならない時、耐えがたい程の苦痛を感じます。その為、対象から何とか離れまいと、泣き崩れ、離れたくないと懇願します。
この時に依存対象(親)までが不安を感じていると、子どもはそれを敏感に感じ取り「もう二度と会えないのではないか」と益々不安をつのらせ、悪循環を生みだします。
この障害が比較的多くみられる幼児期から学童期前半ではその幼さが故に「分離不安」を言葉などで直接的に表現することが上手くできず、身体症状や問題行動といった間接的な表現により分離不安を周囲に訴えることが殆どです。
身体症状としては「頭痛」「腹痛」「吐き気」問題行動としては「執拗に甘える」「おねしょ」「おもらし」「ソワソワして落ち着がない」「暴れる」こと等が挙げられます。場合によっては抑うつ、無気力などの精神症状が現れ、不登校、ひきこもりがちの基となることもあります。
分離不安障害を改善しておかなければ、子が成長した場合にも困ることが出てきます。例えば、高校を卒業し、東京や地方の大学に合格し、一人暮らしを始めますが、1年も待たずに実家に戻ってしまうケースもかなり多くあります。
そして二度と家から離れることを拒絶するようになれば、ひきこもりやニート予備軍になる可能性も否定できません。この分離不安障害を放置していては将来において「依存性人格障害」「親子共依存症」「恋愛依存症」「愛着障害」などの問題に移行する場合が非常に多いので注意が必要となります。
分離不安障害の診断基準を下記にまとめてみました。
家庭、または愛着を持つ人から離れることに対する不安が、発達、成長を考えると不適切で過剰なものである。かつ、以下の項目のうち3つ以上の症状が当てはまる。
● 愛着をもっている重要人物と別れたり、離れたりすることが暗示されるような悪夢を繰り返し見る。
● 愛着をもっている重要人物を失う、またはその人に事故等の危険が降りかかるかも知れないという過剰な心配をずっとしている。
● 何らかのアクシデントにより愛着をもっている重要人物から引き離されるのではないかという過剰な不安が常に付きまとっている。
● 愛着をもっている重要人物から引き離される、または離れることが予測される状況になると、頭痛、腹痛、吐き気といった身体症状が現れる。
● 離れることへの恐怖のあまり、学校やその他の場所へ行くことを拒否する。または行くことを嫌がり、抵抗する。等の状態がずっと続いている。
● 家庭、または愛着を持つ重要人物から離れなければならない状況が起こるか、離れることが予測される状況になれば、何度でも過剰な苦痛を感じる。
● 自分が眠るまで、愛着をもっている重要人物が傍にいないと嫌がる。また、家から離れた場所で寝ることに対して持続的な抵抗、または拒否反応を示す。
● 一人もしくは愛着を持つ重要人物が居ない状態で家に居ること、またはその他の状況で頼りにしている人物がいないことに対する持続的な抵抗または拒否。
分離不安障害の症状が現れたのは18歳以前である
発達障害、統合失調症、パニック障害等とは医師により診断されていない。
分離不安障害と思われる症状が現れてから少なくとも4週間以上経過している
分離不安障害は診断こそ比較的簡単ですが、依存している対象と共にいる場合に問題が生じ辛い為に、本人達が症状に気付くのに時間がかかる場合があります。
幼少期には親と離れることを極端に怖がっていた場合でも、次第に成長していくにつれて、一人でも生活して行けるようになるのが普通なのですが、成長の過程において、自分の養育者と引き離されるような事態が起こることや、養育者が亡くなるといったような事態が起こった時に、正気ではいられなくなるようなショックを受けることがあります。
分離不安障害が潜在していると、高校卒業後の進学や就職で親元を離れることになった場合に、親元を離れられないといった症状が現れ、最悪の場合には、ひきこもりやニートになる可能性があります。そうならないためにも、家族が適切な対応をすることが必要になってきます。
分離不安障害に該当していても、精神的な安定を感じることができる環境になれば、不安な気持ちは解消していく場合も多いです。また、一人暮らしで不安に思っていても、相談できる相手や友人がいて助けてくれる環境であれば症状が緩和されることもあるでしょう。
大人になるにつれ、生活の中から協力してくれる相手を見つけることも出来る場合もあるのですが、強い不安感が高じて一人では生活していけないくらい分離不安障害の症状が進むと、無理をすれば家から出られなくなってしまう場合や、ある一定の人に頼り切りになってしまう場合などがあります。
分離不安障害になると、その対象と離れた時に、事故で二度と会えなくなってしまうのではないかという不安がよぎることや、とにかく側に居たいという感情が沸き起こってきます。愛着のある対象の人と別れることを極端に嫌い、強怖を感じます。
しかし、その対象と離れる機会を設けることで、一度離れても、また戻ってきてくれることが認知できるようになれば、心配する感情は次第に薄らいでいきます。
分離不安障害は、幼い子供に多い症状ですが、その感情がずっと残ったまま成人すると、親元を離れられないとか、恋人に依存して24時間一緒にいないと不安になってしまうなどの感情に襲われることになります。
母親が幼い子供の世話をするのは当たり前のことなのですが、成長してからも、子供のことを手取り足取り世話するお母さんなどもいらっしゃいます。子供が心配なのはよく分かるのですが、子供が自分の力でもやっていけるようにサポートすることも親としては必要です。時には、ほったらかしにしておくことも大切かも知れません。
親が何もしてくれなくなれば、本人は自分で考える必要が出てきますし、自分の力で行動を起こそうとすることも多くなります。子供が不安になるような言葉を投げ掛けることはやめましょう。小さい子供であれば、一緒にいてあげることは大切ですが、成長してきたら、少し距離を取り遠くから見守ることも必要になるでしょう。
子供が不安に思っているからと、一から十まで手を出してしまうことは、子供の自立心を妨げてしまうことにもなります。子の将来を思うのであれば過保護、過干渉は程々に。
幼稚園や保育園では先生がいたり、お友達がいたりして、楽しい時間を過ごせることも多いので、子供が泣いた場合でも、親御さんは心を鬼にして離れることも大切です。一度離れても、また帰りの時間になりお迎えに来てくれることが繰り返され分かるようになれば、子供も安心します。
常にお母さんと一緒にいる時間が長かった場合には、幼稚園や保育園などに行き始めた頃は、毎朝は大変かもしれませんが、少しずつ園生活にも慣れてもらい、お母さんと離れる時間を増やしていくこともいいでしょう。一度離れても、また会えるということを繰り返すことで、不安が収まっていく場合もあります。
聖心こころセラピーではみんなで遊ぶことにより、不安を解消する心理療法なども行っています。子供さんに分離不安障害の症状が見られる場合には、改善に向けてどのように接したら良いかの相談もお受け致します。
幼稚園や保育園などは大人の都合で入れている場合もあります。その親の都合を子供に押し付けるのは酷なことです。分離不安障害に陥っている場合には、なぜそういった症状が出るのかをきちんと理解して、対応を今までとは変えていくことも必要です。
家庭の都合であったり、お仕事の関係であったり、様々な事情があると思いますが、分離不安を抱えている子の気持ちを理解した上で、適切な対応をしていくことが必要です。親の育て方の問題というよりも、本人の性格によるところも大きいので、焦らずに、子供さんの気持ちに寄り添うことも大切です。
人との関係において、大丈夫なのだという安心感を持つことが大切になってきます。一度、その人がいなくなることで、不安を感じてしまうと、「その人がいなくなったら怖い」とか、「どうしよう」とか考えてしまいます。幼い子供はもとより、大人になっても、両親であったり、配偶者であったりと離れられないという状況にもなります。
穏やかで楽しい毎日を過ごすには、分離不安障害の症状を緩和して、自分一人でも大丈夫だ。と思えるような逞しい精神状態になることが好ましいので、無理のない範囲で、対応していくといいでしょう。
聖心こころセラピーでは分離不安障害の症状などへの理解を促すとともに、どのように対応していくとよいのかということもアドバイスしていますので、家族の中で分離不安障害を抱えている人がいる場合には、一度ご相談ください。家族全体で症状を緩和していくためのセラピーや認知療法なども行っています。
分離不安障害を改善するにあたりよく行われる療法として、遊戯療法・認知行動療法・家族療法・薬物療法などが挙げられます。
「遊戯療法」とは主に3~12歳までの子どもを対象として行われる、遊ぶことをコミュニケーションや、表現の手段として利用した療法です。
しっかりと決まった手順がなく、その子の個性に対応することが多く、療法を行う人間により方法がそれぞれに異なりますが、名古屋聖心こころセラピーでは室内外問わず共に遊びの行動を取りながら、子供にも理解しやすい論理思考を知らず知らずの内に遊びを通じ浸透させていく方法で実績を上げています。
「認知行動療法」では、依存対象からあえて離れさせ、その時間を少しずつ長くしていきます。そうして「対象は戻って来ないかもしれない」「離れている間に事故等に遭って二度と会えなくなってしまうのではないか」というような認識を必ず「戻ってきてくれる」という認識に改善していきます。
「家族療法」とは、本人だけでなく、家族も療法の対象とするものです。家族は本人にとり最も身近な人間関係であり、心や認識の形成にも大きな影響を与えています。その為、「家族療法」では、本人が抱えている問題を本人だけでなく、家族全員の認識等の改善によって解消していくことを目的とします。
ですので、依存対象となっている方にも「何故分離不安障害が発症しているのか」「どうして症状が発症するのか」を理解して頂きながら、実態に則した症状の改善をサポートして頂きます。
「子供の分離不安の本質は子ではなく、親の対応に起因します」